AMDの次世代アーキテクチャ「Zen」のリリースが発表されCPU・APUですべてのソケットが統一されることも明らかに

コンピューター用CPU大手のAMDが、国際家電見本市CES 2016で、今後のCPUの展望を発表。次世代マイクロアーキテクチャ「Zen」世代のCPUを予定通り2016年内にリリースすることを明言しました。また、現在、3つに分かれているCPUソケットが統一されることも明らかになっています。

AMD shows off quieter Wraith heatsink and fan | bit-tech.net
http://www.bit-tech.net/news/hardware/2016/01/08/amd-wraith/1

AMD launches a new stock CPU cooler
http://vr-zone.com/articles/amd-launches-a-new-reference-cpu-cooler/104104.html

AMDはCES 2016の会場で、次世代マイクロアーキテクチャ「Zen」世代のコードネーム「Summit Ridge」のハイエンド向けCPUと、コードネーム「Bristol Ridge」のメインストリームAPU(グラフィック内蔵CPU)が、これまでの計画通り、2016年内にリリースされることをあらためて明言しました。

Bristol Ridgeは現行APU「Kaveri」の後継となるモデルで28nmプロセスルールで製造されますが、Summit Ridgeは現在のAMDのハイエンドCPU・FXシリーズ(Vishera)の後継となるモデルで、新アーキテクチャZenが採用され14nm FinFETで製造されます。IPC(クロックあたりの命令実行数)が40％も性能向上するとうたわれるZen世代のSummit Ridgeについては、一部で製造の遅れがささやかれていましたが、AMDはあらためて2016年内にリリースすると強調した形です。

さらに、旧アーキテクチャを用いる第7世代APU・Bristol Ridgeを含めて、今後リリースされるZen世代のCPU・APUでは、現在、AM3＋/FM2＋/AM1と分かれているCPU(APU)ソケットが、「AM4」ソケットとして1種類に統一されることも発表されました。なお、Summit Ridge、Bristol RidgeではDDR4メモリが採用され、DDR3メモリはサポートされない見込み。また、Zenマイクロアーキテクチャ採用の第8世代APUは2017年後半のリリース予定であることも明らかにされています。

2016年内のリリースが明言されたSummit Ridge・Bristol Ridge以外にも、AMDは新しいリテールCPUクーラー「Wraith Cooler」を発表。従来モデルに比べてヒートシンクの表面積を24％＆エアフローを34％アップさせることで、ファンの騒音を同等冷却性能比で最大10分の1まで低減させるとのこと。

Wraith Coolerの静音性の高さは以下のムービーを見れば一発で分かります。

Acoustic Demo of AMD Wraith Cooler - YouTube


従来のCPUクーラー。ファンを動かすと……

爆音で回り始めました。リテールCPUクーラーではフルロード時の騒音はかなりのものです。

一方、こちらは新型CPUクーラーのWraith Cooler。ヒートシンクが薄型化し、ファンの厚みが増していることが分かります。

ファンをまわすと静音性の違いは明らか。「我慢できない」ということはなさそうなほど、明らかに静音化されているのが分かります。なお、ファンにはLEDが内蔵されており、AMDのロゴが浮かび上がるというさりげない工夫が施されています。

これらの他にもFM2＋ソケットの新ハイエンドAPU「A10-7890K」が2016年Q1(1月から3月)にリリースされることや、USB3.1やM.2スロットを搭載するAM3＋/FM2＋マザーボードが発売されることも明らかになっています。いよいよ新世代マイクロアーキテクチャ「Zen」が登場することになれば、同じく2016年に登場するHDMI2.0aや4K H.265デコード/エンコードをサポートし省電力性能にも優れる次世代GPU「Polaris」アーキテクチャの存在も相まって、2016年はAMDが巻き返すターンということで、AMDユーザーには朗報になりそう。また、AMDの低迷でIntelがあぐらをかく、という現状が改善されると期待できるので、Intelユーザーにも歓迎されそうです。