レビュー

本当にあった魔女狩りの「セイラム魔女裁判」をカードゲームにした「SALEM」をプレイしてみました


アメリカのマサチューセッツ州にあるセイラム(Salem)村で起こったセイラム魔女裁判は、200人近い村人が魔女として告発され19人が処刑されたという痛ましい事件で、2015年現在でも集団心理が暴走してしまった例として取り上げられることがあります。そのセーラム魔女裁判をカードゲームにした「SALEM」がクラウドファンディングサイトのKickstarterに登場し見事に目標出資額を達成して、実物が編集部に届いたので早速プレイしてみました。

Facade Games | Creators of Salem
http://facadegames.com/product/salem/

これが編集部に届いたSALEM。


SALEMの箱は古めかしい本のデザインです。


ビニールを剥がしました。


SALEMのプレイ人数は4~12人で、ゲーム1回の所要時間は約20~40分。対象年齢は13歳から、なぜか93歳までとなっています。


本を開く感じで箱をオープン。


中には「ルールを記載した紙」「カード(111枚)」「ルールブック」「トークン」「砂時計(30秒)」が入っていました。


トークンは表裏に何も書かれていないのが12枚、KILL・SAVEと書かれたのが1枚ずつ入っています。


表が赤・緑・青の枠で囲まれているのは山札のカード。


「NOT A WITCH」「WITCH」などと記載されているのが「トライアルカード」で、真っ黒いのが「CONSPIRACY(陰謀)カード」と「NIGHT(夜)カード」です。人物が描かれているのは「村人カード」になります。


中身を確認したところで、早速プレイしてみます。SALEMはシンプルに言うと「魔女ではない」と「魔女」に分かれて、「魔女ではない」プレイヤーは魔女捜しを、「魔女」のプレイヤーは「魔女ではない」プレイヤーを全員殺すのが目的。誰が魔女であるかは、当の本人以外知り得ないルールになっています。要するに、魔女を捜し当てるか、それとも魔女に殺されるかだけなのですが、お互いの心理を読み合ったり、プレイをじっくりと観察したりと、結構戦略的なゲームになっているとのこと。

ということで、初めにトライアルカードをプレイヤーに配布するのですが、参加人数によって配る枚数が違ってきます。


今回は4人でプレイしてみるので、「NOT A WITCH(魔女ではない)」を18枚、「WITCH(魔女)」を1枚、「CONSTABLE(警察官)」を1枚の合計20枚を用意して……


シャッフルして各プレイヤーの前に裏向けで並べます。


プレイヤーは配られたトライアルカードを確認し……


元に戻します。なお、今回は自分が魔女でした。


次に村人カードを1人1枚配ります。


村人カードは表向きで自分の近くに置いておけばOK。村人は、1人1人違う能力を携えており、今回ゲットしたカードは「誰かがトライアルカードを開いたら、山札からカードを1枚引く」という能力を持っていました。


次は山札のカードを取り出して、夜カードと黒猫カードを抜いておきます。


残りのカードをシャッフルして場に裏向きで設置。


山札の一番下に、除いておいた夜カードを入れます。


人数分のトークンと、SAVE・KILLトークンを山札の横に置いたら、ゲームのセッティングは完了です。


SALEMが終了するのは「魔女カードを誰が持っているか判明」か「魔女以外のプレイヤーが全員死亡」のどちらかの場合のみ。プレイヤーが死亡するときは、「トライアルカードが全て開かれる」「魔女カードが開かれる」「夜のイベント時に殺される」のいずれかとなっています。

ゲームの開始前に「初めての夜」というイベントが行われます。「初めての夜」では、まず全員が目を閉じて、魔女のカードを持つプレイヤーのみが目を開け、自分の存在がばれないようにKILLトークンを他のプレイヤーの前に置きます。物音を立てないように静かに置くのがベター。大きな音を立ててしまうと、他のプレイヤーが爆笑して目を開けてしまうことも。


