クリームを塗るだけでタトゥーを消せる技術が開発中

by Massimo Valiani

一度体に入れたタトゥーや入れ墨を除去するには皮膚移植やレーザー治療が必要ですが、いずれも体に負担をかけ、費用的にも決して安くないので、タトゥーは基本的に「一生もの」として考えられています。しかし、新たに「皮膚の上から塗るだけでタトゥーが消える」クリームが開発されており、これまでとは全く違う方法で簡単にタトゥーを消せる可能性が出てきました。

When "forever" fades but the ink stays - Dal News - Dalhousie University
http://www.dal.ca/news/2015/02/11/when--forever--fades-but-the-ink-stays--dal-phd-student-develops.html

タトゥーの除去方法としては、医療用のレーザーを使用して染料の粒子を破壊する方法が一般的ですが、深く彫っているタトゥーの場合は完全に除去することが難しく、また費用が高額になってしまうという難点もあります。そこで、カナダのダルハウジー大学で病理学を研究するアレック・フォークナムさんは全く新しい技術によるタトゥーの除去を提案。フォークナムさんによると、人間の自然治癒プロセスを利用することで、痛みを伴うことなく、安価にタトゥーを消せるとのこと。

人の体にタトゥーが入れられる時、皮膚に注入されたインクは白血球の一種であるマクロファージに食べられることになります。マクロファージは体内に生じた変性物質や侵入した細菌といった異物を捕食・消化する、いわば体内の「掃除屋」なので、タトゥーのインクも「異物」として捕食するわけです。この時、体に入ったインクに対するマクロファージの反応には2種類あり、1つは染料をリンパ節に運んで除去してくれるのですが、もう1つは文字通りインクを「食べて」しまうため、肌の深くに色素が沈着してしまいます。これがタトゥーとなるわけです。

by ZEISS Microscopy

フォークナムさんが研究するのはビスホスホネートリポソーム・タトゥー除去(BLTR)という技術で、皮膚の上にクリームを塗るだけでタトゥーを除去できるというもの。BLTRクリームは脂質を膜とする多重層カプセル「リポソーム」を含んでおり、幾重もの膜が少しずつ壊れていくリポソームを使うことで肌の奥にまで成分を届けやすくしています。

by Julie Falk

リポソームが染料の沈着した細胞に入ると、マクロファージは異物であるリポソームをリンパ節に移動させようとやってきます。そしてこの時、リポソームだけでなく細胞に含まれる染料も一緒に細胞から除去されていくとのこと。

フォークナムさんはダルハウジー大学の産業連携オフィス(ILI)とともに、現在BLTRの特許を取ろうとしているところ。ILIのヘルス・アンド・ライフサイエンス分野でマネージャーを務めるアンドレア・マコーミックさんは「タトゥー除去に関して、アレックは草分け的存在です。研究の初期段階で既に素晴らしい結果を出しており、次のステージでも同様に素晴らしい結果が出るでしょう。彼のテクノロジーを発展させた商品はきっと市場に出回ります」と語っています。

by wolfgangfoto

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