なぜかフグの毒が消える奇跡の食材「ふぐの卵巣のぬか漬け」を本場・金沢で食べてきた


フグの内臓に毒が含まれることはよく知られていますが、石川県金沢市と、隣接する白山市にはフグの卵巣をおよそ2年にわたって塩漬けとぬか漬けを行うことで、なんとその毒を消し去ってしまうという奇跡の食材があります。少し聞いただけでは思わずたじろいでしまいそうな食材ですが、金沢市内でも実際に食べられるお店があるということだったので、ここでしか作られていないという味にチャレンジしてきました。

ぐるなび - 寿し・地もの酒菜 高崎屋(金沢/寿司屋)
http://r.gnavi.co.jp/r038900/

ふぐの卵巣のぬか漬けを食べられるお店に到着。今回は金沢駅からほど近い「寿し・地もの酒菜 高崎屋」を訪れました。


高崎屋の場所はこのあたり。金沢駅から歩いて数分の距離にあるので、バスに乗る必要すらありません。


大きな看板が掲げられた店先。のれんをくぐって入店します。


通された座敷に置かれた大きな座卓は、エメラルドグリーンのような色合いが鮮やかでした。


さっそく「ふぐ卵巣の糠漬けとふぐ身粕漬け」(税込880円)を注文。およそ5分でテーブルに届けられました。小さなたまごの粒が集まっており、見た目はカズノコやタラコによく似ています。オレンジがかった色味になっていますが、これはぬか漬けで熟成させる際に色がついたもののようです。


「さっそくひと口……」と手を付けようと思った矢先に、わりと強めの香りが漂ってきました。漬物に特有の発酵臭と思われる香りで、最初は少しビックリしましたが、すぐに鼻が慣れてさほど気にならないレベルに。むしろ、発酵食品に特有の旨みを連想させる匂いともいえるので、特にお酒が好きな人には魅力的に感じられるかも。


箸でひとつまみしてパクッ。ぶわっと香る発酵の香りと塩気のおかげで、味わいはまさに「ザ・漬物」といったところで、漬物好きにはたまらない一品。「プチプチ」と口の中でたまごの粒がはじけるごとに染みこんだ味が口に広がるようで、海の幸と漬物が融合するという不思議な感覚に思わず「うん。おおぉ」と口走ってしまいました。


かなり塩気が強めに漬け込まれており、フワッと香るぬか漬けの匂いも漬物好き・酒呑みがイチコロでやられる味。ということでビールと一緒に味わってみると、実によい酒の肴となっていました。今回はビールにしましたが、むしろ日本酒、それも淡麗ではなく山廃系の個性があるお酒などをチビッとやりながら味わうと、さらに楽しめそうな味になっています。


また、ふぐの卵巣のぬか漬けは、ご飯との相性も抜群とのこと。白ご飯の上にのせて……


パクりといくと、これまた絶妙の味わい。ご飯が漬物の強い味を和らげ、逆に漬物がご飯の旨みと甘みをより引き立てるようで、両者が混じり合って見事なバランスに整いました。


大根を細切りにした「けん」とあわせて食べるだけでも抜群においしく味わうことができます。「ふぐの内臓を食べている」という若干のバイアスがかかっていることは否めなくもないですが、「ふぐの卵巣のぬか漬け」は色んな味わい方ができる奇跡の一品となっていました。


「ふぐの内臓なんか食べて大丈夫なの?」という声も聞こえてきそうですが、この食材は江戸時代あたりから受け継がれる伝統あるものとのこと。ふぐの卵巣をまず塩漬けでおよそ2年漬け込み、その後に糠(ぬか)や麹(こうじ)などで半年~1年程度漬け込まれて完成します。その過程で、内部に含まれる毒が食べても問題のないレベルにまで解毒されるとのことなのですが、なんとその科学的メカニズムはいまだ持って謎の部分が多いとのこと。毒素であるテトロドトキシンが糠漬け期間中に水分と一緒に抜け出ていく、あるいは乳酸菌の作用によるものなど諸説あるようですが、2015年時点で確かなのは「数年にわたって塩漬け・ぬか漬けすることで、なぜか毒が消えてしまう」ということだけのようで、まさに「奇跡の食材」と呼ばれるゆえん。

石川県新情報書府「奇跡の毒抜き-ふぐの卵巣の糠漬けに見るいしかわの発酵文化-:ふぐの卵巣の糠漬け:なぜ毒は抜けるのか」


このぬか漬けを作るためには、「石川県ふぐの処理等の規制に関する条例」によって県から許可を受け、定められた基準をクリアした施設を使って加工処理することが必要とのこと。以下のページでもその工程が公開されていますが、詳細な作り方は秘密が守られているようで、現在でもふぐの卵巣のぬか漬けを作っているのは、「石川県ふぐ加工協会」に加盟している石川県白山市美川地区と金沢市金石地区、そして輪島市にある製造者だけだそうです。

石川新情報書府「奇跡の毒抜き-ふぐの卵巣の糠漬けに見るいしかわの発酵文化-:ふぐの卵巣の糠漬け:どのように作るのか」


そんなことを知りながら食べると、さらに絶品の味わいに。ここでしか作られない独自の食べ物を地元で味わうというのは、じつに味わい深いものでした。お酒の好きな人はもちろん、そうでない人でもご飯と一緒に食べるなど、いろいろな楽しみ方がありそうです。


なお、器に添えられた「ふぐ身粕漬け」も、ほのかに粕の香りを感じる味わい。カワハギの干物のような歯ごたえのある食感ですが、中から身の旨みが染み出してきて、こちらも味わい深い一品となっていました。


この「ふぐの卵巣のぬか漬け」は金沢市内のお店で味わえるほか、金沢駅に隣接した「あんと」でおみやげとして買って帰ることも可能。北陸新幹線が金沢まで開通したことで、金沢には行きやすくなったという人も多いはず。文字どおり「ここでしか作られていない」という味なので、ご当地を訪れた際に「1度味わっておくべきリスト」に加えておいても良さそうです。


さらに、Amazonなどのオンラインショップでも通販で購入することも可能なので、気になった人はまずこちらでチャレンジしてみるのもいいかも。

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in 試食, Posted by logx_tm