ハードウェア

Googleがバッテリーもちの悪いモバイル端末向けによりパワフルな固体電池を開発中

By Kevin P Trovini

スマートフォンやタブレット、PC、スマートウォッチなどあらゆる電子機器に使用されているバッテリーを、より効率の良いものに改良すべく、Googleがバッテリー開発競争に参入したとWall Street Journal(WSJ)が報じています。

Google Gets Into Battery Arms Race - WSJ
http://www.wsj.com/article_email/google-gets-into-battery-arms-race-1428694613-lMyQjAxMTE1NDEwMDUxMTA4Wj


2012年の終わり頃、Appleでバッテリー・エキスパートとして働いていたRamesh Bhardwaj博士がGoogleに入社し、「新しいバッテリー」のテストをひっそりと始めました。それから数年が経過した2015年、WSJが得た情報によると、Googleが新たにバッテリー開発分野に進出しようとしていることが明らかになっています。

新しいバッテリー開発に挑戦しているのは、Googleの研究開発部門であるGoogle X内にある、たった4人の研究者で構成されたチームです。近年、さまざまなモバイル端末が登場し、Google Glassのように大型のバッテリーを搭載することができない端末では特に従来のバッテリーよりもはるかに効率的なバッテリーが必要とされています。また、2013年にGoogleのラリー・ペイジCEOもインタビューの中で「モバイルデバイスのバッテリーライフは『大きな問題』であり、モバイル端末本来のポテンシャルを発揮できるような新しいバッテリーを発明する必要がある」と、既存のバッテリーを凌ぐバッテリーの必要性を訴えています。

By Ted Eytan

実際、現在Googleが研究開発を進めているプロジェクトの中にはバッテリーによりそのパフォーマンスが大きく左右されてしまうというものが多々存在しており、その数は20を超えるそうです。例えばGoogleが開発中の自動運転車もバッテリーを搭載して動作するものであり、バッテリーに依存したものといえます。他にも、Googleが開発者向けのプロトタイプを一足早くリリースしたGoogle Glassは、稼働時間の短さが大きな欠点として取りあげられた機器です。これらのGoogleの未来を背負って立つプロジェクトが、バッテリーの改良で一気に化ける可能性を秘めていることは誰でも簡単に想像できるところ。

「Googleはハードウェアのサプライチェーンをより自社のみでコントロールしたいと考えている」と言うのは、ベンチャーキャピタル企業のFormation 8でハードウェア戦略を担当しているLior Susan氏。また、Appleでバッテリー・エキスパートとして働いていたRamesh Bhardwaj博士を筆頭に、テスラやIBMといった複数の企業からGoogleがバッテリーのエキスパートを引き抜いていることも明らかになっています。

By Ade Oshineye

Googleが進めるバッテリー開発プロジェクトに精通した人物によれば、Bhardwaj博士率いるバッテリー開発チームは、リチウムバッテリーの改良と最先端の固体電池の開発に取り組んでおり、Google Glassやスマートコンタクトレンズに応用することを目標としているそうです。

次世代バッテリーは世界中で研究開発が盛んであり、Google以外にも最先端の固体電池としてスタンフォード大学の研究チームが開発したアルミニウムバッテリーが挙げられます。これは電解質が液体ではなく固体なので、よりコンパクトなサイズで安全に運用可能で、通電中にアルミニウムを曲げてもOKという利点があります。なお、コンパクトでフレキシブルなバッテリーは、小さなモバイル端末のバッテリーとして有望でもあります。

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また、2015年2月に開催された業界会議では、Bhardwaj博士が固形薄膜電池が今後のスマートフォンやウェアラブルデバイス、人間の体内に移植可能な電子機器などの中でどのような役割を担うことになるかを説明しており、この中で、例えばGoogle Glassのような端末では固体電池の採用でバッテリーを多く消費する「ムービー視聴」のような動作がより自由に楽しめるようになる、と説明しています。

その他、Google内にはAllCell Technologiesベースの研究チームも存在し、このチームではリチウムイオンバッテリーの開発を行っています。このチームが開発するリチウムイオンバッテリーは、気球を使ってWi-Fiによるインターネット接続環境を構築するProject Loonで使用されるバッテリーです。Project Loonの気球は成層圏にまで飛んでいくことになるので、零度以下の環境でも動作するバッテリーが必要で、AllCellではリチウムイオンバッテリーをワックスと黒鉛材料で包むことで、熱の吸収や放出を均一に行いバッテリー寿命を延ばすことに成功しています。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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