サイエンス

周期的な低カロリー食の摂取で「老い」を遅らせることが可能なことが判明

By Sarah Tzinieris

南カリフォルニア大学(USC)のバルター・ロンゴ氏の研究により、周期的な低カロリー食の摂取から幅広い健康上の利益が得られ、老化を遅らせることにもつながることが明らかになりました。

Diet that mimics fasting appears to slow aging | USC News
http://news.usc.edu/82959/diet-that-mimics-fasting-appears-to-slow-aging/


ロンゴ氏が率いる研究チームは、「断食を模倣した低カロリーの食事(FMD)」を続けることが、腹部の脂肪を落とすことに効果を発揮することを発見しました。さらに、FMDにより得られる効果を年をとったハツカネズミで実証したところ、器官内の前駆細胞と幹細胞の数が増加し、脳内では神経が再生して学習能力と記憶力が向上したことが明らかになっています。実験では、比較的短命なハツカネズミと、非常にシンプルな生物である酵母菌、そして人間での試験的な実験を行うことで、FMDが人間の体にどのような変化を与えるのかを調査しています。

By Christian Cable

実験では最初にハツカネズミに4日周期で低カロリーな食事を摂取させる実験を行っています。この実験の結果、ハツカネズミの寿命が通常よりも延びていたことが明らかになり、他にも注射したがん細胞が減少し、免疫系が強化され、炎症性疾患を発症する割合が減り、骨密度の低下も遅くなり、認知能力が向上したことも判明したそうです。周期的に低カロリーな食事を摂取した場合と一定期間断食した場合とでは、月の摂取カロリーは同程度であったそうで、「断食をしなくても、それによって得られる効果をFMDで得ることができる」とロンゴ氏は語っています。

By Moise Nicu

臨床実験の段階では、19人の被験者にひと月に5日間だけFMDを摂取してもらいました。このFMDについてロンゴ氏は「厳密な断食を続けるのは厳しく危険でもあるので、我々は断食と同じ効果を人間の体に引き起こすことができる複雑な食事を開発しました」とコメント。さらに「私は個人的に断食と、研究チームで開発したFMDの両方にチャレンジしました。結果、FMDの方がはるかに行いやすく、安全であることが分かりました」と、FMDの有効性と安全性を強調しています。

FMDは、個人のカロリー摂取量を通常のものから34~54%カットしたもので、タンパク質・炭水化物・脂肪・その他の栄養素により構成される食事です。成長に必要なホルモンのIGF-I値を減少させますが、これが老化防止を助けることとなり、がんになりやすさを決める遺伝子である「発がん感受性」とも結びついているそうです。そして、同時にIGFBP値を増加させるので、糖尿病や心疾患の危険因子が縮小し、骨密度や筋肉量の低下を防ぐことにもつながるとのこと。

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被験者はひと月の内5日間だけFMDを摂取し、残りの約25日間は通常の食生活に戻りました。それでも、被験者の体ではポジティブな反応が見られたそうです。現在ロゴス氏は70人を超える被験者を対象にFMDの効果を実証中で、「この実験の結果が現在得られているデータを同じくらいポジティブなものであるなら、FMDによる周期的なカロリー制限が、世界初の安全かつ効果的な長寿と健康につながる食事方法として医師からも勧められるものになるだろう」と述べています。

なお、この実験の詳細は6月18日に出版されたCell Metabolismにて確認できます。

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in サイエンス,   , Posted by logu_ii

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