今回は右隣のプレイヤーの前に置いてみました。なお、この行動は砂時計の砂が落ちる20秒間の間に行う必要があります。KILLトークンを置いたら目を閉じ、合図とともに全員が目を開けます。魔女のプレイヤーは、自分の前にKILLカードを置いても問題ないので、他のプレイヤーをかく乱したいときにオススメ。


KILLトークンが置かれたプレイヤーは、黒猫カードを手元に置いておきます。


これでゲームをスタートできる状態になりました。SALEMはターン制で、自分の番になったら「カードを2枚引く」もしくは「手持ちのカードを相手に使う」という2つの行動しかありません。ゲーム開始時はカードを2枚引くしかないのですが……


山札にどんなカードが入っているのか少し説明。緑枠のカードは、以下画像の「他のプレイヤーのカードを奪って違うプレイヤーに譲渡する」などアイテムカード的な存在。使用は1回のみで、使った後は捨てます。


青枠のカードは何らかの状況になったときに効力が発揮されるカード。例えば以下画像の「MATCHMAKER(仲人)」は「MATCHMAKERを所有するプレイヤーが2人になったとき、1人のプレイヤーが死ぬともう1人も死ぬ」という恐ろしいカードで、誰も持ちたくないカードです。しかも、青色のカードは「使われたプレイヤーが死ぬ」「カードが移動する」「他のカードで効力がなくなる」まで、その場所から動かせません。


赤枠のカードは「Accusation(告発)カード」と言い、使われたプレイヤーの前に蓄積していき7枚目まで貯まると、7枚目のカードを使ったプレイヤーが、使われたプレイヤーのトライアルカードを1枚選んで表向きにさせることができます。魔女だと疑わしいプレイヤーに対して使って、その正体をあらわにできるというわけです。ただし、画像の「EVIDENCE(証拠)」は告発カード3枚分に相当するなど、告発カード複数枚分に値するものもあります。


夜のカードは前述の通り山札の一番下にあるカードで、これが登場するとゲームを盛り上げる夜のイベントが発生します。夜のイベントの詳細はプレイしながら確認することに。


ということで、黒猫カードを持った右側のプレイヤーからカードを2枚引きます。黒猫カードを他のプレイヤーに使うこともできましたが、最初ということで素直にカードを引くことに。


引いたカードは表向きにしてトライアルカードのそばに並べておけばOK。


自分の番には告発カード3枚分の強力な「EVIDENCE(証拠)」カードと「Asylum(精神病棟)」カードをゲットしました。精神病棟カードは夜のイベント時に死ななくなるというカードで、自分には使うことができませんが、他人に使用することが可能。つまり、精神病棟カードで他人を助けて信頼を得て「自分は魔女じゃないよ」アピールをできるというわけ。もし、魔女でないときに精神病棟カードをゲットしたら、自分と同じく魔女でない思われるプレイヤーに使って、魔女から守ることができます。これはかなり心理の駆け引きが必要なゲーム。


順番にカードを引いていると、向かいのプレイヤーが緑枠のカードをゲットしました。


向かいのプレイヤーが引いた緑枠の「STOCKS(さらし台)」カードは、誰かに使えばそのプレイヤーの次のターンが1回お休みになるというものです。


3順が終わって、自分のカードはこんな感じ。証拠カードを他のプレイヤーに使うも、あまりにも何も考えず使ったおかげで他のプレイヤーから告発カードを使われて合計5枚までたまってしまいました。後2枚たまると、トライアルカードを1枚開かないといけないやばい状況ですが、自分の番なので告発カードを他のプレイヤーに使ってしまいます。


告発カードを受けることになったのは右側にいたプレイヤー。先に使っておいた証拠カードを含めて6枚分の告発カードをためていたため、使われた告発カードを足すと合計7枚に到達してしまいました。


告発カードが7枚以上たまると、そのプレイヤーは、告発カードを使った人が選んだトライアルカードを1枚開けなければいけません。真ん中のカードをめくったところ「魔女ではないカード」でした。プレイヤーのうち1人は魔女の敵となる「警察官カード」持っているはずで、カードは表向きになると無効になるので、魔女とすれば早めに警察官カードを表向きにしておきたいところでした。


