中国で見つかった最強の抗生物質コリスチンに耐性を持つ細菌がついに他国にも飛び火


コリスチン」は、大腸菌やグラム陰性菌への高い殺菌作用を持つ抗生物質で、既存の薬が効かない感染症への最終手段として「最後の砦」と位置づけられる薬として知られています。しかし、そのコリスチン耐性を持つ細菌が2015年11月に中国で発見され、コリスチンの大量使用を制限しなければコリスチン耐性菌の世界的な広まりを防止できないと指摘されていましたが、ついにイギリスでもコリスチン耐性を持つ細菌が発見されました。

Bacteria that resist 'last antibiotic' found in UK - BBC News
http://www.bbc.com/news/health-35153795

Emergence of plasmid-mediated colistin resistance mechanism MCR-1 in animals and human beings in China: a microbiological and molecular biological study - The Lancet Infectious Diseases
http://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(15)00424-7/abstract

コリスチン耐性を持つ細菌は中国の養豚場で最初に発見されました。この細菌は、あらゆる抗生物質が効かない時に医師が頼りにするコリスチンにも耐性を持つことから、「スーパーバグ(スーパー細菌)」と呼ばれています。なお、スーパーバグはコリスチン耐性を示す「MCR-1」という遺伝子を持つことが確認されており、強い伝染能力を持つことが分かっています。

スーパーバグの発生は、中国国内で家畜の感染症予防としてコリスチンを含む抗生物質が過度に使用されていることが原因であると考えられており、世界有数の豚肉、鶏肉の生産国である中国でのコリスチン大量投与を制限しなければ、スーパーバグやMCR-1が世界的に広がることは避けられないと研究者から指摘されていました。

By Sam Michel

そんな中、イギリスのAnimal and Plant Health Agencyがイギリス国内で採取を続けている2万4000件の細菌サンプルの中から、15件のコリスチン耐性を持つスーパーバグを発見したことを発表しました。あるイギリスの医師は、中国発のスーパーバグがイギリスに広まるまでには3年はかかると予想していたそうで、スーパーバグは想像以上に世界各地に急速に広まっている可能性があります。

イギリス公衆衛生局のアラン・ジョンソン博士は、「スーパーバグ自体は加熱調理で殺菌できるため、公共の健康被害のリスクは非常に低いと見ている」と述べています。しかし、スーパーバグの持つMCR-1遺伝子が他の細菌にも取り込まれる可能性もあるとのことで、特に抗生物質に耐性を持つ他の遺伝子と組み合わさって抗生物質による感染症対策が無力化されるという最悪の状況を危惧する見解もあります。

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