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「天才は狂人である」という考え方は都市伝説に過ぎない


歴史に偉大な功績を残してきた人物には、常人では理解できないくらい頭が切れていたり、創造力にあふれていたりすることから「天才」と形容されることがあります。常人が理解できないレベルの力を発揮する天才が持つ能力は、時として精神疾患と結びつけられることがあるのですが、「天才は狂人である」という考え方に疑問を抱いてしまうムービー「Why the “mad genius” is a myth」が公開されています。

Why the “mad genius” is a myth - YouTube


'Mad genius' no more: the genetic link between creativity and psychosis is pretty weak | The Verge
http://www.theverge.com/2015/7/14/8945813/creativity-bipolar-schizophrenia-genetics-mad-genius

作曲家のロベルト・シューマンや画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、優れた創造力の持ち主であり、偉大な功績を残し新たな分野を築いたことで人々から天才としてあがめられるほどの人物です。実はこの2人には創造力(クリエイティビティ)や天才といったこと以外にも共通点があります。


両者の共通点とは、「2人が双極性障害、いわゆるそううつ病だった」と考える識者がいるということ。


そしてシューマンやゴッホが持っていた才能と、そううつ病の間に関係があったと主張する研究者もいます。具体的にいうと、遺伝情報において創造力をコードする部分と、そううつ病をコードする部分が同一ではないか、主張しているとのこと。


この主張が「マッドサイエンティスト」ならぬ「マッドジーニアス」という言葉の元になっているそうです。


例えば「作家はそううつ病もしくは統合失調症を患っている傾向が一般人よりも高い」という研究がスウェーデンで発表されたり、アイスランドの遺伝学者により「そううつ病と創造力に遺伝的関係性がある」という研究結果が発表されるなど、マッドジーニアスを証明するかのようなデータがあるのは事実です。


しかしながら、マッドジーニアスについて異論を唱える識者もおり、エモリー大学の人類遺伝学部のデビッド・カトラー准教授はその1人。


カトラー准教授によると、遺伝子レベルで見た場合に人間が遺伝的変異によって統合失調症を発症する確率は6%。


一方で、創造力を持つ確率は0.25%しかないとのこと。つまり、創造力や統合失調症、およびそううつ病は、遺伝子を原因とする確率がとてつもなく低く、学術的研究として扱うには少し無理があるそうです。


また、マッドジーニアスに関する研究結果では、「創造力のある人」が「俳優やダンサー、ミュージシャン、視覚芸術家、作家」などと定義されていることが多々あります。


しかしながら実際には、エンジニアや……


弁護士……


ドライバーや……


先生といった芸術関連の職業ではない人たちの中にも創造力を持つ人は大勢います。


また、創造力を持たない芸術家がいるのも事実。


一方でプログラマーには驚くべき製品を発明する人がいる、これもまた事実です。こういった人たちがマッドジーニアスを扱う研究や実験の対象に含まれることはなかなかなく、研究結果が正確であるかどうかに疑問を抱かざるを得ないということ。


「遺伝子を原因とする確率の低さ」や「マッドジーニアスに関する研究の被験者に芸術分野以外の人が含まれていないこと」を考えると、「天才は狂人である」と言い切るのには無理があります。The Vergeによると、天才過ぎる人は一般レベルの人の理解の範疇を超えているため、マッドジーニアスという考え方に説得力が生まれて信じ込む人がいるそうです。天才と呼ばれる人物たちをマッドジーニアスの一言で片付けてしまうのは、その人たちに対する尊敬の意を欠いているのかもしれません。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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