トライアルカードを表にしたら、持っていた告発カードや証拠カードを捨て、赤枠のカードがゼロの状態から再スタート。


6巡目にして手持ちのカードはこんな感じで、何とか告発カードを貯めないようにプレイしてきたのですが……


左側にいたプレイヤーが「ROBBERY(強盗)」カードを使用していまいます。強盗カードは「他のプレイヤーが持っている全てのカードを違うプレイヤーに渡す」ことができるカード。左側のプレイヤーは、告発カードを2枚以上使用しているプレイヤーのカードを自分に与えてくれました。つまり……


完全に自分狙いで強盗カードを使われたというわけ。こうして告発カードが合計8枚もたまってトライアルカードを開させられるはめに……。


さらに数巡が経過して、山札が残り2枚という状況に。このときは、1人が1枚ずつトライアルカードを開いているという状況でしたが、明らかに他のプレイヤーは自分が魔女だと思い込んでいる様子。


山札カードが残り2枚ということは……


当然「夜」のカードが含まれており、夜のイベントの始まりです。


夜のイベント時には、SAVE・KILLトークンを真ん中に集めて、表裏が黒いトークンを各プレイヤーの前に配置して全員が目を閉じます。


全員が目を閉じたら、魔女のプレイヤー(自分)だけが目を開けてKILLトークンを裏返しにして、こっそり他のプレイヤーの前に置かれているトークンと入れ替え。魔女ならかなりドキドキするイベントで、声や物音を立てないように最新の注意を払います。KIIトークンを置かれた相手は死ぬ確率がグッと高くなるので、置く相手選びも重要です。


魔女のターンが終わったら、今度は警察官のプレイヤーが目を開けて「SAVE」トークンを……


他のプレイヤーの前に置きます。SAVEトークンは他のプレイヤーがKILLトークンで殺されるのを助ける役割があるので、魔女が誰を殺したいと思っているかを慎重に考えて置かなければいけません。さもなくば、貴重な仲間を失ってしまうわけです。だからこそ、魔女はKILLトークンを置く相手を考えて選ばないといけないというわけ。こういった心理の駆け引きが、プレイの状況にもよって変わってくるものおもしろいところです。


警察官がSAVEを置いたら全員が目を開けます。このときに「もしかして前に置かれているトークンがKILLトークンかもしれない」と思ったプレイヤーは、「Confess(白状)」を行えます。白状はトライアルカードを1枚開ける代わりに、目の前のトークンを無効化するというもの。結構リスクが高いので、今回は誰も「白状」をしませんでした。


「白状」が終わったら、各プレイヤーは自分の前のトークンを表にします。左のプレイヤーがKILLトークンでした。


KILLトークンを引いてしまったプレイヤーはゲームから脱落。


脱落するときには、全てのトライアルカードを表にする必要があります。もしこの左側のプレイヤーが魔女だった場合、ここでゲームは終了です。


夜のイベントが終わったら、山札カードをシャッフルして戻し、トークンも元通りに。


手持ちのカードを山札カードに戻す必要はなく、そのまま続行できます。


……というようにして魔女が誰かばれるか、魔女以外のプレイヤーが全員死ぬかまでプレイするのがSALEMです。SALEMは、他のプレイヤーとの会話やプレイヤーの雰囲気、そしてカードの使い方などから魔女を予想したり、魔女であることを隠したりするゲームなので、人数が多ければ多いほど楽しげ。また、記事に出てきた以外にも魔女が移動する「CONSPIRACY(陰謀)」といったイベントなど、ゲームを盛り上げてくれる要素は盛りだくさんです。親戚同士で集まる年末年始や、友達と集まるパーティのときなどに大人数でプレイする魔女も複数になるのでかなり盛り上がりそう。


なお、SALEMは公式サイトで22.99ドル(約2800円)で販売中で日本への発送は送料として別途17ドル(約2000円)必要です。

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in レビュー,   ハードウェア,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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