取材

1000年以上前に建てられた中世の要塞に1人約8000円以下で宿泊できる「パラドール デ カルドナ」


スペインには古城や修道院、貴族の館といった歴史あふれる建造物をホテルとして整備した「パラドール」という国営のホテルチェーンがあります。お城に宿泊と聞くと思わず「でもお高いんでしょ?」と言いそうになりますが、確かに激安の宿泊費とは言えないものの、べらぼうに高くはないものもあるそうです。日本人にも人気が高い都市、バルセロナから北に100km離れた場所にあるカルドナには、1人8000円以下で宿泊できる「パラドール デ カルドナ」という古い要塞を改装したホテルがあるとのことなので、実際に泊まってみました。

Parador de Cardona | Paradores de Turismo
http://www.parador.es/es/paradores/parador-de-cardona

カルドナの街に近づくと、丘の上にそびえ立つ要塞パラドール デ カルドナが見えてきました。


丘の麓には標識が立っており、ここから丘をのぼってホテルに行くというわけ。


傾斜がかなり急なので、スーツケースを持っている人はタクシーを使うのがベターです。


上を見上げると要塞の一角が見えています。


歩いていると大きな石造りの門が見えてきます。


大昔の人も同じようにして歩いて上っていったのか、などと考えながらテクテク。


要塞に向かう道にはかつて見張り番に使われていた小屋のようなものを発見。


大人1人がぎりぎり入れる空間に細い隙間があいており、ここから外の様子を見ていたのだと実感します。


歩くこと約30分、ようやくホテルの入り口が見えてきました。


途中から車道と合流し、ものすごいヘアピンカーブを自動車が走り抜けていきます。大きな自動車はカーブのたびに切り返すくらい道は狭いです。


門からは中世っぽさがガンガン伝わってきます。


これがホテルの入り口。


入り口を入るとすぐに受付がありチェックイン。ホテルの従業員は英語を話せるので、スペイン語がわからなくても安心です。なお、公式サイトで部屋を予約済みで、2人で120ユーロ(約1万5800円)でした。


受付の前にはなぜか武器がショーケースに並べられています。


模造された武器は購入可能で、バリスタは28.20ユーロ(約3800円)


ナポレオンモデルのピストルは49.40ユーロ(約6520円)


エスパーダは62.55ユーロ(約8200円)です。


彫り込まれた模様がきれいなエスパーダでした。


エレベータに乗って部屋に移動。


部屋がある6階に到着。廊下は改装されていて清潔感たっぷりです。


館内には案内板が設置されているので、それに従って進みます。


階段を下りたフロアも6階になっているなど、中はかなり複雑なので注意が必要。


廊下には明らかに年期の入った家具が置かれています。


何回も角を曲がってようやく宿泊する611号室に到着。


鍵はカードキータイプで近代的です。


これが今回宿泊するスタンダードダブルルーム。部屋はこぢんまりとしていますが、ベッドは天蓋付きで豪華です。


ベッドの前にはLG製のテレビと冷蔵庫。


テレビの隣にはデスクがあります。いすは肘掛けが付いていないので長時間の仕事には不向きです。


天蓋付きベッドの前にはいすが2つ置いてあります。


歴史あふれる部屋にテンションが上がり、カーテンを開けたり閉めたりして遊んでみました。


枕は横長のタイプ。


ベッドは少し固めです。


天蓋付きのベッドで寝るのは、滅多にないことなのでテンションが上がります。


「窓はどこにあるのか?」と思って壁を見ると、天井からカーテンが垂れ下がっているのを見つけました。


カーテンをあけると天井付近に小さな窓を発見。部屋に窓はコレ1つです。


カーテンの横には金属製の棒が置かれています。


棒を使って窓をオープン。


やはり窓1つでは差し込む光は少なめ。昔のお城に窓が少なかったことを実感でき、快適性を求めて宿泊するわけではないので全く問題なし。むしろ、感慨深い気持ちになります。


