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破壊衝動をデジタル世界で発散するVRジャンキーが陥る世界の暗黒面を映像化した「UNCANNY VALLEY」


未来のスラム街には、自身の持てあました破壊衝動を現実世界ではなく「仮想現実(VR)」の世界で発散するVRジャンキーが大量出現。そんなVRジャンキーの中でもひときわ優れたプレイヤーが、ゲームと現実の境目を見つけてしまい、そこから世界の暗黒面に触れてしまうというショートムービーが「UNCANNY VALLEY」です。

Vimeo - UNCANNY VALLEY (2015)


ムービーはお婆さんが映し出され……


ノイズでこれが見えなくなるところからスタート。


「UNCANNY VALLEY」


暗い寺院のような場所を歩くひとりの男性。


鼻に何やら光る機械のようなものを取り付けています。


「VRは俺にとってただ一つの現実」という声が響き……


突如場面が変わって椅子に座りながら語る男性が映し出されます。どうやらこの男性が物語の主人公のVRジャンキー。


ふと振り向くと……


突如壁が爆発。


吹き飛ばされますが……


現実ではただ寝転がっているだけなのでケガなどは一切ありません。


他のVRジャンキーが話を始める中……


主人公が鼻から……


何かを取り外します。


先ほどまで鼻に着けていたのはコレ。怪しく光るアクセサリーのようなものは一体……?


スラムには多数の人々がいますが、そのほとんどが水中に浮かぶかのように空中を漂っており……


鼻にはキラリと光るあの装置が見て取れます。


そしてこれを主人公が再び手に取り……


鼻に装着。


そしてその他大勢と同じように、意識がどこかへ飛んでいってしまったかのようにだらりと体が空中を漂います。どうやら鼻の装置がVR世界へダイブするためのもののようです。


場面が変わり、突如異世界のような物々しい雰囲気の場所で……


銃を持った兵士が登場。


倒れる仲間を見ると、まるでFPSゲームの画面に出てくるかのようなさまざまな情報が視界に表示されます。


周りを見渡すと、明らかに現実世界ではないことが分かります。


そして謎のモンスターも出現。


これに対して黒いアーマーを着用した兵士たちが銃で応戦。


ファンタジー世界の敵のように現実味のない見た目をした敵の軍団と……


やたらとリアルなアーマーや銃を装備した主人公たちVRジャンキー。


迫り来るモンスターを……


ゲームのように銃で倒します。


バタリと倒れたモンスターには四肢や頭部があり、やたら人間と似た形をしているのが不気味です。


場面は変わって異世界を冒険中の主人公が……


何かを見つけます。


何の変哲もない風景に見えますが……


銃をパンと撃つと……


空間にノイズが走ります。その後、数発の弾丸を発射すると……


ノイズが広がりました。


これを不思議に思った主人公はそのままノイズの中に足を踏み入れます。視界には「WRONG DIRECTION」という警告が出ているのですがこれは完全にスルー。


ノイズの先にあったのは、先ほどまでいた世界とそれほど変わりのないように見えるただの異世界。


それでも警戒を解かない主人公。


突如後ろからあのモンスターが襲いかかってきて……


首を攻撃されます。


これをなんとか撃退しますが……


首に怪しげな装置をがっちり固定されてしまいました。


すると、どこからともなく他のモンスターが現れ、銃で撃たれたモンスターのもとに歩み寄ります。


その瞬間、激しく視界が乱れ……


何事かと手元を確認してみると……


自分が操作しているキャラクターの手が突如ロボットの手に。


手だけでなく全身が人間の形をしたロボットに変わってしまいました。


そして目の前には、これまで何十体と倒してきたゲームの中のモンスターではなく、人間の姿をした何かが2体。


片方は血を流して死んでいます。


混乱しているようですが、ロボットの凹凸すらほとんどないのっぺりとした顔からは、主人公の感情のような物は一切読み取れません。


お婆さんの目に涙が浮かんでいることに気付き、ようやくこれまで自分が何をしてきたのかを悟る主人公。


辺りを見渡すと……


自分と同じようなロボットが銃で人を殺し……


それを謎のロボットが監視しているという恐るべき世界に自分が立っていることに気付きます。


戦場、というよりは虐殺の舞台。


主人公は首に取り付けられた装置を……


無理矢理外します。


視界にノイズが走りますが……


先ほどまで見えていた異世界は見えず、現実から目を背けることはできません。


そしておもむろに銃を取り出し……


バンと自分で頭を撃ち抜きます。もちろん機械の体を銃で撃っても死ねるわけはないのですが、その後、主人公に待ち受けている驚愕の展開が気になる人は実際にムービーでチェックしてみてください。


ショートムービーの題名である「UNCANNY VALLEY」というのは、「不気味の谷現象」というロボット工学上の概念を指します。これはロボット工学者の森政弘・東京工業大学名誉教授が1970年に提唱したもので、「ロボットが外観や動作において人間らしく作られるようになるにつれ、人間はロボットに対してより好感的・共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わり、人間の外観や動作と見分けがつかないくらいに精巧なロボットになると再びより強い好感・共感を覚えるようになる」というもの。

ムービーを制作したのはアルゼンチンの3Dアニメーションスタジオ「3dar」。以下のページでは「UNCANNY VALLEY」のコンセプトアートやストーリーボードなどが公開されており、そのダークな世界観がどうやって生み出されたのかを探ることができます。

Uncanny Valley — 3dar · 3D Animation Studios


現実世界とVRとの区別がつかなくなったVRジャンキーたち


VRへのダイブに使っていると思しき鼻に取り付ける機器も、多数のデザイン候補が存在した模様。中にはリンゴマーク入りのものもあります。


VRジャンキーたちの戦場は禍々しくはあるものの、現実離れしておりこれが現実世界とリンクしているとは思いません。


VRで戦うVRジャンキーたちの装備


VR上での敵キャラクター


そして、現実世界でVRジャンキーたちが操作していた機械の兵士


その他兵器も複数デザインされています。


これはストーリーボード。いわゆる「絵コンテ」に相当するもので、これがショートムービーの設計図になっています。


着色版


実際の撮影現場の様子も多数アップされており……


役者と背景をCGで合成するために緑色の幕を張って撮影が進められたことがよく分かります。

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in 動画, Posted by logu_ii

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