「ミッキーマウス」の著作権を守るため、これまでどのような著作権法の変更が行われてきたのか?

By Tom Bricker

1790年にアメリカで初めて著作権法が成立した時、著作権の保護期間は更新期間を除くと「14年間」という非常に短いものでした。それから数十年が経過した2015年現在、いくつかの事例では著作権の保護期間が100年以上にまで更新されています。そんな著作権法に劇的な変化を与えた原因の全てはアメリカ文化のシンボル的キャラクターである「ミッキーマウス」にあるとも言われているのですが、アメリカの著作権の保護期間が延長に延長を重ねた末に、1998年に「ミッキーマウス延命法」と呼ばれる法が生み出されるまでの歴史がまとめられています。

How Mickey Mouse Keeps Changing Copyright Law - Art Law Journal
http://artlawjournal.com/mickey-mouse-keeps-changing-copyright-law/


著作権の保護期間は、ミッキーマウスが登場する以前から125年以上にわたって変更が繰り返されてきました。まず1790年にアメリカで初めて著作権法が登場したとき、著作権の保護期間は14年と制定されており、著者が生存している場合に限り、さらに更新期間として14年を追加申請することができました。また、著作権の適用範囲は地図・図表・本に限定されており、現代とは異なり著作物を保護するには著作権登録が必須とされていました。もしこれらの著作権に関する手続きを行わなかった場合は、全ての作品がパブリックドメインとして扱われるということです。

1831年になると14年の著作権保護期間は28年になり、更新期間の14年を合わせると「最大42年」に変更されました。1909年の著作権法では28年の保護期間に加えて、更新期間が28年の「最大56年」になり、徐々に著作権の保護期間が拡大されていきました。当時、作品に対して著作権の申請を行う人は少なかったため、これらの法改正は著作権を主張していたごく少数の人たちのために行われたと考えられます。

ミッキーマウスが初めて登場したのは1928年に公開された短編アニメーション「蒸気船ウィリー」であり、1909年の著作権法に従うと、合計56年間の著作権の保護期間は1984年で失効となります。そのため、ミッキーマウスの著作権の失効が差し迫ったディズニーは、著作権法の変更を求める本格的なロビー活動を行ったと言われています。

By CHRISTOPHER DOMBRES

ディズニーのロビー活動の成果か、1976年にアメリカ議会が著作権保護制度の大幅な見直しを決定し、ディズニーを拡張保護対象として認定。「作品発表から56年間」の代わりに、ヨーロッパ基準である「著者の死後50年間」が適用されることとなりました。これに伴って1976年の著作権法の保護期間が適用されていた作品であっても、企業作品であれば遡及延長が認められるようになります。すでに公開されている作品の著作権の最大保護期間は「75年」となり、ミッキーマウスの"命"は2003年まで延長されました。また、1922年より以前に発表された著作物は全て保護が消滅してパブリックドメインとなり、1922年以降の著作物は著作権保護の手続きをしなくても自動的に著作権法のもとで保護されるようになったのです。

その後、2003年が近づきミッキーマウスのパブリックドメイン化が近づいたころ、1998年にアメリカ議会は「ミッキーマウス延命法」とも呼ばれる著作権延長法を制定。著作権の保護期間は原則として「著者の死後70年」となり、法人著者の場合は「発行後95年間」または「制作後120年間」のどちらか短い方と適用されました。これによりミッキーマウスは2023年まで著作権で保護されることになったわけです。

以下は法改正によってミッキーマウスの保護期間延長の推移を表した「ミッキーマウス曲線」のグラフ。アメリカの著作権法の保護期間が1790年・1831年・1909年・1962年~1974年・1976年・著作権延長法ごとに色分けされており、1928年に登場した「蒸気船ウィリー」の著作権保護期間延長の推移が灰色のラインで描かれています。灰色の点線を見ると、法律とともにミッキーマウスの保護期間が右肩上がりで延長されてきたことがわかります。


創作物が著作権で保護されることで盗用などを防ぐことができるわけですが、保護期間の延長に次ぐ延長はパブリックドメイン化した作品の再利用ができないことを意味します。ミッキーマウスの著作権保護期間は再び2023年の失効を迎えつつありますが、世界的な企業であるディズニーが新たに延長を提案することで、再びミッキーマウスの保護期間は延長されると見られています。この経緯をまとめたArt Law Journalは最後に、「『蒸気船ウィリー』がパブリックドメインになったら、あなたはミッキーマウスで何をしたいですか?」と質問を投げかけ、コメント欄で回答を募っています。

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