取材

第1級ワインは本場ボルドーでどうやって作られているのか?現場を見てきたよレポート


フランスにはワインの格付け制度があり、重要度によって第1級から第5級に及ぶランクが存在します。もちろんワインのおいしさは格付けだけで決まるわけではないのですが、世界で最も有名なワインの産地であるフランス・ボルドーにおいて、第1級ワインはどのように作られているのか?ということで、「シャトー」と呼ばれる本場のワイナリーを見てきました。

フランス南西部ボルドーを中心とした一帯で作られるボルドーワインは世界的にも品質の高さが有名ですが、ボルドーの市街地自体は以下のような感じで都会っぽい雰囲気。街には路面電車が走っており、畑や農家は見当たりません。


シャトーに行くためにはバスで30分~1時間ほど離れた場所に移動する必要があります。お酒を飲むため、今回は車や自転車ではなくボルドー・ツーリズムが行っているシャトー見学に参加。1日かけて見学を行うプランと半日プランがあり、英語通訳付きで大人1人38ユーロ(約5200円)の半日プランを選択したので、まずは集合時間である13時30分に街のツーリスト・オフィスに向かいます。


インターネットで予約した際に印刷したバウチャー(予約券)を渡すと、以下のようなチケットをもらいました。


ボルドー・ツーリズムのお姉さんに「白いバスに乗って」と言われたので、オフィス前のバスの待機列に並び……


無事乗車。カップルや夫婦ばかりのツアーでしたが、意気揚々とぼっち参加です。


バスの中では以下のようなパンフレットをもらいました。


パンフレットを広げると、地図が載っていました。ボルドーのワインは大きく分けて左上からメドック(紫)・グラーヴ(オレンジ)、ソーテルヌ(黄色)、アントル・ドゥ・メール(緑)、リブルネ(ピンク)、ブール(水色)という5つの地区に分かれており、それぞれの土地を生かしたワイン造りが行われています。


ボルドー・ツーリズムのツアーで訪れるシャトーは日替わりなのですが、今回向かうのはソーテルヌ地区とグラーヴ地区のシャトー。ソーテルヌ地区は白ワイン用のブドウから作られる貴腐ワインが有名で、1855年のパリ万国博覧会の際に皇帝ナポレオン3世がボルドーワインに格付けを行いましたが、見学する「シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー」で作られる貴腐ワインはその際に「第1級」とランク付けされたほどの高い品質を誇っています。またグラーヴ地区は水はけの良い砂利を含んだ土質の畑が多く、やや軽く、やさしい味わいのワインが多いと言われています。フランスにはワイン法によって最上位のカテゴリーにランクされているアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(AOC)と呼ばれる品質保証がありますが、いずれもAOCワインにあたります。


ソーテルヌ地区はボルドー市街からバスで1時間ほどで、移動中はバスガイドさんがボルドーワインについて解説してくれます。「ブルゴーニュワインは単一品種のブドウから作られますが、ボルドーワインは数種類の品種のブドウを混ぜて作るため味が複雑。さらに、最近は軽い口当たりのワインが人気だけど、単一品種のワインだと口当たりが重く、ミックスした方が口当たりが軽くて好かれるんですよ……」というちょっとしたブルゴーニュワインの悪口を聞きつつ車両専用道路を走っていると……


徐々に緑が増えていき、ブドウ畑も見えてきました。日本のブドウ狩りは頭上にあるブドウを切っていくイメージですが、ボルドーのブドウはかなり小さく見えます。


しばらくブドウ畑沿いを走っていると……


ゲートが見えてきました。「CHATEAU DE RAYNE VIGNEAU(シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー)」という看板が掲げてあります。


どこまで行っても広がるブドウ畑の様子は以下のムービーから見ることが可能です。

本場ボルドーの一面に広がるブドウ畑 - YouTube


バスから降りてみると、一面のブドウ畑。シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーは丘の上にあるので、美しく広がるブドウ畑の様子が楽しめました。丘の下にあるブドウ畑はまた異なるシャトーのもので、畑は隣あっていてもシャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーは第1級、丘の下の畑は第2級、というように格付けが異なるとのこと。


ブドウの木は等間隔でまっすぐに植えられています。


バスから見た感じ「腰ぐらいの高さ?」と思ったのですが、降り立って見るとブドウの木はだいたい女性の身長くらいでした。


葉っぱの大きさは手のひらほど。収穫期ではないので実はまだなっていませんでした。


幹はこんな感じ。


シャトーの職員である女性によってシャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーの作るワインの説明が行われていきます。貴腐ワインは非常に甘い白ワインなのですが、通常のワインとは異なる、特殊な気候条件下で作られるのが特徴。シャトーの近くにはガロンヌ川という川が流れているのですが、ボルドーの気候と川の存在によって、ソルテーヌは夜間に霧が発生します。その霧によってブドウに貴腐菌が繁殖し、一方で昼間になると乾燥によって水分が蒸発するというサイクルができあがるため、やがてブドウは果汁が凝縮され、房にくっついたまま、干しブドウのようなものに変化します。これが貴腐ワインの原料になるわけです。


