ゲイ・バイセクシャルの男性からの献血が世界的に解禁傾向

by Waldszenen

世界には「同性愛者(ゲイ)、および両性愛者(バイセクシャル)の男性からの献血は無条件でお断り」という国が多数あったのですが、この風潮の見直しがどんどん進んできて、10月29日のオランダに続き、11月5日にフランスでも来年から献血を受け付けるようになることが発表されました。ただし、無条件の解禁ではなく「1年以内に同性との性的接触がないこと」などの条件がついているため、関連団体ではこれからも活動を続けることを確認しています。

Don du sang des homosexuels : la fin d’une discrimination.
http://www.marisoltouraine.fr/2015/11/don-du-sang-des-homosexuels-la-fin-d%E2%80%99une-discrimination/

France to Lift Ban on Gay Men Donating Blood - The New York Times
http://www.nytimes.com/2015/11/05/world/europe/france-gay-blood-donation.html

そもそも「ゲイ、およびバイの男性」に限って献血が断られているのは、1980年代のHIV感染者・エイズ患者の増加に端を発しています。HIVは「性的感染」「血液感染」「母子感染」という経路が知られています。当然ながら、「性的感染」とは男性と女性、および男性同士、女性同士のいずれも含むものですが、「ゲイの男性に感染者が多い」という誤解もあって、多くの国で「ゲイ、およびバイの男性」の献血を断るルールが定められました。

ゲイ・バイの男性の献血にどう対応しているのかを示した地図が以下のもの。薄いピンク色は「性的接触の期間について条件なしで献血OK」、赤色は「性的接触の期間について条件つきで献血OK」、濃い色は「献血は受け付けない」を表しています。

by Vovan7349

この地図で、アルゼンチンは「条件なしで献血OK」となっていますが、規則を改めたのは2015年9月16日(水)のこと。中南米ではアルゼンチンに先駆けてキューバ、チリ、メキシコ、ニカラグア、ペルーで献血禁止の措置が解除されました。

Ban on gays donating blood lifted in Argentina - Yahoo News
http://news.yahoo.com/ban-gays-donating-blood-lifted-argentina-215925929.html

ヨーロッパは地図上では小さくてちょっと見づらいのですが、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランドでは条件なしの献血を受け付けていますが、献血を受け付けない国の方が多かったため、2015年10月29日(木)にオランダでゲイ・バイ男性の献血が解禁されたことは大きなニュースになりました。ただし、1年以内に同性と性的接触がないという条件付きです。

Netherlands ends lifetime blood ban on gay and bisexual men
http://www.ibtimes.co.uk/netherlands-ends-lifetime-blood-ban-gay-bisexual-men-1526299

11月5日(木)には、オランド大統領が選挙公約にしていた通り、フランスでもゲイ・バイ男性による献血が解禁されました。ここもオランダと同じく条件付き。

France to Lift Ban on Gay Men Donating Blood - The New York Times
http://www.nytimes.com/2015/11/05/world/europe/france-gay-blood-donation.html

このほかに、イギリスも2011年11月に献血ルールを「禁止」から「条件付き」に、アメリカも2014年12月に同様に改めています。

米国: 同性愛の男性から生涯にわたり献血を禁止してきた措置を解禁
http://jp.ibtimes.com/articles/1380269

日本も他国と同じように1980年代のHIV・エイズ流行を受けて、「1986年1月24日 薬発第10号 各都道府県衛生主管部(局)長宛て厚生省薬務局生物製剤課長通知」でゲイ・バイ男性については献血を断ることを決めました。「advocacy of gay rights」によれば、このあと変更があって、2000年までは「過去1年間に同性同士の性的接触があった人」、つまりレズビアン(女性同性愛者)も含む形の文言になっていたとのこと。現在は「献血をご遠慮いただく場合」の「エイズ、肝炎などのウイルス保有者、またはそれと疑われる方」というページにある通り、過去6ヶ月以内に不特定の異性・新たな異性・男性同士の性的接触があった人などについて、献血を断る旨が記されています。

ようやく「一生涯献血することができない」から「一定期間、同性との性的接触がなければ献血OK」になったアメリカでは、なぜそんな制限があるのかということを揶揄したムービーが作られています。

"Sad Studs" PSA (Taylor Swift & Kendrick Lamar Cover) - Jeffery Self & Jake Wilson - YouTube


町で献血車を見かけたジェフリー・セルフさんは、献血のために立ち寄ります。


ゲイだというジェフリーさんにセックス経験を問う検査員。なぜかと問い返すジェフリーさんに「FDAの規則で、記入欄があるから」というのですが、「先週だよ」と言われて、献血をお断り。


そして騒ぎに……。


以降は、テイラー・スウィフトの「Bad Blood」のミュージックビデオのパロディとして、ジェフリーさんの前に次々といい男が現れます。


本家本元のミュージックビデオはこんな感じで、かなり雰囲気が似ていることが分かります。

Taylor Swift - Bad Blood ft. Kendrick Lamar - YouTube


こうして、世界的にはどんな人でも献血を受けてOKという方向に向かっているようなのですが、一方で、北アイルランドでは2015年1月に内閣再編があり、イギリス(イングランド)とは異なり「ゲイ・バイ男性による献血はお断り」という方針を変えないことが確認されています。

Jim Wells: I back Edwin Poots' gay blood ban - BelfastTelegraph.co.uk
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/health/jim-wells-i-back-edwin-poots-gay-blood-ban-30924523.html

また、先ほどの地図では「条件によらず献血を受け付ける」とされているタイですが、2008年にタイ赤十字がゲイによる献血の拒否を発表しています。情報によれば、献血で得られた血液の中にHIVや肝炎に感染しているものがあり、その多くがゲイによる献血だったとのこと。この拒否が現在も続いているのかどうかは不明です。

2008年4月3日(日) タイ赤十字、ゲイの献血を拒否| エイズに関する国内外の情報のほか、タイの情報などもお届けしています
http://www.npo-gina.org/blog/2013/09/200843-634297.html

Thailand joins gay blood ban · PinkNews
http://www.pinknews.co.uk/2008/04/02/thailand-joins-gay-blood-ban/

Gay anger as Red Cross rejects blood - Bangkok Post
http://www.bangkokpost.com/archive/thai-red-cross-rejects-gays-blood/338110

また、現在はゲイ・バイ男性の献血をOKとしているロシアでは、2013年7月に「同性愛プロパガンダ」禁止法が成立。翌8月には下院議員が同性愛者からの献血禁止を提案しています。

権利団体では、イギリスなどのような「同性との性的接触が一定期間ないこと」という献血の条件撤廃を目指して活動を進めていくとのことですが、同じ条件を定めている日本でどういった動きがあるのかについても要注目です。

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