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「ハッピーバースデートゥーユー」の歌の著作権はワーナーに帰属しないとの判決が下る


「ハッピーバースデートゥーユー」のフレーズを繰り返す歌「Happy Birthday to You」の著作権を保有しているとして、音楽出版会社のワーナー・チャペル・ミュージック(ワーナー)が著作権侵害を理由に映画制作会社に歌の使用料を求めたところ、制作会社側が「ワーナーは歌の著作権を保持していない」として提起していた訴訟で、「原告の主張の通り、ワーナーは歌の著作権を保持していない」との判決が下されました。

031122040618 - 00065570.pdf
(PDFファイル)http://www.shadesofgraylaw.com/media/00065570.pdf

Birthday Song’s Copyright Leads to a Lawsuit for the Ages - The New York Times
http://www.nytimes.com/2013/06/14/nyregion/lawsuit-aims-to-strip-happy-birthday-to-you-of-its-copyright.html

Happy Birthday to Youは、19世紀にミルドレッド・ヒル、パティ・ヒルのヒル姉妹が作詞・作曲した「Good Morning to All」という歌が原曲の、いわゆる替え歌です。原曲よりも人気になった替え歌Happy Birthday to Youの著作権は、アメリカでは1935年にクレイトン・サミー氏らによる共有名義で正式に著作権登録がされています。なお、原曲のGood Morning to Allは登録されなかったため、アメリカではパブリックドメインとして、自由な使用が認められています。


後にHappy Birthday to Youの著作権はヒル姉妹からサミー社に譲渡されましたが、アメリカでは1998年に制定された著作権延長法によって法人著作権の有効期間が公表後95年に延長されたため、1935年から95年後の2030年までHappy Birthday to Youの著作権が有効となりました。

ちなみに、アメリカではミッキーマウスの著作権の効力が切れそうになるとディズニーの強力なロビー活動によって著作権法の有効期限が延長されるのが常で、過去何度も繰り返されてきた一連の著作権の延長措置は「ミッキーマウス保護法」と揶揄されています。

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その後、1998年にサミー社をワーナーが買収したことで、Happy Birthday to Youの著作権は以後、ワーナーに帰属することになりました。なお、ワーナーはHappy Birthday to Youの利用許諾を厳格に運用しており、「世界で最も有名な歌」としてギネスブックに登録されたHappy Birthday to Youは、「世界で最も金を稼ぐ歌」としても知られています。

ワーナーはHappy Birthday to Youの使用料として年間で数億円をゲットしており、この高額な使用料が映画やテレビドラマでHappy Birthday to Youが歌われていない理由だと言われています。

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厳格なワーナーの方針のため、Happy Birthday to Youの利用を控える映画制作会社が多い中、2013年にアメリカ・ニューヨークの映像制作会社グッドモーニング・トゥ・ユープロダクション(GMTY)が、「Happy Birthday to You」というタイトルのドキュメンタリームービーを制作。ムービー内でHappy Birthday to Youを使用した結果、ワーナーに無断利用の違約金として1500ドル(約18万円)を請求されました。

これに対してGMTYを経営するジェニファー・ネルソン氏はワーナーによる違約金請求を不服として、ワーナーを提訴。訴訟で原告のGMTYは「サミー社が譲り受けたHappy Birthday to Youの著作権は、歌そのものではなくピアノを使った編曲に限られる。そのためワーナーがサミー社を買収することで承継したのはピアノの編曲部分に限られる」と主張していました。

Happy Birthday to Youの歌詞が含まれる1924年に発行された書物「Harvest Hymns」を手に、ワーナーが保有するというHappy Birthday to Youの著作権の効力に疑問を投げかけるネルソン氏。


カリフォルニア州連邦地裁は2015年9月22日に、サミー社が正当にHappy Birthday to Youに関する権利を譲り受けたこと自体は認めましたが、「譲り受けたのはHappy Birthday to Youのピアノを使った特定の編曲に限られる」として、Happy Birthday to Youの歌詞に関する著作権の承継を否定。その結果、「サミー社を買収したワーナーはHappy Birthday to Youの歌詞についての著作権を保有しない」と認定して、原告の主張を認めました。

ワーナーがHappy Birthday to Youの歌詞の著作権を保有しないという今回の判決が確定すれば、ワーナーとの紛争を恐れてHappy Birthday to Youの使用を避けてきた多くの映画関係者が、今後は作品内で堂々とHappy Birthday to Youが歌われるシーンを撮影することになりそうです。

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