また、よく見ると、ブドウの木の横にはバラが植えてあることに気づきます。


これは景観の美しさのために行っているではなく、バラを植えることで畑の異変に気づきやすくするため。害虫などはブドウよりも先に香りのよいバラに食らいつくため、畑に異常が発生している場合、バラを見ればすぐ分かるわけです。


畑の中にはでっかい機械を使って作業しているところもありました。


一通り畑を見たところで建物の中へ。


室内でまず見つけたのはブドウをつぶす装置。もちろん、これは昔使われていたもので、今はもっと機械化されているそうです。ブドウはつぶしすぎると渋みが出てしまうので、いかに渋みを出さずに果汁を絞れるか、ということがポイントになっていたとのこと。


また、実際に収穫期のブドウの実の写真も見せてもらいました。1つの房に緑色のブドウ、紫のブドウ、しわだらけで白っぽくなったブドウなどいろんな状態の実がついています。貴腐ワインに使われるブドウの収穫期は9~11月と長いのですが、これは1つの房でも実によって収穫期が異なるため。水分が60%ほどにまで減り、しわしわで白くなった実が収穫すべき実で、機械によって摘み取られていきます。残りは別の時期に摘み取られるわけです。


さらに赤い扉をくぐって奥の部屋へ。


階段を降り、地下っぽいスペースに移動します。


さらに扉をくぐると……


一面にワインの樽が広がる圧巻の光景。部屋に入った瞬間にひんやりした空気ととアルコールの匂いを感じるのですが、これは「ワインの香り」ではなく、まさしく「アルコールの香り」でした。


ブドウの果汁は天然酵母で発酵されられますが、発酵は35~40度でストップするので、発酵が止められたワインは数カ月から数年の間、樽に入れられた状態で熟成させられます。


樽にある刻印は出荷先のメーカーを、MLという文字は樽の内側の焼き具合がミディアムであること、また2010年から熟成されていることなどが書かれています。矢印とその上の数字は一列に並ぶ樽のどこからどこまでが同じ種類なのかを示しているそうです。


人と比べるとこのくらいの大きさ。


樽の上部には栓がしてあります。


部屋の隅には樽を洗浄するための機械があり……


その隣には洗浄後と思われる樽がズラリと並んでいました。


樽をじっくり見たところで、さらに移動。


試飲タイムへ。


ずらりと並べられたグラスに「Madame de Rayne」という2009年の白ワインが注がれていきます。


みんなでわいわいやりつつ試飲を楽しみます。


飲んでみたところ、とろりとした口当たりで、砂糖を入れていると思ってしまうほどのジュースのような甘さ。もちろん砂糖は加えられておらず、ブドウの芳醇な香りとアルコールっぽさは紛れもないワインなのですが、非常に飲みやすく、デザートにもなりそうでした。


1件目のシャトーを見学し終えたところで、2件目のシャトーに移動します。今度はグラーブ地区のキャバナック・エ・ヴィラグランという場所へ。ソーテルヌ地区からバスで30分ほどかけてChateau Plantat(シャトー・プラント)というワイナリーに到着しました。


シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーよりもこぢんまりしていて、民家のような雰囲気。


中に入ってみると……


木箱が山積み。


中にはボトルがぎっしりと詰め込まれています。


ラベルを作る機械などもあり、1から10までワイナリー内で行われている様子。


銀色に光る巨大なタンクがずらりと並んでいます。このタンクの中で発酵作業が行われていくわけです。


タンクの横には以下のようなマシンが置いてありました。白ワインと赤ワインは作り方が異なり、赤ワインは発酵作業の次に圧搾が行われるのですが、白ワインはその反対で、圧搾してから発酵作業が行われています。このマシンは白ワインの圧搾作業を行うためのもの。


さらに部屋の奥に進むと……


ずらりと棚が並んだ部屋。同じ熟成のための部屋でもシャトー・プラントの方が規模が小さい分アットホームな雰囲気があります。


最後にはもちろん試飲タイムもありました。シャトー・プラントのワインは8~12ユーロ(約1100円~1800円)でお手頃価格なので、お土産として購入している人もちらほらいました。


なお、外にはトラクターなどの数々がずらりと並んでおり……


隣はそのまま人が暮らせるようになっているのか、プールもありました。日本のワインや日本酒の工場見学はいかにも「工場」というところが多いですが、ボルドーのシャトーの中にはホームメイド感がたっぷりあるところもあり、おいしいワインを楽しみつつもアットホームな雰囲気が楽しめました。

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in 取材,   , Posted by logq_fa