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SSDのための新規格「NVMe」採用でSATAを圧倒する性能の「950 Pro」を旧モデルと徹底比較


ストレージ用の新規格「NVMe」は、メモリベースのストレージであるSSD向けに開発されたプロトコルで、従来のS-ATA規格を凌駕するパフォーマンスを発揮できることで注目を集めています。SamsungがリリースしたNVMe規格対応のSSD「950 Pro」をテクノロジー系ニュースサイトArs Technicaがレビューしています。

950 Pro review: Samsung’s first PCIe M.2 NVMe SSD is an absolute monster | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2015/10/950-pro-review-samsungs-first-pcie-m-2-nvme-ssd-is-an-absolute-monster/

◆950 Pro概要
950 Proは先行リリースされた廉価版SSD「SM951」の上位モデル。Samsungの開発するセルを垂直方向に積み上げた3次元立体構造のV-NAND(旧名:3D V-NAND)フラッシュの第2世代バージョンで、32レイヤーを垂直に重ねることで1チップあたり128Gbitの容量を実現しています。


左から、3.5インチHDD、2.5インチSSD、M.2規格のSSD(950 Pro)。950 Proは、フォームファクタM.2のSSDで、全長は80mm。現在、主流となっているIntel 1XXシリーズや9Xシリーズのマザーボードで一般的に採用されているM.2スロットに無理なく収まるサイズとなっています。


950 Proは、すでに普及しているM.2規格のSSDと異なり、インターフェースにはSATAではなくPCI Express Gen3のX4を採用しており、新プロトコルのNVMeに対応しています。なお、950 Proはリリース当初は256GBと512GBの2モデル体制、1TBモデルは2016年にリリースされる予定となっています。


◆ベンチマーク
Ars Technicaは、マザーボードにPCI Express Gen3 ×4のM.2ポートを搭載するASUS X99-A、CPUにIntel Core i7-5960x、メモリにCorsairのDDR4(2666MHz)メモリを32GB、OSにはNVMeに標準対応するWindows 10 Pro(64bit)という構成で、950 Proのパフォーマンスを計測しています。


・ランダム性能
Iometerを使ってランダム性能を計測、旧モデルでSATA接続タイプの2.5インチSSD「850 Pro」と比較するとこんな感じ。同じV-NANDを採用している850 Proに対してPCI Express Gen3 ×4対応の950 Proは、ライトでは同等かわずかに上回る程度ですが、リード性能では圧勝という結果になっています。


AS SSD Benchmarkでもこの傾向はまったく変わらなかったとのこと。


・シーケンシャル性能
AS SSD Benchmarkでシーケンシャル性能を比べても、950 Proはリードで約2000MB/s、ライトでも850 Proのダブルスコアを記録しており、リード・ライトともにSATA3の壁(600MB/s)を軽々、越えています。


CrystalDiskMark 5.02での測定結果はこんな感じSamsungの公式アナウンスを上回るパフォーマンスになっています。


各SSDの個別のスコアは以下の通り。これは950 Pro(512GB)。



950 Pro(256GB)



850 Pro(512GB)。SATA3にある600MB/sの制限が完全にボトルネックになっていることが確認できます。



850 Pro(256GB)も同じくメモリ、コントローラーの性能を発揮できていない模様。



・IOPS性能
AS SSD BenchmarkでIOPSを測定するとこんな感じ。これは850 Pro(512GB)のスコア。



850 Pro(256GB)



950 Pro(512GB)



950 Pro(256GB)。以上の通り、950 Proは850 ProをIOPSでも圧倒する結果となっています。



・実使用シミュレーション
ただし、実際に使用するときのパフォーマンスを総合的に評価できるPCMark 8を使ったベンチマーク測定では、生データの転送速度(緑色)には大きな差が確認できるものの、実使用シミュレーション(オレンジ色)では大差がないという結果になっています。


起動時間は950 Pro(512GB)が最速ですが、いずれも僅差。速度アップを体感できるレベルではなさそうです。


各種ベンチマーク測定を終えたArs Technicaは、950 Proは高いシーケンシャル性能、リードIOPS性能を持つ点で、他のSSDにはない圧倒的な性能を実現しているとしつつ、同じくNVMe対応の廉価モデルSM951に比べて価格が高いことが欠点であり、一般的なSATA接続の2.5インチタイプSSDと体感できる差が生じるのは、極めて高いIOロードが要求されるというような特別な環境に限られるだろうと結論づけています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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