生き物

チョウの輝く羽は一体どのような構造になっているのか?

by Steve Corey

まるで発光しているかのような鮮やかな羽を持つチョウや、見る角度によって羽の色が変わるチョウなど、世界中には個性的な色のチョウが存在します。チョウの羽が輝いて見える現象は「iridescence(虹彩色光沢)」と呼ばれているのですが、一体なぜ虹彩色光沢が生まれるのかという疑問を、カリフォルニア大学リヴァーサイド校で数理物理学を研究しているジョン・バエス氏が解説しています。

The Physics of Butterfly Wings | Azimuth
https://johncarlosbaez.wordpress.com/2015/08/11/the-physics-of-butterfly-wings/

チョウの羽に含まれる物質は、グラフェンを3D化したような構造であるという新事実がMIT所属の数学者ヘルマン・ワイル氏の研究によって2015年6月に判明しました。グラフェンは、炭素原子が原子1個分の厚さで強く結合したシート状の物質で、熱伝導率や電気の伝導度に優れています。以下の画像はグラフェンの分子構造を表したモデルです。


チョウの羽を構成する物質を顕微鏡で見た際のモデル図が以下のもの。「ジャイロイド」と呼ばれる3次元の構造体で、極小曲面を成しています。グラフェンの上では電子が2次元方向にしか移動できませんが、チョウの羽の内部では電子が3次元方向への移動することが可能です。

この物質はキチンという多糖高分子で、カニの殻の主成分でもあるほど固く丈夫な物質です。鮮やかな羽を持つチョウは、羽を構成するキチンがジャイロイド形状を取っていることが近年の研究により明らかになっています。ジャイロイドの形状は少しずつ異なるため、羽に太陽光が当たると、羽の内部で光が複雑に屈折して通り抜けて、羽がキラキラと光って見えるというわけです。


実際にチョウの羽を顕微鏡で見てみると、ジャイロイド構造の層がさまざまな方向に重なっているのが分かります。以下の写真はミドリコツバメの羽を顕微鏡で拡大したものです。


ミドリコツバメはその名の通り緑色に輝く羽をもつチョウです。

by David A. Hofmann

なお、チョウの羽の他に自然界でジャイロイド構造を持つものとしては、水と混ぜた油が水面でひとつにまとまる際にジャイロイド構造をとることが分かっています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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