窓は小さめですが、部屋にはエアコンが付いているので快適に過ごせます。


部屋のドアの前には、きれいに改装されたトイレとお風呂。


トイレはこんな感じ。


洗面台もものすごくきれいです。


シャンプー・ボデイソープ、石けん、クシなどのアメニティもありますが、歯ブラシはありません。


壁にはドライヤーもあります。


これがお風呂。


シャワーは上部に1つと……


下部に1つの合計2つ付いていました。


シャワーの水圧は申し分なく、海外のホテルでありがちな水圧が弱いということはありません。


部屋のドアの横にはクローゼットがあり、枕やハンガー、貴重品用の金庫が入っています。


部屋を見たところで要塞の内部をウロウロしてみます。


廊下の至る所には人物画や宗教画が飾られていました。


高級そうな家具が並べられたダイニングルームのようなスペースがあり、宿泊客なら誰でもゆっくりできます。


ゆっくりできるスペースは館内の至る所にありますが、ウロウロしていると行き止まりにぶち当たったり、思わぬところに出てきたりして本当に迷ってしまいます。特に自分が宿泊しているフロアから他のフロアに移動して戻ってくるときは、「なぜ元いた場所に戻れないのか?」と思うほどに迷ってしまい、昔の人の空間認識能力の高さに脱帽しました。


6階にあるバーは宿泊客でなくても利用可能。


訪れた時間には誰もいませんでしたが、夜になるとビールを飲みながらサッカーを見ている人がチラホラいました。


今度は受付に戻って要塞の外を探検してみます。


パラドール デ カルドナは、アラゴンの軍司令官カルドナ侯ドン・ラモン・ホルクが9世紀にローマ人の砦の跡に建てた要塞。中には2世紀に建造された施設もあり、その歴史に浸りながら見学できます。


絶景が広がるバルコニー。


スペインの田園風景が広がっています。


ホテル以外の部分は誰でも入れるので、多くの観光客がいました。


古めかしい井戸。いつ建てられたのかは不明です。


中をのぞくと吸い込まれそうなくらい真っ暗。


要塞の外周をくるっと回ると、先に見たバーのテラス席にたどり着きます。


すでに肌寒い季節だったため誰もいませんでしたが、ポカポカした陽気の日にはテラスでコーヒーでも飲みたいところ。


テラスの前には「乙女の塔」と呼ばれる塔が建っています。名前の由来は、イスラムの青年に恋したキリスト教徒のお姫様が両親の反対を受けて幽閉され死亡したとか。


塔のてっぺんにあるのはカタルーニャ州旗。カタルーニャ州は、今なお独立運動が続けられていてバルセロナでは州旗を掲げる人の集団に遭遇することもありました。


乙女の塔から下を見下ろすと、カルドナの街全体を見渡せます。


なお、夜になるとこんな感じで夜景がとてもきれいです。


テラス席もライトアップ。


一晩明けて、朝食をとりにレストランへ。レストランの前にはまたしても豪華な空間が広がっています。


この狭い通路を抜けた先にあるのがレストランです。


レストランは中世の雰囲気を残しており、かなり広め。


朝食はビュッフェ形式。


甘いタイプのパンが豊富においてあります。


コーンフレークやコーヒー。


サンドウィッチにチュロス、スパニッシュオムレツ、目玉焼き。


さらにはモッツァレラチーズや生ハム、サラミ、スモークサーモンなどなど。


アヒージョやチョリソーまで、朝食はかなり豪華です。


パエリアはありませんが、豊富な種類のパンがあります。


オレンジやスイカ、パイナップルなどフルーツも取りそろえてありました。


ブラッドグレープフルーツジュースやオレンジジュースなど。


超絶豪華な朝食を堪能できるというわけです。


雰囲気満点の要塞に、日本だと数千円くらいしそうな朝食ビュッフェが付いてきて1人8000円以下で宿泊できるのはお得感たっぷり。パラドール デ カルドナは激安の宿ということではありませんが、パフォーマンスがコストを上回った泊まる価値のあるホテルになっているのでかなりオススメです。

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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