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アメリカ政府当局がドローンの購入者に登録を義務づけへ、年内にも発効か

By Greg Clarke

アメリカではドローン(マルチコプター)の購入者に対して政府機関へ登録するよう義務づけられることが濃厚になっています。登録制度は2015年末のクリスマスシーズンまでに始まるものと見られていますが、その実施には難しい問題も残されています。

'Urgent' call for US drone register - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-34578259

Task force will mandate drone registration process - CNNPolitics.com
http://edition.cnn.com/2015/10/19/politics/drone-registration-task-force-announced/index.html

U.S. Will Require Drones to Be Registered - NBC News
http://www.nbcnews.com/news/us-news/u-s-will-require-drones-be-registered-n446266

日本でもドローンにまつわる数々の事件が世間をにぎわすようになりましたが、アメリカでもその状況は同じといえます。2015年7月には、ニューヨーク郊外にあるジョン・F・ケネディ空港に着陸しようとしていた乗客乗員159名が乗った小型旅客機にドローンが異常接近するというインシデントが発生しています。この時の両者の距離はわずか100フィート(約30メートル)となっており、最低でも1000フィート(約300メートル)と定められた規定の10分の1という異常な事態となっていました。


急激に増加したドローンの問題を踏まえ、アメリカ合衆国運輸省は2015年10月19日(月)、ドローン購入者登録制度の制定に向けたタスクフォース(専門部局)の立ち上げを発表しました。制度の開始は2015年12月のクリスマスシーズン前が見込まれており、一年で最もドローンが販売される時期までに制度を導入する動きが始まっています。

運輸省長官のアンソニー・フォックス氏は制度導入の目的について「ドローン操縦者における、アカウンタビリティー(説明責任)と責任能力の文化を作り上げることにある」としています。また、連邦航空局(FAA)のマイケル・フエルタ長官は「安全な飛行を行わない場合には、どのような結果に結びつくことになるか知ることになるでしょう」と強い表現で制度の意義を説明しています。

By Ars Electronica

アメリカでは一月あたり100件にも及ぶ旅客機とドローンのニアミス事故が報告されており、旅客機の安全を考えると登録制度の導入もやむなしと言わざるを得ない部分があるのも事実。フォックス長官は登録制度の導入について、操縦者の所在や人物の特定につながる「好ましい第一歩」と考えているようですが、一方で「まだまだ不十分」という姿勢をも示しているとのこと。その理由は、ドローンを悪用する意図を持つ特定の集団に対する抑止力が十分ではないと考えているようで、さらなる規制の導入に向けた姿勢を示していると見られます。

制度の導入については、エドワード・マーキー上院議員も「自動車には安全性と責任を担保する登録制度があるように、ドローンに対しても同じ制度が必要」と語っています。アメリカでは全ての航空機やヘリコプター、大型の飛行物に対してFAAへの登録が義務づけられています。この制度が開始された場合は、まずは新規購入者に対して登録が義務づけられることになりますが、将来的には過去の購入者にさかのぼって登録を求めることも視野に入れられているとのこと。

ついに登録制度が濃厚になってきたアメリカの情勢ですが、一方でその実効性に異論が出ているのも事実です。急激な進化を続けるドローンは、完成品状態で出荷される機体のほかに、それぞれのパーツを個別に購入して自分で組み立てるという「DIYドローン」の愛好家が多く存在しており、このようなケースにどのように対応するのか、その具体的な答えはまだでていない状況です。

One major problem with the FAA drone registry: DIY drones.
http://www.slate.com/articles/technology/future_tense/2015/10/one_major_problem_with_the_faa_drone_registry_diy_drones.html

その他、「誰がどの時点で登録する義務を負うのか」「誰かから機体を譲り受けた場合の登録はどうなるのか」「登録に必要な料金は発生するのか」などの課題が残されており、さらに「登録に必要な個人情報はどこまでが求められるのか」「誰がその情報を管理するのか」など、新しい制度への課題は山積している状況。当局では、広く市民の意見を聞く機会を持つことも予定しているとのことですが、果たしてどのような制度が形づくられることになるのか、目が離せない状況になってきました。

By Lee

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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