「iWatch」の商標権をめぐってAppleに対する訴訟問題が発生

By Hiné Mizushima

かつてAppleが同社のスマートウォッチに使用すると考えられていた「iWatch」という名称について、ヨーロッパでAppleにこの名称を使用させないための訴えが起こされたことが明らかになりました。

Apple Is Getting Sued Over the Name iWatch, Even Though That’s Not What Its Product Is Called - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-07-14/apple-is-getting-sued-over-the-name-iwatch-even-though-that-s-not-what-its-product-is-called

この訴訟を起こしたのはアイルランド・ダブリンに拠点を置くソフトウェア・ネットワーク開発企業のProbendiで、同社では「iWatch」という名称をコンピューターおよびソフトウェアに関する名称としてEU域内で独占的に使用できる権利を2008年3月に取得していると主張しています。

Probendiのサイトで「iWatch」の項目にアクセスすると、今回の訴訟を示す内容が表示されるようになっていました。

Probendi
http://www.probendi.ie/iwatch.html

「iWatch」の名称を不正使用したとして訴えられているAppleですが、同社では、Googleの検索結果に連動して広告を表示するGoogle Adwordsで「iWatch」というキーワードを使用しているとのこと。つまり、Googleに対して広告料を支払うことで、「iWatch」というキーワードが検索された際に同社のApple Watchが検索上位に表示されるようにしているというわけです。

Google Adwordsの仕組みを利用すること自体は何ら問題のない商行為の1つですが、Probendiはここで「iWatch」というキーワードが使われていることを問題視。訴状を入手したBloombergによると、Probendiは「AppleはGoogle検索エンジン上でiWatchの名称を組織的に使用することで、ユーザーを自らのウェブサイトへ誘導してApple Watchの宣伝活動を行っている」として訴えを起こしているとのこと。

この問題について、GoogleとAppleからのコメントは発表されていません。

Probendiの共同設立者であるDaniele Di Salvo氏はBloombergに対し、同社は2014年にもAppleに対して名称の使用を警告していた経緯があり、今回の訴えはその延長線上にあるものと考えられています。Di Salvo氏によると、同社ではAndroid WearをベースにしてApple Watchよりも安い価格で対抗する製品を企画しており、この製品に「iWatch」の名称を使用する予定になっているとのこと。製品の開発状況についてDi Salvo氏は「スタンバイ段階(in standby)」と語っています。

Probendiは名称使用の差し止めを求めてurgent procedure(緊急手続)を申し立てています。同社と著作権侵害に特化した法律事務所Barzanò & Zanardoが見積もったところだと、「iWatch」という名称には8700万ユーロ(約1200億円)相当の価値があるとのこと。

Appleをめぐっては日本でもインターホンメーカー最大手の「アイホン」との協議の結果、iPhoneが「アイフォーン」と決定された経緯はよく知られているところ。iWatchをめぐる訴訟は商品名そのものに大きな影響を与えるわけではありませんが、行方がどのようになるのか関心は集まりそうです。