Googleストリートビューカーが大気汚染レベルの測定・マッピングを開始することが決定

サンフランシスコを拠点とする環境センサーネットワークを構築する企業の「Aclima」が、現地時間で2015年7月28日にGoogle Earth Outreachと提携し、都市部の大気汚染レベルを可視化するプロジェクトスタートさせたことを発表しました。

Aclima and Google Partner to Map Outdoor Air Quality with Street View Vehicles | Aclima
http://aclima.io/blog/posts/aclima-google-map-air-quality/

発表によると、両社は街じゅうを走り回って風景を撮影するGoogleのストリートビューカーにAclimaのモバイルセンサーを搭載することで町の大気環境を測定し、これを可視化することでユーザーの環境意識にパラダイムシフトを起こすことを狙っているとのこと。

大気を測定するストリートビューカーは以下のムービーの中で見ることができます。

Aclima & Google Map How Cities Live and Breathe - YouTube


大量の車や……

工場など、大気汚染の原因は多種多様。

「地球全体で大気汚染が進んでいる」と言われるだけでは、普段自分が生活している場所がどれくらい汚染されているのかは、いまいちピンとこないものです。

そこで、GoogleとAclimaが協力。Googleストリートビューを作成するために街じゅうをせっせと走り回るGoogleのストリートビューカーにAclimaのモバイルセンサーを取り付けることで、いつどこでどれくらい汚染物質が排出されているのかをマッピングしようというわけです。

プロジェクトでは人体に害がある、もしくは気候変化に影響を及ぼす可能性のある粒子状物質および揮発性有機化合物を測定するそうで、実際に実証実験の段階で導入された3台のストリートビューカーでは二酸化窒素、一酸化窒素、オゾン、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、黒色炭素などの濃度を計測することに成功しています。

実験では、Aclimaは3台のストリートビューカーに自社のモバイルセンサーを取り付け、約1カ月間という長期にわたってアメリカ・コロラド州の都市デンバーの大気汚染レベルを計測。なお、計測にはAclima・Googleの他、NASAやアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)も参加しており、EPAは科学的な専門知識の提供およびアメリカの産学連携研究形式CRADAの締結などに関与しているそうです。1カ月の実証実験期間でストリートビューカーの走行時間は750時間に達し、1億5000万のデータポイントを集めることに成功しています。

3台のストリートビューカーが集めたデータは以下から見られます。

Aclima Insights: Mapping How Our Cities Live and Breathe
http://insights.aclima.io/

ストリートビューカーの走行ルート。

計測したのは以下の物質。

日・時間・物質ごとに異なるデータを見られるようになっており、例えば2014年年7月31日23時から24時にかけてデンバーで計測された二酸化窒素の濃度を示すのが以下のもので、青色が濃くなるほど汚染レベルが高いということになります。なお、こういったデータが現在は2014年7月31日の分のみ公開されており、二酸化窒素・一酸化窒素・オゾンの濃度を6時から24時までの1時間ごとに分けて見られるようになっています。

「AclimaのモバイルセンサープラットフォームとGoogleのストリートビューカーが統合されることで、我々はどのような場所で暮らし、呼吸しているのかを知る絶好の機会を得ることになります」と語るのは、AclimaのCEOであるDavida Herzl氏。

さらに、「現在、世界の人口の半数以上が都市部で生活をしており、環境衛生は生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を高める上でますます重要な問題になってきています。今日、我々はGoogleとの統合テストに成功したことを発表します。AclimaのモバイルセンサープラットフォームとGoogleのストリートビューカーの統合は、都市部の大気汚染度合いを高解像度の地図で示すための基礎になります」とコメントしています。