「Googleがいなくても大丈夫」FirefoxのMozillaが財務報告を公開

By .CK

ブラウザのFirefoxを開発しているMozillaが2014年における同社の財務報告書を公開しました。財務報告書によればGoogleとの検索に関する契約が2014年に終了しましたが、MozillaはGoogleからの収入がない状態でも運営に大きな影響がないことを明らかにしています。

The State of Mozilla: 2014 Annual Report — Mozilla
https://www.mozilla.org/en-US/foundation/annualreport/2014/

Firefox maker Mozilla: We don't need Google's money anymore - CNET
http://www.cnet.com/news/firefox-maker-mozilla-we-dont-need-googles-money-anymore/

Mozillaが公開した財務報告書によれば、2014年の売上高は3億2958万ドル(約403億円)で、売上高全体の98％はGoogleやYahoo！といった検索エンジンをFirefoxのデフォルトに組み込むことで得ているものになります。特にGoogleとFirefoxの結びつきは強く、2004年から10年間にわたって契約を更新してきたのですが、2014年は契約を更新せずにYahoo！、Baidu、Yandexと契約を締結し、2014年11月以降は事実上Googleからの収益が一切なくなることになっています。

MozillaのDenelle Dixon-Thayer氏は「2015年現在でMozillaとGoogleとの間に商業的な関係はありません」と述べ、Googleから巨額の収入を手にしていないことを明らかにした一方で、「Googleと契約を更新しないことで、弊社が本来目指していたブラウザ市場の競争を高めるという戦略に戻ることができる」と話しています。Firefoxのライバルと言えるChromeを開発するGoogleから離れたことで、Mozillaは以前よりも自由な運営方法を推し進められるとのこと。

Mozillaが意味する「ブラウザ市場の競争」とは、ユーザーがインターネットに接続したときに多くの選択肢を与えるということで、これはPCだけでなくモバイルのブラウザも含まれています。モバイルのブラウザ市場は、現状AppleとGoogleの2社だけで独占されている状態であり、Mozillaにはモバイルのブラウザ市場を活性化させたいという狙いがあるというわけです。

Dixon-Thayer氏の言葉通り、MozillaはPCだけでなくiOSとAndroid向けにFirefoxをリリース済み。それに加えてモバイル向けOSの「Firefox OS」をリリースし、発展途上国で安価なスマートフォンの普及に力を注いでいます。

By Mozilla in Europe

Googleとの契約がなくなったことで収益に影響が出ることが懸念されますが、MozillaのJim Cook氏は「検索エンジンに関する新しい契約を結んだので、2015年の売上げは2014年よりも良くなるでしょう」と話しており、Googleとの契約がなくても十分に運営していくことが可能であるようです。