世界初の地上から取り込んだ日光を伝達して地下の植物を照らす「地下公園」とは?


もう使われなくなったニューヨークの地下鉄の廃駅を改造し、地下にも関わらず緑が生い茂る公園が「「LowLine」」です。2012年にKickstarterで出資を募集して以来、数々のメディアで「世界初の地下公園」として取り上げられたLowLineについて、その後の現状を取材したThe Vergeの記事が掲載されています。

The Lowline | The World's First Underground Park
http://www.thelowline.org/

How to build the world's first underground park | The Verge
http://www.theverge.com/2015/12/16/10214066/new-york-city-lowline-park-underground-terminal-photos

以下の写真に写っているのが世界初の地下公園であるLowLine。廃駅となった地下のトローリー・ターミナルを使って作られたものなのですが、植物の光合成に必要な光が当たっているのがわかります。


これはLEDライトではなく、正真正銘の日光。LowLineの製作者であるJames Ramsey氏が考案した「remote skylight」と呼ばれる技術により、地上に設置してある集光器から得た日光を地下に伝達し、天井のアルミニウム・キャノピーで拡散して植物を照らしています。


公園にはシダと花で覆われた2つの小さな丘の間に砂利道があるという構造。フィロデンドロン、チトセラン、ムラサキツユクサ、イラクサ、サルオガセモドキなどの植物が生い茂っています。まだ完成はしていませんが、敷地の面積は約5570平方メートル(約1660坪)あり、完成すれば広大な緑地がニューヨークの地下に出現するわけです。


すでに一般開放も行われており、内部を見学するツアーも開催されています。


地上の集光器はこんな感じ。集まった太陽光は通常の30倍の輝度になるそうですが、パイプを通じて地下に伝達された太陽光は天井に張り巡らされたアルミニウム・キャノピーで拡散されるため、植物が燃えてしまう恐れはないとのこと。なお、集光器のミラーにクモが巣を作ることがあり、放置すると集光効率が落ちることが悩みの種だそうです。


Ramsey氏は、かつてNASAで土星探査機カッシーニの開発に携わったメンバーであり、さらにデザイン会社RAADのCEO務める人物でもあります。LowLineのチームにはGoogleで企業戦略家として働いていたDan Barasch氏も加わっており、優秀な人材が集まっています。


LowLineの開発チームによると、地下公園の開発費は4400万ドル~7700万ドル(約53億円~約92億円)にのぼると試算されており、維持費用に200万ドル~400万ドル(約2億4000万円~4億8000万円)が必要とみられています。また、チームは公園の運営に向けてニューヨーク市や、廃駅の所有者である公共輸送運営会社MTAと交渉中ですが、バーベキューや野球を行うことができないため、一般的な「公園」の定義に当てはまらないのが難点だそうです。公共スペースとして認められれば市から資金を受け取ることができるため、「植物園」のような公共スペースとして定義付けできないか、と打診中とのこと。

LowLineは建築家向けの新聞で「次世代の公園」と賞されるなど、今なお注目を集めているのですが、まだ実用化までには多くの問題をクリアする必要がある状態。LowLineチームは2016年から本格的に地下公園の開発を進めていき、2020年までの完成を目指しています。

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