「世界初のスマートドローン」3DR社が日本企業とのコラボ事業を発表、クリス・アンダーソンCEOが同席して記者会見を開催


元Wired誌編集長で、ロングテール概念の生みの親でもあるクリス・アンダーソン氏が共同設立者を務める3D Robotics社(3DR)と、日本の芝本産業株式会社が共同でドローン関連の事業展開を進めるコラボレーション体制を結んだことを発表しました。3DRは世界初のスマートドローン「Solo」を開発した企業で、Linuxを搭載するハイスペックドローンを日本の空で活用する取り組みが始められることになっています。

3DR - Drone & UAV Technology
https://3drobotics.com/

芝本産業株式会社
http://www.shibamoto.com/

◆世界初のスマートドローン「Solo」とはどんなドローン?
3D Roboticsが開発したドローン「Solo」は、ドローン本体と操縦用のコントローラーにクロック周波数1GHzのプロセッサを積む「スマートドローン」で、LinuxベースのOSで制御することで高機能な処理を可能にしているという特徴を持っています。


高い処理能力を活かして非常に高い次元での自律飛行と複雑な機能を両立するドローンとなっており、以下のように2つの地点を結んで飛行しながら、地上の1点をカメラで追い続けるなどの動作を簡単な設定だけで実践できるという性能を備えているとのこと。


Soloはシンプルな空撮を越えた「映画クラスの撮影」をも可能にするドローンですが、その枠は空撮だけにとどまらずに幅広い産業分野への活用が可能なレベルに達しているとのこと。その高い性能を活用すべく開始されるコラボが3DRと芝本産業の提携事業というわけです。3DR Soloのより詳しい特徴は、以下の記事にもまとめられています。

世界初の「スマートドローン」をうたう現状最強のクアッドコプター「3DR Solo」が登場、どこがどうすごいのか? - GIGAZINE


◆コラボ事業発表記者会見で語られた狙いや展望
2015年10月29日、都内にある芝本産業の本社で3DRのクリス・アンダーソン氏を招いての記者発表会見が行われました。


会場には3DR Soloの実機が置かれています。


時間になると、芝本産業の芝本社長、3DRのクリス・アンダーソンCEO、芝本産業の合弁子会社である日本ニューホランドの芝本社長が登場。シリコンバレーの中心人物の一人であるアンダーソン氏が登場する状況に思わず身震いすると同時に、今回のコラボ事業の大きさを実感する瞬間でもあります。


芝本産業の芝本社長からは、今回のコラボレーションついて「空飛ぶ『おもちゃ』から産業・商用に使われる段階に入ったドローンを、農業をはじめとした産業に役立てるために共同で事業を展開したい」と期待が語られました。


3DRのアンダーソンCEOは「これからのドローンは『どう使うか』の時代です。空撮の次の段階として、ドローンを使った世界のデジタイズ(デジタル化)やマネジメントが可能な状況となっており、その面で芝本産業とコラボレーションすることを楽しみにしています」と事業に向けた展望を語りました。


アンダーソン氏は「今の状況は、パーソナルコンピュータの世界にマッキントッシュが登場した時代に似ており、今後のドローンの世界はドローンを使ったアプリケーションやシステムの内容が非常に重要になります。芝本産業からいろいろ教わりながら事業を進めることに興奮しています」と、コンピューターの世界を知り尽くしたアンダーソン氏ならではの説得力のある発言を行っていました。


日本ニューホランドの芝本社長からは「TPPが締結されて厳しさを増す農業分野でよりよいソリューションを提供するうえで、3DRとのコラボレーションは新しい道筋をつけるものと期待しています」と展望を語っていました。


日本ニューホランドは、アメリカのフォード社との合弁企業をもとに誕生した企業とのこと。外から最先端の大型農業機械を日本に輸入し、大規模農業を少ない人員でマネジメントするためのソリューションを提供しているとのことで、日本の「クボタ」とも15年にわたるOEM供給関係を築いているそうです。

今回のコラボ事業では、ここまでに語られているとおり農業分野での活用をメインとした協力体制が進められることになります。すでに日本ニューホランドが進めているGPS技術ベースの精密農地管理(PLM)や高性能農業機械との一体化を進めることで、ドローンが農作業情報のリアルタイム収集を可能にし、営農コストの削減と作物増収の大きな助けとなることが期待されています。


なお、コラボする分野については、当面は農業分野への活用がメインになるものの、時期を見て別の分野へ広げることも当然考えているとのこと。ただし、一般ユーザー向けの「コンシューマー機」への参入は考えられていないようで、あくまで非常に高い性能をもつSoloを含めたトータルなソリューションを提供することが最重要課題とされているとのこと。


気になる価格については、取り入れられるアプリケーション(利用現場)によって異なるため一概には言えないものの、「プレミアムでプレステージな機能」をハイエンドユーザー向けに提供して行くことが念頭に置かれているとのこと。普段あまり農業に関わっていない人にとって農業分野の技術革新はなかなか縁遠いものですが、一般消費者の知らないところで実は急速に技術が発展し、状況がどんどんと変化していることを実感しました。


今回の事業の中心になる、スマートドローンの3DR Solo。4本のアームに4枚のローターを配備する姿はDJI Phantomシリーズにも似た形状ですが、ブラックアウトされたカラーリングのおかげでかなり精悍な印象。


3DRはGoPro社との親密な関係にあることが知られており、アンダーソン氏はこのドローンを「最も優れたGoPro撮影ドローン」と評しています。


オリジナルのジンバルを搭載し、安定性の高い映像を実現しています。


専用のコントローラーとはWi-Fiを使って接続するようになっており、最大で約1km離れた場所からの操縦や通信が可能。高度なオートパイロット機能を備えており、自動で取得したデータをWi-Fiで手元にダウンロードし、データをクラウドにアップロードすることで高度な処理やデータ管理が可能になるとのこと。これまで人間の目では不可能だった空からの農地管理を、ヘリコプターなどの高価な機材を使わずに、自動で精度高く実現できるソリューションとして、ドローンが活用される段階が始まろうとしているというわけです。


発表会後には、アンダーソン氏によるドローンの産業活用に関するセミナーが開催されました。


かつて、宇宙に浮かぶ人工衛星を使って「衛星でつながる」というコンセプトが語られたことがあり、さまざまな課題に直面してその実現は困難でしたが、これを可能にするのがドローンであるというのがアンダーソン氏の考え。過去20年間でコンピューターが発展したことで多くのことがデジタイズ(デジタル化)されましたが、実際に人々が暮らしている社会そのものはほとんどデジタル化されていません。そのギャップを埋めるのが、ドローンを使って世界をセンシングすることでデジタイズするものであるという概念が語られました。


自身の祖父が「タイマー付きスプリンクラー」を発明した人物だったというエピソードを用い、アンダーソン氏は「ドローンは自動タイマー式のスプリンクラーのようなものと考えてください。毎日決まった時間になると自動で飛び立ち、『データ収集』という決められた任務をこなして元の位置に戻ってきます。人間はそのことをほとんど意識することなく、収穫された『データ』を活用し、より精度が高く、効率の良い農業を享受できるようになります」と語り、ドローンやロボットを農業や研究の分野に使う社会が近いうちに実際のものとなると予告。これはビッグデータ技術における大きなチャンスの到来であり、我々はその時代に住んでいるということが語られ、ドローンが「ホビー」から「ツール」になる時代が本当に訪れようとしていると語っていました。

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