衛星なしで使えるGPSナビをDARPAが開発

By Aaron Parecki

マップアプリを始めとした多種多様なサービスで、ユーザーの位置情報を取得するために使用される現在位置測定システムが「GPS」です。カーナビにも使用されているGPSですが、なんと衛星なしでも使用できるGPSに取って代わる「新しいGPS」を、アメリカの国防高等研究計画局(DARPA)が開発中であることが明らかになりました。

2015/03/26 DARPA Shares Its Vision for the Future
http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2015/03/26.aspx

DARPA to re-invent GPS navigation without the use of satellites | ExtremeTech
http://www.extremetech.com/extreme/202111-darpa-to-re-invent-gps-navigation-without-satellites


GPSはグローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System)の頭文字を取った略称で、元々は軍事作戦時に使用されるシステムでした。1960年にアメリカ国防総省が開発した衛星を利用した測位システムは、GPSという名称ではなく「TRANSIT」と呼ばれるものでした。1980年代までにアメリカ軍は徐々にこのシステムを改良しており、地球の周囲に浮かぶ複数の衛星を用いた現在のGPSと同様のシステムへと改良を続けていきます。

GPSでは31基のGPS衛星の中の3基から時間情報を受信し、三角測量で位置情報を測定します。ただし、各衛星に搭載されている原子時計は、衛星が高速で運動しているため時計に遅れが生じ、この誤差は1日につき38マイクロ秒にもなります。この差分は相対性理論を用いて修正されているので、GPSにとってアインシュタインの相対性理論はなくてはならない重要な理論といえます。

By Jen Scheer

1980年代から1990年代にかけてはアメリカ軍が故意に民間向けに不正確な情報を配信していたこともあり、GPSが広く使われることはありませんでした。しかし、この時点でGPSはテクノロジーとしてはかなり改良されており、かなり正確な位置情報の測位が可能になっていた模様。

そして2000年、当時の合衆国大統領であるビル・クリントン氏が「軍に衛星情報にスクランブルをかけることを辞めさせるための法案」に署名し、民間でも正確な衛星情報が使用可能となりました。なお、スクランブル中止により、GPSはそれまでの約10倍の精度で位置情報を割り出せるようになり、これ以降多くの民間企業がこぞって「GPSナビ」としてこのシステムを利用するようになったというわけです。

なお、GPS以外の衛星測位システムとしては、ロシアのGLONASSやEUのガリレオなどがあります。これらのシステムの基本部分はほとんど同じで、位置測定のためには少なくとも24基の衛星を一度に機能させ、同時に3つの衛星から情報を取得する必要があります。

By Surrey County Council Ne

従来の衛星測位システムを改良するための案としては、地上ベースの「衛星を使用しない」測位システムが良い代替案になると考えられてきましたが、これらにも欠点があります。それは、スマートフォンやカーナビなどに使用する受信機ひとつひとつに、これまでのものよりもはるかに多くの通信装置を組み込む必要性が出てくる、という点です。そのような受信機になれば、これまでのものよりも格段に製造が難しくなり、装置としての維持性がGPS受信機よりも低くなることは明確です。もうひとつの衛星を使用しないシステムとしては、第二次世界大戦時に使用されていたLORANなどもあります。これは電波妨害に強いものの、精度はあまり高くなく、現在使用されているようなサービスに応用することは難しいようです。その他の可能性としては、現在既に海運などで使用されている測位システムのDGPSも挙げられますが、これは通常のGPS同様に電波妨害を受けやすいシステムとなっています。

By Michael Brashier

しかし、DARPAが開発中の「新しいGPS」は、衛星に依存しない電波干渉に強い測位システムになるとのこと。DARPAが公開している情報によれば「GPSが使用できないエリアでも有効に動作するシステムの必要性から、GPSに代わる時間と位置を測定可能なシステムが求められるようになった」とのこと。DARPA投資している「根本的に新しい技術」は、GPSレベルの位置測定精度を保ちながら軍用システム向けに位置情報と時間情報を提供できるものであり、コンパクトで自己補正ジャイロスコープと加速度計、時計を含んだ冷却原子干渉法を用いる慣性測定デバイスとなり、原子時計やマイクロ波源もパルスレーザー可能となります。

なお、詳細は明かされていませんが、DARPAは2013年4月に開発を明かしていた「GPSなしでナビを実現する超小型チップ」を用い、GPSに取って代わる新たなシステムを構築しようとしているのかもしれません。

GPSなしでのナビを実現する超小型チップをDARPAが開発 - GIGAZINE

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