効果的にスポーツトレーニングするためにVRヘッドセットを活用する動きが拡大中

スポーツのトレーニングではフィジカルトレーニングとともにイメージトレーニングの重要性が指摘されています。そんな中、仮想現実(VR)体験ができる「VRヘッドセット」を取り入れ、安全かつ効率的にプレイシーンを体感することで、従来のイメージトレーニングを超えたイメージトレーニングができるツールとして活用する動きが急ピッチで進んでいます。

VR Will Soon Revolutionize How Football Players Train | WIRED
http://www.wired.com/2015/12/vr-will-soon-revolutionize-how-football-players-train/

高度な作戦のデキが勝敗を大きく左右するアメリカンフットボール。

ムービー解析を利用したトレーニングが行われています。

スペースをどう使うかなどを画面に書き込んでコーチが指示することも日常茶飯事。

アメリカで最も人気のあるスポーツであるアメリカンフットボールのトレーニングには、最先端のIT技術が駆使されることもよくあること。

今、VRヘッドセットを活用したトレーニング法が注目を集めています。

Oculus RiftなどのVRヘッドセットを装着すれば、プレイヤーの視点でVR体験が可能なので、単一視点からのビデオ映像とは異なり、作戦を理解したり、実際にプレイヤーの動きを確認したりというイメージがより効果的にできるというわけです。

VRの映像は、周囲360度の映像で構成されています。

そのため、左から来るタックルや右から来るタックルなどを確認しながら状況を体感することが可能。

さらに、360度あらゆる方向から来る音も再現することで、試合さながらの臨場感でトレーニングできます。

スタンフォード大学のクォーターバックを務める選手はVRトレーニングを活用中。高い再現性ある映像にシミュレーションとしての有効性を実感しているとのこと。

VRの映像はすべて現実のスポーツ映像を基に作られているため、リアルさは抜群。

アメリカンフットボールだけでなく、アイスホッケーのキーパーの視点でのプログラムなども作成されています。

スポーツにおけるフィジカルトレーニングの中でも鍛錬するのが特に難しい「動体視力」も……

室内にいながら向上させられるというわけです。

VRヘッドセットを使ったスポーツトレーニングの研究は、スタンフォード大学発のベンチャー企業STRIVRによって開発されています。

アメリカンフットボールの複雑なフォーメーションを効率的に学習できるだけでなく、怪我の危険を伴うプレイヤー同士の接触を避けて繰り返し練習できることから、トレーニングツールとしての効用が高く評価されているとのこと。

VR映像は、上下左右に取り付けられたGoProを使って撮影。

当初はクォーターバックの視点からのみだったプログラムは、他のポジションのプレイヤー目線でも作成され、トレーニングに活用されています。

中学生、高校生、大学などでアメリカンフットボールを練習する学生だけでなく、NFLのダラス・カウボーイズもトレーニングを試験済みとのこと。

VRヘッドセットを使えばトレーニングだけでなく、スポーツそのものを体感することが可能。

例えば、サッカーのゴールキーパーになってPKを体感したり……

テニスプレイヤーになってコートに立ってみることが可能。もちろん、体験したことのないスポーツでさえ体感することができます。

VRヘッドセットとスポーツの相性はかなり良好だと言えそうです。

・おまけ
以下のTEDのムービーではNFLの選手だったクリス・クルー氏によって、VRヘッドセットを使えば、例えばアメリカンフットボールファンはNFLの選手の視点でゲームを楽しめるようになること、さらには、「相手の立場になって考える」という体験ができることで、他者に共感できる感性を磨くツールにもなり得ることが指摘されています。

クリス・クルー: 拡張現実がどのようにスポーツを変え－共感を紡ぐのか | TED Talk | TED.com
https://www.ted.com/talks/chris_kluwe_how_augmented_reality_will_change_sports_and_build_empathy