ムービー

人間とチンパンジーのDNAは99%一致するというのは本当なのか?


「人間とチンパンジーではDNAの違いはわずかに1%しかない」という「99%一致説」が世間に浸透しています。しかし、本当に遺伝子配列の99%が一致するかというと、そうではないことが指摘されています。人間とチンパンジーのDNAの違いはどの程度のものなのか、DNAの違いを調べることに意味はあるのかなどが、分かりやすく解説されたムービー「Are We Really 99% Chimp?」が公開されています。

Are We Really 99% Chimp? - YouTube


よく言われるのは人間とバナナの遺伝子(DNA)は50%が一致するということ。


同様に、人間と犬では80%が、チンパンジーにいたっては99%のDNAが共通だと言われます。


この場合、体内の細胞を取り出してみると、染色体に代表されるDNAの遺伝子情報のごく一部のみが異なるように受け取れます。


しかし、実際には人間とチンパンジーでは、DNAの遺伝子情報はかなり違っています。


人間とチンパンジーが別の種に別れたのは600万年前から800万年前。


別の種になってからも、ともに進化を続けて遺伝子情報がそれぞれ変化してきました。


人間の染色体は23対なのに対してチンパンジーは24対と、それぞれ独自の進化を遂げてきました。


遺伝子情報を文字に書き起こして比べてみます。


人間にあるけれど、チンパンジーにはない遺伝子情報やその逆もあり。


それ以外の部分は、塩基配列はごく一部が違うだけでほとんど同じ。


これらの違いを科学者がどう捉えるのかが、99%一致説の鍵を握ります。


塩基配列のわずかな違いは一つずつ数え上げることは可能。


では、まったく違う部分はどう扱えばよいのでしょうか?


例えば、人間とチンパンジーとで記述自体は共通しているけれど、人間では2回繰り返す場合はどうでしょう。


これらをすべて1文字ずつ違うものとして数え上げるべきか……


それともパラグラフ全体を「1つ」の違いとして数えるべきか。


同じパラグラフでも異なる場所に現れている場合はどう考えるべきか?


文字列の順序が反対の場合は?


文を区切れば一致する場合はどうか?……など判断が難しい場合がたくさんあります。


この難問に対する科学者の回答は……


なんと、「大きく異なる部分は切り捨てる」という大胆な方法。


その数、なんと13億文字。


一方、残った24億文字だけを考えて……


比較した結果が「98.77%の一致」というわけです。


つまり、人間の25%のゲノムとチンパンジーの18%のゲノムを無視して、残りの部分だけを比較して出されたのが「人間とチンパンジーはDNAが99%一致している」という99%一致説なのです。


さらに、根本的な問題としてDNA情報の異なる「程度」は単純な文字列の違いでは計れないというものがあります。


わずかなDNA情報の違いで、姿かたちがまったく異なることがあったり……


他方でDNA情報がかなり違うのに、ほとんど同じ形の場合もあったりします。


つまりは、DNAの情報がほとんど同じであることをもって、生物学的に「近い」とは言えないということ。


しかし、DNA情報を調べることに意味がないかと言えばそうでもありません。DNA情報はその動物が進化してきた「歴史」を記録している情報として非常に大きな意味を持っています。


進化する度に異なる枝に分かれてきたそれぞれの進化の過程を示すのがDNA情報。


その進化の過程を考えれば比較的近い段階で分かれた人間とチンパンジーが非常に近い種であるのは確実だと分かります。


もちろんバナナと大きく異なるのも確実と言えるのです。

・関連記事
ヒト遺伝子操作のガイドライン策定に向けて動き、タブーの領域に踏み込んだ「ヒトの遺伝子操作」に歯止めか - GIGAZINE

野生のヤマネコをイエネコに変えた遺伝子とは? - GIGAZINE

人間はなぜ殺し合うのかという謎の解明へ一歩前進、チンパンジーの事例が適応戦略で説明できることを京大が発表 - GIGAZINE

「DNA検査」を3つ同時に受けてみたら明らかになった興味深い事実とは? - GIGAZINE

最速の競走馬はDNAで判別可能か、競馬界における遺伝子検査とは? - GIGAZINE

クローン豚を大量生産する世界最大の「クローン工場」で作られる生命と将来の科学について - GIGAZINE

女性に自閉症を引き起こすとみられる遺伝子の特定に成功、画期的な手法が高く評価 - GIGAZINE

in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by logv_to