レビュー

専用レンズや一眼用レンズを使ってスマホカメラをグレードアップできるカメラリグ「Beastgrip Pro」を使ってみた


一眼レフカメラには望遠レンズや広角レンズ、魚眼レンズにマクロレンズなど複数のレンズがありますが、レンズを付け替えることでひとつのカメラで全く異なる写真を撮影できるようになります。そんな体験をスマートフォンのカメラでも可能にするというカメラリグが「Beastgrip Pro」です。専用の広角マクロレンズと魚眼レンズが付いてくる他、一眼レフ用のカメラレンズを使えるようになる専用のアダプターもセットになっており、他にもファインダーやストロボ、三脚などを手軽に取り付けられるようになっているとのことなので実際に使ってみました。

Beastgrip Pro - The Most Versatile Tool for Phoneographers
http://beastgrip.com/

◆フォトレビュー
「Beastgrip Pro」はスマートフォン用のカメラリグで、Kickstarterにて出資を募っていたものが無事製品化を果たしてGIGAZINE編集部にまでやってきました。


まず黒い箱を開けてみると……


中にはBeastgrip Proの本体が入っていました。


一緒に入っているこのパーツは、カメラリグの骨組みを大きくしたりパーツを外したりする際に使用するもの。基本的には使用しなくても全然大丈夫なものたちですが、骨組みをバラバラに分解するのに必要なパーツが入っているので大事に保管しておく必要アリ。


「BEASTGRIP」と彫られている方を表面とすると……


裏面にスマートフォンを取り付けられるようになっています。


バネ内蔵で自由に位置を変えられるこのツメを上に引き上げて……


こんな具合にスマートフォンをセット。


スマートフォンを取り付けた状態で表面を見てみるとこんな感じ。


この縁部分が金色の円形パーツ部分にレンズを取り付けるので……


つまみをくるくる回して……


スマートフォンのレンズが顔を出すように位置を調節。これでスマートフォンの取り付けは完了です。


カメラリグの至るところに金色のねじ穴があるのですが、これは三脚やフラッシュなどを固定できる1/4"-20マウント。


続いて、Beastgrip Proと一緒に使える専用レンズと一眼レフ用レンズを取り付けるための専用アダプターをチェックします。


茶色の箱をパカリ。


中に入っているのはレンズケア用のブロワーとクロス。


これはBeastgrip Proで一眼レフ用レンズを使えるようにするために必要なDOFアダプター。


そして、この黒色ケースの中には……


37-52mmステップアップリングと、37mmスクリューマウントを持つ4つのクローズアップレンズ。


クローズアップレンズは側面に「+10」「+4」「+2」「+1」と書かれたものの4種類があります。


黒色の箱2つの中に入っていたのはこんな巾着袋で……


中には魚眼レンズ(左)と広角マクロレンズ(右)が入っていました。このレンズはそれぞれ37mmのスクリューマウントを備えているので……


Beastgrip Proに直接装着可能です。


装着するとこんな感じ。


というわけでさっそく撮影してみようとカメラアプリを起動してみたところ、スマートフォンをグリップしているツメパーツがiPhoneの側面にある音量調節ボタンをガッツリ押さえつけており、エンドレスに写真を撮影し続けてしまうという事態が発生。


そんな時は、表面のレンズ付近にあるつまみをくるくる回して……


Beastgrip Proの骨組みを少し伸ばしてやればOK。


◆作例
というわけで、Beastgrip ProにiPhone 6sを取り付け、専用の広角マクロレンズ・魚眼レンズ・レンズなし(素のままのiPhone 6s)の3通りで写真を撮影してみました。iPhone 6sのLive Photoモードとフラッシュはオフ、フィルターもなしで撮影しており、撮影時はピントの位置以外は完全オートで、全て補正なしでリサイズしたものを掲載しています。

・レンズなしと広角マクロレンズ
レンズなしでフィギュアをパシャリ。


広角マクロレンズで同じようなアングルから撮影するとこう。ガールの足下がレンズなしよりもボケているのがよく分かり、被写体バックのパースがかなりゆがんでいるのが特徴的。


