Amazonの運送業進出に向けた知られざる物流ハブ構想「エアロスミス」計画とは?

By Zhao !

ドローンでの空中配達をテストしているAmazonは、すでに日本を含む都市部では1時間以内の爆速配達サービス「Prime Now」をスタートさせています。配達品質の向上に燃えるAmazonには、「自前で運送業に進出するのではないか?」という噂が尽きませんが、ついにその計画の一端「Aerosmith(エアロスミス)」プロジェクトが明らかになっています。

A Secretive Air Cargo Operation Is Running in Ohio, and Signs Point to Amazon | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/a-secretive-air-cargo-operation-is-running-in-ohio-and-signs-point-to-amazon

Amazonは2013年のクリスマスシーズンでアメリカの一部の地域で配送遅延を起こし、ユーザーに配送料を返金&20ドル(約2100円)のギフトカードを進呈するというトラブルに見舞われました。そのころからAmazonは、商品の配達を配送業者任せにすることにまつわるリスクに備える必要性を強く認識し、自前で配達サービスに進出する決意を新たにしたと、一部の識者は考えてきました。

一方で、具体的な計画やそれを裏付ける証拠は少なく、Amazonの運送業進出計画は頓挫しているとも思われていましたが、Amazonがアメリカのオハイオ州ウィルミントンで巨大な航空配達サービスを計画中ではないか、とMotherboardは報じています。

Amazonが航空配達拠点にしていると指摘されたのはウィルミントンにある貨物用の空港ウィルミントンエアパーク。1972年までアメリカ軍用空港だったこの空港は、その後、国際輸送物流サービスのDHLのアメリカ支社が貨物輸送のハブとして利用したものの、DHLのライバルに当たるFedExUPSなどとの競争に敗北し、2008年に撤退。その後は、国際物流の拠点として利用されてきました。


DHLの撤退以降、1日あたり100万個の貨物が輸送されていたかつての勢いを失っていたウィルミントンエアパークでしたが、2015年9月に無名の会社「Air Transport Services Group(ATSG)」が2機のボーイング767をABXから借用して運送テストを行っていることが判明しました。この種の契約は、一般的にウェットリース(航空機リース)と呼ばれ、一時的な需要の高まりに対応したり、試験的な飛行をしたりするために行われるものだそうです。

MotherboardがATSGに対して取材したところ、広報担当者は機密保持契約を理由に、テストフライトに関する詳細な目的については明らかにしなかったものの、「1日に4回、航空貨物輸送を行っており、その輸送先はリーハイバレー国際空港(ABE)オンタリオ国際空港(ONT)オークランド国際空港(OAK)である」と述べたそうです。

AmazonはABEやONTから20マイル(約32km)、OAKから60マイル(約96km)以内の距離に物流センターを持つことから、Motherboardはこの輸送テストはAmazonが行っていると推測して、ATSGの広報担当者に尋ねたところ、輸送しているのは一般消費材であることは認めつつも、Amazonかどうかについては回答しなかったそうです。

Motherboardによると、テストプロジェクトが短期なのか長期なのかにつじては明らかにしませんでしたが、ATSGの広報担当者は、「あくまで私の推測だが、(ブラックフライデーやクリスマスシーズンによる)配送ピークを迎える第4四半期を想定しているのではないか」と述べたとのこと。なお、ABEに取材したところ「議論することはない」と一方的に電話を切られたそうで、少なくとも配達テストを行っている企業は騒ぎ立てられることなく静かに試験を行いたいことだけは分かったそうです。


MotherboardはFedEx、UPS、DHLに対してウィルミントンエアパークでの貨物輸送テストを取り組んでいるかどうかを調査した結果、いずれの運送会社も関与を否定したとのこと。そこで、Amazonに対してストレートに関与の有無を尋ねたところ、「私たちは長年、商品を航空機で配送するために多様なパートナーと協力してきました。今後もその関係が継続することを期待しています」との回答だったそうです。

MotherboardがAmazonに近い関係者から、「Amazonが2016年までに独自の輸送ネットワークを構築する計画であり、究極の目標は、オンラインでの注文から90分から2時間以内に実店舗に配達すること」であるとの情報を得ており、Amazonがその目的達成のために独自に配送業への進出を計画中である可能性は高いと見られています。エアロスミス計画もその一部であるというわけです。

すでに中国のネット通販で190億ドル(約2兆3000億円)まで売上を拡大させてAmazonのライバルにまで成長したアリババは、2013年から自前の物流ネットワークを立ちあげて、2015年までに250都市への食料品配達を実現しています。この動きにAmazonが対抗するのは自然な流れで、まずは、商品配達が激増するクリスマスシーズン特需に対応するために、補完的な位置付けで商品配達サービスに乗り出すのではないかと予想されてます。

もっとも、物流コンサルティング会社MWPVLのマルク・ウルフラットCEOのように、「Amazonが貨物輸送ビジネスをさらに拡張する」と予想する人もいます。また、Amazonで働くと自称する人物による「AmazonはUPSを代替する運送システムの極秘試験に取り組んでいる」という書き込みも存在するとのこと。この投稿者は、「Amazonは独自の運送システムを構築することで、2年以内に世界中のどこにでも翌日配達するサービスを実現するだろう」と書き込んでいます。

By woodleywonderworks

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