メモ

4億円以上集めた超小型空撮ドローン「ZANO」のKickstarterプロジェクトが頓挫していたことが判明


全世界の1万2000人以上の出資者から1万5000機を越えるオーダーを集め、「ヨーロッパ最大のKickstarterプロジェクト」とも言われていた手のひらサイズの超小型空撮ドローン「ZANO」のプロジェクトが頓挫してしまったことが判明しました。2015年1月に締め切られていたKickstarterのキャンペーンでは、230万ポンド(約4億2500万円)もの出資が集まっていたプロジェクトでしたが、そのお粗末な顛末も明らかになっています。

Kickstarter's Zano drone fails to fly - BBC News
http://www.bbc.com/news/34787404

After raising record $3.4M on Kickstarter, UK drone startup collapses | Ars Technica
http://arstechnica.com/business/2015/11/after-raising-record-3-4m-on-kickstarter-uk-drone-startup-collapses/

Europe's biggest Kickstarter has gone bust after raising $3.6 million | The Verge
http://www.theverge.com/2015/11/19/9759834/zano-drone-bankrupt-liquidation-kickstarter

2015年11月11日、イギリス・BBCがZANOのプロジェクトを率いてきたTorquingグループのイヴァン・リードマンCEOの辞任を伝え、ZANOのプロジェクトが暗礁に乗り上げたことを報じました。その理由についてBBCは、リードマン氏自らが「個人的な健康問題と解決しがたい不和」であると述べたことを伝えています。


ZANOは、市販されている多くのドローンでも最小サイズとなる空撮ドローンです。その詳細は以下の記事で詳しく述べられていますが、ZANOは高画質カメラを内蔵した「自撮りドローン」と言えるモデルで、スマートフォンと連携することで自動追尾による空撮など多くの機能が可能であるとされていました。

スマホでカメラを調整でき自動追従モード搭載で「自撮り」に最高の小型・軽量ドローン「ZANO」 - GIGAZINE


Kickstarterでは「完成間近」とされ、2015年1月の締め切りが到達するとすぐに製造が開始されると説明されていたZANOでしたが、当初からその進捗は延期の連続だったとのこと。BBCは8月にTorquingグループの本社を訪ねて取材していましたが、その時点でプロジェクトが深刻な暗礁に乗り上げていることが明らかになっていました。

取材の際には実際にZANOを飛ばして空撮が行われたのですが、締め切りから7か月を経過した時点でも飛行安定性が非常に低く、撮影されたムービーも非常に画質が低いものになっていたとのこと。リードマン氏はこの問題について、ソフトウェアのアップデートで解消されると説明し、出資者にいち早く製品を届けることに全力を尽くしていると語っていました。

その後、実際にZANOの出荷が開始されましたが、1万5000台を越えるオーダーに対して実際に出荷された数はわずか600台に留まったとのこと。懸念されていた飛行性能と画質の問題も解決されておらず、そればかりか「自動追尾機能」など多くの機能が実際には全く実現されておらず、ほとんどの機能が「構想」の段階に留まっていた実態が明らかになりました。

この実態に、出資者からは落胆と怒りの声が挙がっています。FacebookのZANOのページでは「金を返して欲しい。きちんと飛ぶドローンにその金をつぎ込みたい」という怒りのコメントや、「『フォローミー』モードや『ホールドポジション』モード、ジェスチャーコントロール、帰還機能……これら全てがKickstarterのページでは語られていたが、いったいどこまで実現されていたんだ?」と、製品の説明と実態が全くかみ合っていないことに疑問を呈する声が続出しています。

ZANO


また、多くのKickstarterの出資者を差し置いて、製品のプレオーダーで注文した人に出荷が優先されたことにも批判が起こっています。ZANOのプロジェクトが実現するに至ったのは言うまでもなくKickstarterで出資が集まったためであり、プレオーダーが可能になったのもKickstarterキャンペーンであることは否定しようのない事実。にもかかわらず実際の注文を優先したことについて出資者からは「詐欺同然だ」と厳しく非難する声も挙がっているとのこと。

Kickstarterの利用規約では「クリエーターはプロジェクトで確約していた内容を実現する責任を有します。仮に合意内容が実現されない場合には、出資者による法的な行動を受けることとなります」と記載されています。

Kickstarter


Kickstarterをはじめとするクラウドファンディングは「製品への出資」であるために、このような問題が発生するリスクは避けられないものといえますが、事前の説明に正しくない内容が含まれていたとすればその責任の所在が問われる可能性もありそう。ヨーロッパ最大とされるZANOプロジェクトだけに、今後の余波は大きなものになりそうです。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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