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Appleが地図強化のためにGPS企業を買収したことが判明、その壮大な目的とは?


AppleがGPS企業のCoherent Navigationを買収したことが判明しました。2015年4月に販売開始されたApple Watchや自動運転車の開発、今回のGPS企業買収など、さまざまなことを行っているように見えるAppleの取り組みを見てみると、ある「壮大な目的」が見えてくることが分かります。

Apple Appears to Have Acquired GPS Firm Coherent Navigation [Confirmed] - Mac Rumors
http://www.macrumors.com/2015/05/17/apple-coherent-navigation-acquisition/

Apple Acquires Coherent Navigation, a GPS Start-Up - NYTimes.com
http://bits.blogs.nytimes.com/2015/05/17/apple-acquires-coherent-navigation-a-mapping-start-up/

Appleが買収したのはGPSを使ったナビゲーションサービスを開発するCoherent Navigation。2008年に創業されたCoherent Navigationは非常に精度の高いナビを提供することで有名で、例えば他の企業であればナビゲーションに3~5メートルの誤差があるところ、自律航法やロボット工学などを利用するCoherent Navigationはより正確な位置情報をユーザーに提供することが可能です。


Appleが何のためにCoherent Navigationを買収したかは明らかにされておらず、Coherent Navigationも「Appleは時々、小さなテクノロジー企業を買収します。我々は通常、目的や計画については議論しません」と語っています。しかし、Appleの提供する地図アプリは、ナビゲーションの面でGoogleマップよりも使いにくく、Apple端末を利用している人であっても地図アプリはGoogleマップを利用することが多いと調査で分かっており、Coherent Navigationの買収もマップのナビゲーション機能の強化のためと見られています。

では、なぜAppleがナビゲーション機能の強化を図ろうとしているのか、ということが気になってくるわけですが、Apple製品の歴史を考えてみると、iPod・iPhoneの革新的な点は、これまで家にあるPCでしか聞けなかった音楽・できなかった作業を外出先で、ポケットに入れた端末で実行できるようにしたことにあります。

そして2015年4月に発売されたApple Watchでは端末をポケットから取り出したり手で持ったりする必要さえなく、手首を持ち上げてSiriに話しかけるだけで、道案内やスケジュールなどの特定アプリを音声操作できるモバイル性を実現しました。

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Apple Watchには地図アプリが標準搭載されています。AppleはiPhone連動カーナビアプリ「CarPlay」を開発しており、これまではiPhoneと連動する形でしたが、Apple Watchが発売された今、CarPlayとApple Watchが連動する日も近いはず。Apple Watchは両手がふさがっていても音声で操作可能で、運転には持ってこいというわけです。

さらに、iPhoneからの通知を受けたり電話やメールも行えるものの、レビューでは「使いようがあまりない」と言われることも多いApple Watchですが、「車の運転」を前提に考えた場合、車とiPhoneの連携を行う重要な場所に位置するわけです。

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またAppleは「目的地は150メートル先の右側にあります」というような指示ではなく、近くにある目印や周囲にあるものを使って、適切な方向に導いてくれるような「人間らしいナビゲーションシステム」の特許を出願しています。Appleが提出した特許出願書には「従来のナビゲーションシステムはユーザーの精神状態まで考慮できていない」と書かれており、心拍数を測定できるApple Watchを利用することで、ユーザーの健康状態や精神状態を考慮した運転ができるようになる可能性もあります。

Appleが目指す地図アプリの「人間らしいナビゲーションシステム」とは? - GIGAZINE



一方で、Appleは既に自動運転車「タイタン」を開発している、とウワサも。屋根に複数のカメラやレーダーと思われる装置が取り付けられた謎の車両が目撃されており、Appleが自動車そのものを開発していることは「ほぼ100%」と考えるメディアも出てきています。

Appleによる「自動運転車」自社開発計画「タイタン」のウワサまとめ - GIGAZINE



Appleの開発する自動運転車が「2020年には市場に参入する」という見方もされています。

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また、Appleのインダストリアルデザイングループ担当上級副社長を務めるジョナサン・アイブ氏は生粋の車好きで、インタビューで「自動車は景色を彩るデザインの1つであるべきで、その点において最近の自動車のデザインは面白みに欠け、不可解である」と語っています。車への愛が高じてデザイナーを志すようになったアイブ氏が「Appleの車作りのキーパーソンとなる」とも考えられるわけです。

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つまり、車での運転中の利用を想定しているからこそ、地図機能の強化が必須となり、今回の買収は必然的だったと考えられます。

Apple WatchはiPod・iPhoneと革新的な製品を作り続けたAppleの創設者スティーブ・ジョブズ氏の没後に発売された初めての新製品となりました。J.CrewのCEOであるミッキー・ドレクスラー氏はインタビューで、生前のジョブズ氏が車をデザインすることを夢見ていたと発言しており、ジョブズ氏亡き後のAppleの取り組みが全て、ジョブズの夢でありAppleのプロダクトの最終段階である「AppleCar」あるいは「iCar」への布石だと考えられるわけです。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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