ハードウェア

集積回路を使わずにトランジスタだけでコンピュータを自作するとこうなる


コンピュータの進化は半導体の進化であり、それは集積回路(IC)の集積密度の高まりでもあるわけですが、そのコンピュータの進化の流れに逆行するかのように、ICを一切使わないでトランジスタだけで作られた自作コンピュータが「FullTr-11」です。そのトランジスタで自作されたコンピュータFullTr-11の最新バージョンとしてLEDで作ったコンピュータ「スーパーLチカコンピュータ」が登場しています。

トランジスタでコンピュータを作るキット---CPUもメモリもトランジスタで製作
http://recursion.jp/comp/j/index.html

スーパーLチカコンピュータ --- ICを使わずにLEDで作るコンピュータ
http://recursion.jp/rl/SuperLED/j/

トランジスタでコンピュータを作るキット「FullTr-11」とは一体何かは、以下のムービーを見れば一発で分かります。

FullTr-11:トランジスタでコンピュータを作るキット - YouTube


これがトランジスタで作られたコンピュータ「FullTr-11」


FullTr-11はCPUやメモリもトランジスタで製作されており、ICを一切使用していません。総部品点数は驚異の6926個。


基板にはトランジスタの密林。ICを一切使わないトランジスタオンリーを貫くため、一見ICに見間違えられそうな集合抵抗なども使わないというこだわりよう。なお、FullTr-11は自作コンピュータキットなので、これらはすべて手作業によるはんだ付けが必要であり、完成までの道のりを思うと、頭がクラクラしてしまいそう……。


サイズ比較のために、iPhoneと比べるとこんな感じ。


ヒト(身長:170cm)と比較するとこんな感じ。


命令デコーダと演算装置(ALU)


レジスタ、クロック、表示回路の部品。


RAM


ROMと、コンピュータの各部品がトランジスタで構成されています。


FullTr-11を使って円周率を計算するデモ。


計算開始と共に、各所に配置されたLEDがあやしげに光ります。


数秒後にはじき出された答えは「3.14」。なぜに3桁の表示なのか……。


FullTr-11のスペックは、CPUが11ビット、周波数が1KHz、RAMが5.5バイト、ROMが128バイトとなっています。


FullTr-11の「11」とはCPUの11ビットから来たもの。アドレス幅、レジスタサイズ、ALUサイズのすべてが11ビットというこだわりようで、32ビット、64ビットなど集積回路を作るのに便利という理由で2の累乗サイズのICがはびこる中、過去になかったビット数、しかも素数のビット数、ということで11ビットを選択したとのこと。これによりFullTr-11は「世界初の11ビットコンピュータ」の称号を得ています。なお、FullTr-11は先着1名限り、19万9000円(税抜)で完成品を購入可能です。

6926個の部品を実際に組み立てられるのかは誰しも不安になるところだろうということで、よくある質問も公開されています。それによるとFullTr-11製作に大切なのは、「説明書をよく読む注意力と、途中で投げ出さない根気」とのこと。

FullTr-11よくある質問:トランジスタでコンピュータを作るキット---CPUもメモリもトランジスタで製作
http://recursion.jp/comp/j/faq.html

Q:初心者でも作れますか。
A:はんだ付けをしたことが全くないという人には無理だと思います。ある程度はんだ付けの経験があれば、作れると思います。このキットの組み立てを完成させるのに必要なことは、説明書をよく読む注意力と、途中で投げ出さない根気です。

Q:中級者・上級者なら楽に作れますか。
A:部品点数が多いので、楽かどうかは人によります。このキットの組み立てを完成させるのに必要なことは、中級者以上かどうかというよりも、説明書をよく読む注意力と、途中で投げ出さない根気です。

Q:サポートはありますか。
A:これだけの部品点数のものですので、動作しない場合や不具合の原因をメール等の手段だけで特定するのは困難です。そういうわけですので、申し訳ありませんが、組み立ては自己責任、サポートなしとご理解ください。

Q:このコンピュータでWindowsやWordは動きますか。
A:いいえ。WindowsもWordもExcelも動きません。


さらに、FullTr-11を改良して、論理回路をDTL(Diode-transistor logic)に置き換えたコンピュータ「スーパーLチカコンピュータ」も公開されています。

DTL化によりLEDをふんだんに使ったことで、さらに艶めかしさが増した「スーパーLチカコンピュータ」については、以下のムービーで確認できます。

スーパーLチカコンピュータ: ICを使わずにLEDで作るコンピュータ - YouTube


これが「スーパーLチカコンピュータ」。FullTr-11がベースとなっています。


DTLでCPUを作成。


トランジスタの密林は、LEDの密林へと進化。


お約束の円周率計算。


怪しさMAXで光りまくった後に……


「3.14」という正確な数値をはじき出しました。


スーパーLチカコンピュータは2015年8月1日、2日に東京ビッグサイトで開催されるMaker Faire Tokyoで公開される予定。また、スーパーLチカコンピュータは2台限定で完成品として販売される予定で、詳細については個別交渉を受け付けるとのことです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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