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女子中学生にプログラミングを教えると一体どうなるのか?

by John Gillespie

プログラミングの知識を身につけたエンジニアの需要が世界的に増加している現状に反して、若者がプログラミングを学ぶ機会が設けられておらず、将来プログラマーの数は減少していくと推測されています。そんな中、オバマ大統領がアメリカ国民にコードを学ぼうと呼びかけていたり、Facebook・Apple・Microsoftが子どもたちに「1時間だけプログラミングしてみよう」と呼びかけていたりするなど、子どもたちがプログラミングを学ぶことを奨励する動きがあり、この延長線上で女子中学生にコーディングを教えるプロジェクトがアメリカ・ミシガン州で行われました。

I Spent Spring Break Teaching Girls to Code - Bright - Medium
https://medium.com/bright/i-spent-spring-break-teaching-girls-to-code-ef14cf2ddf84

女子中学生にプログラミングを教えようと思い立ったクリスティーナ・リーさんは、高校生になったばかりのころに、高校に通いながらC++(シープラスプラス)を勉強したことで人生が変わってしまったそうです。リーさんは小学校3年の時に兄弟と共にHTMLでウェブサイトを制作した経験があり、当時はネオンブルーが多く使われたサイトデザインや、虹色に光るアニメーション、読み込みの遅い画像、Comic Sansの太字フォントを使ったページタイトルなどを作っていたそうです。「多くのウェブデベロッパーにとって昔の作品を思い出すことは悪夢のようですが、私にとっては、すばらしい可能性を秘めたコンピューターサイエンスの道に踏み込んだ最初の一歩でした」とリーさんは語っています。

高校1年生でC++を学び始めたリーさんは、技術的な知識を身につける度に今まで考えたことのない可能性が広がっていく喜びに満たされたそうです。リーさんは、子ども向けに科学やテクノロジーの楽しさを伝えるNPO団体「FIRST」の世界ロボット選手権に学生プログラマーとして出場したこともあり、スタンフォード大学の夏季講座にも出席してJavaMATLABを勉強したそうです。サンフランシスコで行われたハッカソンでは手話をテキストに翻訳するウェブアプリを作成し、昔作ったHTMLのサイトに比べるとリーさんの使える技術は劇的に進歩したとのこと。

以下の写真に写っている女性がリーさんです。


プログラミングを学んでいく中でリーさんは次第に他の学生にも自分と同じような経験をしてほしいと考えるようになったそうです、テクノロジー業界では女性エンジニアの数が少ないので、女子学生がプログラムを学ぶ手伝いがしたいと思ったとのこと。なお、NCWITの調査によると2013年のコンピューターサイエンス学位の取得者のうち女子学生はたったの18%で、1985年の37%に比べると比率がガタッと落ちています。

コンピューターサイエンス部門に女性が少ない理由は、リーさんによれば「アポロ計画で宇宙船が月面に着陸するためのプログラムを作ったマーガレット・ハミルトンや、アメリカ海軍でコンパイラーを開発したグレース・ホッパーなどの女性技術者が、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなどの功績に隠れてしまいあまり有名ではないからだと思います」とのこと。

そこでリーさんは高校在学中に母校の生徒向けに「Hello World」計画を始めることにしました。「Hello World」というのは新しい言語を使ってプログラムを作るときに最初の一行に「Hello World」と出力してプログラムが動作しているかを確かめるために使われる文章のことで、プログラミング経験のほとんどない女子中学生向けのプログラムとしてピッタリの名前だと考えたそうです。

Hello, World!


Hello Worldプロジェクトの中身は、チームでのプログラミング練習や昼食パーティーなど細部にいたるまでリーさんが一人で考えたとのこと。リーさんはプログラミングの大会などに参加した際の人脈を活かして、GoogleやMicrosoftなど多数の企業や団体にスポンサーとして支援をもらうことができたそうです。

Hello World計画は春休み中に1週間かけて行われ、9つの中学校から30人の女子生徒がコーディングを勉強するために集まりました。プログラムは以下のような感じで、いくつものソフトやツールを使ってコンピューターサイエンスを学べる内容になっていたようです。

Scratchを使ったゲームの作り方
・Androidアプリを作成できるソフトウェア・App Inventorでアプリを開発
・コンピューターサイエンス教育用のロボット「Finch」でロボットプログラムを作成
・HTML/CSSでウェブサイトを制作

プロジェクトを通して、女子学生たちはプログラミングの勉強だけでなく、企業で活躍する女性技術者との交流や、ミシガン州アナーバーにあるGoogleの施設訪問なども行い、さまざまな側面からコンピューターサイエンスが日常生活に影響を与えていることを学んだとのこと。


Hello Worldプロジェクトを進めるにつれてリーさんは女子学生の勉強に対する熱意に驚いたそうです。例えばある学生は昼食抜きでFinchの自律運動プログラムを作ったり、別の生徒は自分の書いたHTML/CSSファイルを外部メモリに保存して家に持ち帰ったりしていたそうです。

リーさんは「プロジェクトに参加した女子学生たちにテクノロジーの明るい未来への希望をもらいました」と言います。女子学生は理系の知識をとことん追求するのにとても向いていると感じたとのこと。学生たちが分からない点はボランティアスタッフが教えられるように待機していたのですが、初対面の学生同士でもお互いに助け合って計画を進めていたそうです。


プロジェクト後のアンケートで女子生徒たちに「将来コンピューターサイエンスの分野に進みたいですか?」と聞いたところ30人全員が「イエス」と答えたとのこと。リーさんはプロジェクトを始める前に「自分よりも若い女子学生たちはプログラミングの勉強なんて興味を持たないのではないか?」と心配していたのですが、アンケートの結果にほっと安心したそうです。リーさんは「女子学生30人というと少ない人数に思えますが、男性社会のプログラミング分野の壁を壊す突破口になるでしょう。そしてもっと多くの女性にコンピューターサイエンスの世界に来てほしいです」とコメントしています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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