メモ

50年余の歴史に一旦幕を下ろして建て替えられる「ホテルオークラ」に集まる国内外からの保存を求める声


2015年8月31日、東京・虎ノ門で50年以上にわたって多くの利用客を迎え入れてきた「ホテルオークラ東京」がその長い歴史に幕を下ろしました。施設の老朽化や、2020年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックに向けてサービスを向上させるために本館の建て替え工事が行われ、2019年に再オープンすることが予定されているのですが、日本の伝統美とモダンさが共存する建物が取り壊されることについて国の内外から保存を求める声が挙がっています。

2019年新しい本館へ|ホテルオークラ東京
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/toward2019/

Final check out - Issue 75 - Magazine | Monocle
http://www.monocle.com/magazine/issues/75/final-check-out/

ホテルオークラは、1964年にアジア地域で初めて開催された「東京オリンピック」の2年前に開業した日本を代表するホテルの1つで、日本の伝統美を現代の国際的なホテルに再現することを念頭に置いて設計されました。1964年の東京オリンピックの際には国内外からの来客を迎え、同年日本で開催されたIMF(国際通貨基金)の総会の際には、同ホテルの大広間「平安の間」が会場に選ばれています。


その後も重要な会議が開催され、旧ソ連のゴルバチョフ書記局長やレーガン元米大統領など世界各国の要人や、川端康成などの文豪、ダイアナ妃や元ビートルズのジョン・レノンといった有名人が滞在先に選んでいたことでも知られています。そんなホテルオークラ東京ですが、2015年8月31日をもって本館の営業を一旦終了し、25億円の費用をかけて本館部分の建て替え工事が行われることになっています。立て替え後にはガラス張りで41階建てと16階建ての建物に生まれ変わり、客室数が増やされるほか、客室面積も従来の約2倍に拡大されることになっています。


多くの著名人を受け入れてきたほか、伝統と格式のあるホテルとして多くの人々に愛されてきたホテルオークラ東京本館の建て替えについて、国内外から建物の保存を求める声が挙がっています。20世紀の建築の成果を記録するとともに、それにかかわる現存建物・環境の保存を訴える国際学術組織「DOCOMOMO(ドコモモ)」の日本支部である「DOCOMOMO Japan」は、建物の保存と再生を求める要望書をホテルオークラ東京の池田社長に宛てています。

ホテルオークラ東京本館の 保存・再生要望書 2015年7月9日付 | docomomo

(PDF)ホテルオークラ東京本館の保存・再生要望書


イギリスのライフスタイル誌「Monocle(モノクル)」は同誌のウェブサイト上でホテルオークラ東京本館の保存を訴える特設サイト「Save the Okura hotel」を開設しています。

Monocle - Save the Okura hotel


Monocleはホテルオークラ東京本館の魅力を伝えるムービーを公開しており、その魅力をわかりやすく紹介しています。

End of an era - YouTube


1962年(昭和37年)のオープン以来、ホテルオークラ東京は日本を代表するホテルの1つとして多くの人を迎えてきました。


日本の伝統美を近代の国際ホテルに再現することを念頭においてデザインが施されており、館内ではさまざまな印象的な装飾を見ることができます。古墳時代の飾り玉である「切子玉」をモチーフにしたというつり下げ照明は、同ホテルを象徴するデザインの1つとなっており、「オークラ・ランタン」と名付けられるほどだったとのこと。


館内のあちこちにちりばめられる和のテイスト


「平安の間」に置かれた屏風の数々や華やかな生け花


ロビーにある世界時計は、日本の古地図を感じさせるテイストに仕立てられています。


近代のホテルとは一線を画す雰囲気漂うロビー


真っ白な障子に写る竹藪のシルエット


つり下げ照明のアップ。5角形の組み合わせの隙間から漏れる柔らかい光がホテルオークラの雰囲気を作り上げていました。


静かに落ち着きのある空間になっていたようです。


建物の外壁にも和のテイストがしのばされています。


菱形を組み合わせた模様をモチーフにした壁面のデザイン。


利用者を迎える着物姿の女性は日本ならでは。


落ち着きある館内の案内パネルも決して目立ちすぎず、その一方でしっかりと利用者に情報を届けます。


ホテルオークラ東京を物語るバーが、本館5階にあったメインバーの旧「オーキッド・バー」でした。


落ち着いた雰囲気に趣のある調度品の数々


バーカウンターの向こうでは、静かにカクテルを作るバーテンダー


旧オーキッドバーを代表するカクテルがジンベースの「マティーニ」だったとのこと。バーテンダーは客の好みや雰囲気に合わせてカクテルのバランスを調節していたそうです。


旧本館の閉館とともに営業を終えたのが、レストラン「オーキッド・ルーム」。


ここにも切子玉モチーフのつり下げ照明が使われていました。


客の目の前でフランベされるデザート「クレープシュゼット」が絶品だったそうです。


夜になると、建物外壁では格子模様の壁から漏れる光が独特の雰囲気をかもし出していました。


53年にわたる長い仕事を終え、ホテルオークラ東京本館は姿を変えて生まれかわることになっています。

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in メモ,   動画,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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