レビュー

地球を覆い尽くすスペースデブリの歴史を可視化した「The story of space debris」


地球の周囲には使われなくなった人工衛星やスペースシャトルの破片といった宇宙のゴミ「スペースデブリ」が漂っており、国際宇宙ステーションに損害を与えたり、船外活動を行う宇宙飛行士に危害を加えたりする可能性があります。このスペースデブリがいつ生まれ現在にいたるまでどのように増えてきたのかを可視化したのが「The story of space debris」です。

The story of space debris | The Royal Institution: Science Lives Here
http://rigb.org/christmas-lectures/how-to-survive-in-space/a-place-called-space/7-space-debris-visualisation


スペースデブリの歴史を可視化したものは、「Click here to launch the visualisation」をクリックした先で見ることが可能。


「The story of space debris」という文字と共に、ポツンと真っ暗な宇宙に浮かぶ地球が表示されました。


太陽に照らされつつ地球はクルクル回転しています。スペースデブリの歴史を見ていくには「Start」をクリック。


1957年10月4日、ソビエト連邦が世界最初の人工衛星・スプートニク1号を打ち上げ、宇宙開発競争がスタート。ここからスペースデブリの歴史も始まります。画面の左右端に矢印があり、この矢印を押すことで歴史を進めたり戻ったりすることが可能なので、右下の矢印を押して進めていきます。


スプートニク1号は地球の周りを周回。打ち上げから22日後にバッテリーがなくなりましたが、その後も軌道周回を続け、92日後の1958年1月4日高度を下げ大気圏に突入したことで消滅しました。もしスプートニク1号が高度を下げることがなかったら、その後100年は軌道周回を続けていただろうと見られています。


スプートニク1号は直径58.5cmの球体で、無線周波パルスを発信していました。発射に使われたロケットはリフレクターを備えていたため、地球からもその姿を確認できたとのこと。


スプートニク1号の打ち上げに使ったロケットの一部分が、地球の衛星軌道上を周回しスペースミッションを邪魔する、歴史初のスペースデブリだと考えられています。


続いて、1958年。ソビエト連邦に続く形で、1958年、アメリカは人工衛星のエクスプローラー1号を打ち上げます。


エクスプローラー1号の打ち上げの目的の1つは国際地球観測にあり、宇宙線計測用のガイガー=ミュラー計数管も搭載されていました。そのため、陽子・電子からなる放射線帯のヴァン・アレン帯を発見することに成功。科学的に大きな貢献をすると共に、宇宙に浮かぶスペースデブリも増やしたわけです。


そして1961年、ソビエト連邦の軍人だったユーリイ・ガガーリンが人類で初めて宇宙へ。多くのミッションを行い、結果、200以上のスペースデブリを周回軌道上に残しました。


そして1970年、人類が初めて月に降り立ちます。このころにはスペースデブリの数がかなり増え、地球がうっすらと覆われるほどに。


1980年までに地球の周回軌道上には5000近くのスペースデブリが浮かぶことになります。これはロケットの機体が軌道上に残されるようになったため。


1990年代に入ると、人類はこれまで以上に宇宙へ飛び立つように。宇宙飛行士は地球の周回軌道上のミール宇宙ステーションで長期にわたって滞在するようになり、スペースデブリの衝突による損害を直接見ることができるようになります。


人類が宇宙で何百ものミッションをこなすようになり、航行衛星・通信衛星・気象衛星などが飛ばされ、約9000のスペースデブリが地球の周りに浮かぶことになったのは、2000年代のできごと。


また、中国が2007年にミサイルテストを行い、新たに2000ものスペースデブリが発生。


2009年にコスモス2251号イリジウム33が衝突したことで、さらに約2000ものスペースデブリが生まれました。


スペースデブリの歴史は60年近くありますが、現在2万近くあるスペースデブリの多くが近年に生み出されたことがよく分かります。なお、それぞれのスペースデブリの大きさはリンゴサイズからバスほどの大きさのものまで、さまざまです。

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in レビュー, Posted by darkhorse_log

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