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オンライン配車サービスUberが目論む自動運転タクシーの開発動向まとめ

By Timothy Krause

タクシーのオンライン配車サービス「Uber」が、タクシードライバー不要の自動運転タクシーを開発していることは、かねてから噂されていましたが、ついにその試験車両と思われるテスト車両が撮影されました。Uberの自動運転車開発参入へのこれまでの軌跡をまとめるとこんな感じになります。

Here's your first look at Uber's test car - Pittsburgh Business Times
http://www.bizjournals.com/pittsburgh/blog/techflash/2015/05/exclusive-heres-your-first-look-at-ubers-self.html

Uber gutted Carnegie Mellon’s top robotics lab to build self-driving cars | The Verge
http://www.theverge.com/transportation/2015/5/19/8622831/uber-self-driving-cars-carnegie-mellon-poached

Uber Joins the Bidding for Here, Nokia’s Digital Mapping Service - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2015/05/08/business/uber-joins-the-bidding-for-here-nokias-digital-mapping-service.html

Uberは2015年2月2日にアメリカのカーネギーメロン大学(CMU)と戦略的パートナーシップを結び、自動車の安全性や自動運転車について共同研究する施設としてUber Advanced Technologies Center(UATC)を設立することを発表しました。Uberのトラビス・カラニックCEOは、Uberの利用料を劇的に下げるために、将来的には自動運転車での運用を明言しています。そのためDARPA主催のロボットカーレースに参加して自動運転車の開発に実績のあるNational Robotics Engineering Center(NREC)を持つCMUとの提携で、Uberが自動運転車の開発に本腰を上げたことは誰の目にも明らかでした。


カラニックCEOによると、Uberが現在契約している運転手は、全世界で約16万人にのぼり、Uberのタクシー配車サービスの大部分のコストが運転手への賃金が占めているとのこと。仮に運転手が不要な自動運転タクシーが完成すれば、Uberの手配するタクシーの運賃は、1マイル(約1.6km)あたり44セント(約50円)までコストカットできると試算されており、料金を劇的に引き下げるのに運転手をお払い箱にするという欲求がUberには強いとのこと。また、運転手による顧客のレイプ事件など、度重なる不祥事をなくすためにも自動運転タクシーの開発の必要性が叫ばれています。

もともとは、GoogleのベンチャーキャピタルGoogle VenturesがUberに積極的な投資をしており、Googleのデビッド・ドラムンドCLOがUberの取締役に就いていたり、GoogleマップとUberアプリが連携したりと、GoogleとUberは蜜月関係にあったため、Googleが開発を進める自動運転車をUberが活用することで、Uberの自動運転タクシー計画が実現すると見られていました。しかし、Uberが自力での自動運転車開発に舵を切ったことで、Googleと自動運転車の分野で激突することになることは確実になったと見られており、今後はUberだけでなく、Googleも自動運転車技術を活用してタクシー事業に参入するのではないかと噂されるなど、自動運転タクシーの開発競争は厳しさを増すと予想されています。

Googleが独自のタクシー配車サービスを開始か、Uberもこれに対抗へ - GIGAZINE


CMUとの提携を正式に発表したUberは、すでにNRECから自動運転技術のトップランナーを含む約50人の研究者を引き抜いたことが判明しています。なお、これはNRECの約3分の1の職員にあたり、UberとCMUの提携というよりはUberによるCMUの自動運転技術開発陣の完全な取り込みと見る方が適切な情勢です。なお、もともと、NRECのロボット開発技術は軍事研究という性格を持つことから、国から多額の研究費がつぎ込まれてきたという経緯があるため、その技術と研究者をUberが根こそぎ取り込んでいることについては、一部に批判の声が上がっています。

そして、UberがCMUに近いピッツバーグの商業施設跡地をリースしてUATCの開発拠点として研究をスタート。2015年5月には車体に「Uber Advanced Technologies Center」と書かれたテスト車両が撮影されました。このUATCのテスト車両は屋根に巨大なカメラやセンサーを搭載しており、自動運転技術をテストしているのではないかと推察されています。


他方で自動運転タクシー技術を完成させるためには、自律走行できる車両の開発だけでなく、自律走行を手助けする「インフラ」として地図アプリが必要になると考えられています。正確な地図情報を自動運転車に伝達することで、より安全で的確な自律走行が可能になることから、自動運転技術においては地図情報が必要不可欠というわけです。

この点、自動運転技術の開発で先行するGoogleは、すでに高度な地図アプリケーションであるGoogleマップを持っています。なお、自動車開発の噂が絶えないAppleが地図アプリを自前で開発する背景には、将来的に地図インフラがより重要になることを見越しているからだと考えられます。地図インフラを持たないUberは、一部ではGoogleマップをしのぐ高い技術を持つと評価されるNokiaの地図サービス「HERE」をなんとか手中に収めるべく、30億ドル(約3600億円)の金額を提示して買収交渉中だと見られています。


CMUの上級研究者を引き抜いたUberは、Googleのコミュニケーション&ポリシー担当上席副社長のレイチェル・ウェットストーン氏を引き抜きUberの戦略担当上席副社長に就任させるなど、Googleからも優秀な人材を獲得しています。ボストンコンサルティンググループによって2025年までに420億ドル(約5兆1000億円)規模の市場になると試算されている自動運転車の開発を巡って、UberとGoogleによるライバル対決は、今後もますます激しさを増していきそうです。

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in メモ,   ネットサービス,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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