ハードウェア

レコードを立てた状態で再生する縦置きターンテーブル「Floating Record」


昨今の音楽ソフトを取り巻く環境では、サンプリング周波数48kHzや96kHz、FLACファイルやDSDの言葉が飛び交うハイレゾが大きな話題となっていますが、その一方で昔ながらのビニール製レコードに対する人気は相変わらず根強く、一時期に比べると復調を示すともいえる状況となっています。そんなレコードを再生するプレーヤーが「Floating Record」なのですが、このプレーヤーはレコードをほぼ垂直にセットして再生するという極めてめずらしい特徴を備えています。

Gramovox - Stream Nostalgia
http://www.gramovox.com/


これが縦置きターンテーブルのFloating Record。木でできたベースの上に文字どおりレコードが浮かんでいるような状態でセットされており、レコードの針をセットするトーンアームはベースから垂直に上を向いてセットされています。


トーンアームを見上げるアングル。アームはベアリングを内蔵したマウントにセットされ、絶妙な重量バランスで適切な針圧を実現するのは従来のレコードプレーヤーと同じ構造。異なるのはセットされる角度だけです。


Floating Recordのサイズは幅17インチ×奥行き10インチ(約43cm×25cm)で、LPレコードを含む高さは16インチ(約41cm)となっています。よく見ると、レコードをセットするターンテーブルは後方に軽く傾けられており、この角度を利用してレコード針の適切な圧力である「2グラム」の荷重を生むように設計されています。


各部の名称はこんな感じ。トーンアームの先にはオーディオテクニカ製のデュアルマグネットカートリッジAT95Eがセットされます。レコードをセットするターンテーブルの中央に装着されたネジ式のクランプでレコード本体をがっちりとホールドし、ベース部分に内蔵された駆動用モーターでシリコン製ベルトを駆動してテーブルを回転させます。ベース部分の素材はメイプルとウォールナットを選択できるようになっており、左右には口径2インチ(約5cm)のフルレンジスピーカーを内蔵しています。


本体を後ろから見ると、ベース部分からアクリル製の台座が伸び、その先に同じくアクリル製のターンテーブルがセットされる構造になっています。


背面中央には、電源部や出力端子などを装備。電源はアダプターを介してDC12ボルトを供給するタイプになっており、電源スイッチが装備されています。また、本体には信号を増幅する「フォノアンプ」を内蔵しており、赤と白のRCA端子(ピン端子)から外部機器へ直接出力が可能なほか、ヘッドフォンをつなげて聴くことも可能。そして、一番右にあるスイッチを切り替えることで、内蔵スピーカーのオン/オフを行うことができます。


ターンテーブルは昔ながらのベルト駆動方式を採用。ベース部分から飛び出したプーリーにシリコン製のベルトを引っかけてテーブルを駆動する仕組みとなっています。


レコードの回転数は、大小2つあるプーリーの溝にベルトを掛け替えることで変更する仕組み。


ベルトを掛け替えるのは極めてカンタンで、指でシリコン製のベルトを引っ張ってとなりの溝に入れるだけ。その様子は以下の画像をクリックすると、GIFアニメで見ることができます(約6MB)。


その構造に加え、Floating Recordには別のユニークな機構が備わっています。トーンアームの根元にはレバー1つでアームをレコードから浮かせ、針や盤面を痛めることなく曲の頭出しが可能な「キューイング・メカニズム」が採用されています。


レバーを操作してアームを浮かせる様子は、以下のムービーで見ることが可能です。

Gramovox Floating Record - Cueing Mechanism from Gramovox on Vimeo


奇抜な構造だけでなく、音質にもこだわって作られたというFloating Record。シカゴのレコーディングスタジオ「Earhole Studio」のエンジニアによる音チェックも行われたそうです。


このFloating RecordはクラウドファンディングサイトのKickstarterで出資を募集中。目標金額の5万ドル(約600万円)に対し、記事作成時点では世界中の3000名以上の出資者から約1200万ドル(約1億5000万円)の出資が集まっています。

Floating Recordは白っぽい色のメイプルモデルと、茶色いウォールナットモデルの2タイプをラインナップ。早期出資優待割引制度であるEarly Birdプランはすでに枠が埋まっていますが、記事作成時点では349ドル(約4万3000円)でいずれかのモデルをゲットできるほか、668ドル(約8万3000円)を出資して両モデルを1台ずつセットで入手することも可能です。


なお、日本への発送には、94ドルから180ドル(約1万2000円~2万3000円)の送料が別途必要。出資の締め切りは日本時間で2015年7月28日(火)22時ちょうどとなっており、出荷時期は2015年12月ごろが予定されています。

Floating Record™ Vertical Turntable by Gramovox — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/gramovox/floating-recordtm-vertical-turntable

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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