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心霊写真に写る「幽霊」はホンモノなのか?

By John Burkitt

カメラ技術が発展した現在でも、数多くの「心霊写真」が世間を騒がせていますが、心霊写真はいつ頃から撮影されるようになり、そこに写る「何か」は一体何モノなのか、をBBCが探っています。

BBC - Future - The intriguing history of ghost photography
http://www.bbc.com/future/story/20150629-the-intriguing-history-of-ghost-photography


心霊写真の起源は19世紀にまでさかのぼります。1850~1860年代、当時の多くの写真家が写真の新しい表現方法を模索しており、立体写真や二重露光などのさまざまな撮影技法が生み出されました。しかし、写真家の中にはこれらのテクニックを駆使すれば多大な利益を得られるかもしれない、と考える人もいたようです。

1860年代初頭、初めて「写真で幽霊の撮影に成功した」人物が現れます。その人物はアメリカのアマチュアカメラマンであったウィリアム・マムラー氏で、彼が撮影した写真にはすでに死んだはずのいとこが映っていました。この写真に映っていたのが幽霊なのかそうでないのかは不明ですが、その後、マムラー氏は死んだ親族が映った写真を何枚も公表し、一躍有名になります。こうやって名をはせたマムラー氏はその後、「南北戦争で亡くなった故人と親族の写真を撮影できるカメラマン」という名目で、プロの心霊写真家になります。


実際にマムラー氏がどのような方法で心霊写真を撮影していたのかは不明ですが、二重露光を応用すれば、依頼人となる人物(故人と写真を撮影したい人物)を撮影しながら、事前に用意していたガラス板に故人の写真を挟んでカメラに挿入することで、心霊写真のような写真を撮影することは可能です。

マムラー氏が撮影した心霊写真の中でも有名なもののひとつがエイブラハム・リンカーン元アメリカ大統領の幽霊を映した以下のもの。写真の中でイスに座っているのがリンカーン夫人で、その後ろに立っている薄っすらとした人型の影のようなものが、リンカーンの幽霊です。


マムラー氏の顧客はどんどん増えていきましたが、同じように彼の写真を批判する人も増えます。マムラー氏の心霊写真に懐疑的な目を向けていた批評家のひとりが、アメリカでサーカスを設立したことでも有名な興行師のP・T・バーナム氏。彼は「心霊写真は家族や残された人々の悲しみを食いものにしているだけだ」と、マムラー氏のビジネスを痛烈に批判しています。

バーナム氏たち批評家の声が強くなるにつれ、「マムラー氏は死亡した親類の写真を盗むためにクライアントの家に泥棒に入っている」や「マムラー氏が撮影する心霊写真の中の幽霊はまるで生きているかのようにイキイキとしている」といった主張が目立つようになります。その後、マムラー氏は詐欺行為の疑いで裁判にかけられるのですが、裁判中にバーナム氏はマムラー氏が不利になるような証言をし、心霊写真がどれくらい簡単に撮影できるのかを実演します。

裁判中に決定的な証拠を突きつけられる形となったマムラー氏ですが、結局は無罪となりました。しかし、この裁判によりマムラー氏の心霊写真家としてのキャリアは完全に潰されてしまったそうです。

By Douglas Palmer

19世紀の心霊写真研究家の中には、イングランド国教会で牧師を務めていたウィリアム・ステイントン・モーゼス氏という人物もいます。1862年に設立された世界最古の超常現象研究集団「Ghost Club(ゴースト・クラブ)」で議長を務めるアラン・マーディ氏によると、モーゼス氏は1875年までに600以上の心霊写真とおぼしき写真を調べたそうです。しかし、「モーゼス氏は恐らく12個程の項目を用意していて、それをパスすれば超常現象と認めていた」とアラン氏。

その後、カメラの所有者が増えるにつれ、心霊写真の数は急増していくのですが、1891年には世界で最も有名な心霊写真が撮影されます。その写真が以下の画像で、撮影場所はイギリス・チェシャー州、撮影したのはサイベル・コーベット氏。写真左のイスにはイギリスの元騎兵司令官コンバーメア氏の幽霊が映っています。写真の撮影時間は1時間ほどだったとのことですが、多くの懐疑論者は「コンバーメア氏の使用人が部屋に入り、しばらくの間イスに座って休んでいただけだ」と主張しています。しかし、写真を撮影していた時間帯、ほとんどの使用人がコンバーメア氏の葬儀に参列していました。


さらに第一次世界大戦後になると、世界中の多くの国々で戦後の喪失感からか故人との再会が望まれるようになり、心霊研究や心霊写真が盛んになります。例えばシャーロック・ホームズシリーズの著者である小説家のアーサー・コナン・ドイル卿も心霊研究に熱心で、前述のゴースト・クラブの会員でした。そんな時代に活躍した心霊写真家が、イギリス人のウィリアム・ホープ氏です。

ホープ氏もまたマムラー氏のように、常に「心霊写真はインチキだ」と主張する批判家につきまとわれます。ハリー・プライス氏という超常現象研究家がホープ氏の心霊写真はインチキであると主張しており、二重露光を応用したトリック写真である、と公表しています。しかし、ホープ氏はマムラー氏とは異なり、その手法を暴露されたあとも心霊写真を撮り続けています。

ホープ氏が撮影した心霊写真はこんな感じ。


他にも、1936年にカントリーライフ誌のカメラマンがレイナム・ホールで偶然撮影してしまった、という心霊写真がコレ。この写真を撮影したカメラマンのひとりは、撮影現場のレイナム・ホール階段で「霧状の何かが徐々に形となって女性のような形になった」様子を見ているそうです。この心霊写真はカントリーライフ誌に掲載され、当時は「The Brown Lady」と呼ばれ有名になりました。なお、写真に写る幽霊は1726年にレイナム・ホールで怪死したドロシー・タウンゼントという女性だ、と信じる人もいます。


現代の心霊写真は、「折り返し雑音」により生じるものや、インターネット・ミームから生まれた架空のキャラクター「スレンダーマン」などさまざまです。

By Bob Mical

2015年2月には、イギリスのハンプトン・コート宮殿内を訪れていた12歳の少女がiPhoneで撮影した心霊写真が話題になりました。緑色のコートを着た女の子の横にたたずむ縦に異様に長い「何か」が写真にひそむ幽霊で、この幽霊は宮殿内の立ち入り禁止スペース(ロープの内側)に入っており、人間が侵入したならばセキュリティアラームが鳴っているはずとのこと。なお、この写真を専門家が解析していますが、ねつ造されたという証拠は見つかっていないそうです。


ある調査によると、アメリカ人の42%が幽霊の存在を信じており、イギリス人も39%が霊的存在を信じているそうです。世の中には多くの心霊写真が存在しますが、これらに写る「何か」は霊的なものなのか、それとも人間のイタズラ心により発生した架空の存在なのかは、現在のところ不明なままです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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