iPhone 6sのカメラだとガールのアミーボの顔に寄り切れませんが……


広角マクロを装着するとこれぐらいまで寄れます。広角マクロを装着すれば素のままでは撮影できないような世界を撮影できることもあるかも。


レンズなしだとこんな感じで……


広角マクロだとこう。広角マクロを装着すると画角が広くなるので、背景に映り込むものも増えます。


レンズなしで花をパシャリ。


広角マクロを装着すればズームなしでもさらにアップで可能。花びらの真ん中にある黄色いおしべ・めしべの部分までくっきりはっきり写っています。


・魚眼レンズ
レンズなしで撮影するとごく普通の写真になってしまうような風景も……


魚眼レンズで撮影するとなんだかそれっぽい写真にグレードアップできます。


そんな魚眼レンズで撮影するとこんな写真が撮影できます。


こんな距離からも撮影可能。


もちろんBeastgrip ProはiPhone以外のスマートフォンにも対応しており、さまざまなサイズの端末をセットできるようになっています。

5.1インチディスプレイ搭載のGalaxy S6 edgeや……


5.96インチディスプレイ搭載で、もはやスマートフォンというよりはタブレットに近いNexus 6もこの通りギリギリグリップできます。


◆DOFアダプターを装着
DOFアダプターを使用するには、まず37-52mmステップアップリングを用意。


これをDOFアダプターの「10×MACRO LENS 52MM」と書かれている側に装着します。


取り付けるとこんな感じ。


次に37-52mmステップアップリングに、37mmスクリューマウントを装備しているクローズアップレンズの内、「+10」と書かれているものを装着。


そしてDOFアダプターをBeastgrip Proのレンズマウントにドッキング。


この状態でカメラを起動すると四隅に大きなケラレが発生していました。


DOFアダプターをのぞき込んでみると、アダプター内のフォーカシングスクリーンが大きく傾いていました。


これを直すには、DOFアダプターの「2」と「3」と書かれたパーツを……


パージ。そしてフォーカシングスクリーンが傾かないように指で支えながら……


「3」のパーツを戻せばOK。


しかし、キレイにセットしても撮像の上下左右に黒いケラレができてしまう模様。


続いて一眼レフ用のレンズを取り付けます。DOFアダプターはキヤノンEFマウントに対応しているので、EFレンズやEF-Sレンズを装着可能。ニコンやソニーなどその他メーカーのレンズも、それぞれに適したマウントアダプターを使用すれば装着できます。


一眼レフ用レンズを装着するとこんな感じ。DOFアダプター自体がちょっとしたレンズと同じくらいのサイズになっているので、装着すると非常にロングで厳つい見た目になります。


これを三脚にセットするとこんな感じ。


また、DOFアダプターを使用すると撮像は上下反転してしまいます。そのため、Beastgrip ProとDOFアダプターを使用する際は、CineCam ProFiLMiC Proなどの「撮像を上下反転できるカメラアプリ」を使うとより簡単に撮影できる、とのこと。


撮影するとこんな感じ。DOFアダプターは「キヤノンEFマウント用」としか書かれていなかったのですがEFレンズ用のようで、EF-Sレンズを装着すると以下のように四隅にケラレが発生しました。


これを避けたい場合は撮影した写真をトリミングするか、撮影時にケラレが隠れるくらいにズームすればOK。ただし、iPhoneのカメラは光学ズームではなくデジタルズームなので、ズームするとどうしても画質が荒くなってしまいます。また、撮影時にはレンズで被写体を捉えてからマニュアルでピントを合わせる必要もあるので注意。純正のカメラアプリを使用すると撮像が上下反転してしまうのでさらに撮影がややこしくなり、動きながらの撮影はほとんど不可能なレベルに感じました。


一眼レフ用のレンズを装着してiPhone 6sで撮影した写真は以下の通り。かなりズームしてから撮影しているので画質はかなり粗めです。


Beastgrip ProはKickstarterで出資を募っていたのですが、コメント欄では「さっそくさびてきた」や「私はいまもBeastgrip Proのファンです。それは、デザインとコンセプトが素晴らしいからなのですが、DOFアダプターを正確に使っても一眼レフの代替案としては恐ろしくチープなカメラができあがるだけです。一眼レフ用レンズを使用しても写真のクオリティは満足のいくものではなく、時間や労力、お金を費やした分には見合いません。コレのおかげでよりデジタル一眼レフが欲しくなりました」「届いた時にはレンズが壊れていた」「正直なところ、DOFアダプターは感動的なものではなく、クオリティが低く、かなり使いづらい」など、そのクオリティに疑問を投げかけるコメントが多数見られます。

実際に使用して感じたのは「作りの甘さ」で、専用の広角マクロレンズは届いた時には既に小さな傷が入っており、DOFアダプターの使い心地もコメントにある通りかなり悪いです。Beastgrip Proをカメラリグとしてフル活用できたわけではないので総合的な評価はなんとも言えないところですが、「専用レンズや一眼レフ用レンズを使ってスマートフォンの写真をグレードアップさせたい」というだけで購入を検討しているなら、速攻諦めて他の製品を探した方が良さそう。少なくとも、DOFアダプターを装着した状態だとかなりサイズが大きくなるのでコンパクトさには欠けるので一眼レフを持ち出すことと大きな差がなく、専用レンズを使ってiPhoneのカメラでは撮影できないような絵を撮影したいならばよりコンパクトなMomentなどを使用した方がはるかにマシに感じます。

それでも、カメラリグとしての性能を遺憾なく発揮させたいユーザーや、どうしてもスマートフォンで写真やムービーを撮影したりユーザー、さらにはBeastgrip Proの見た目が気に入ったユーザーなら長く愛用できるかもしれません。

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in レビュー,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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