乗り物

墜落事故を起こした「エアバスA320」はどれぐらい安全な飛行機なのか?

By Peter Broster

2015年3月24日、ルフトハンザドイツ航空系の格安航空会社「ジャーマンウイングス」が運行するエアバス社製・A320型機がフランス南東部に墜落し、2名の日本人を含む乗員乗客150名が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。よく「自動車よりも安全」と表現されることもある旅客機の安全性能ですが、果たしてその実情はどのようなものなのでしょうか。

A lingering question after Germanwings jet crash: Just how safe is the Airbus A320? - The Washington Post
http://www.washingtonpost.com/blogs/the-switch/wp/2015/03/24/a-lingering-question-after-france-jet-crash-just-how-safe-is-the-airbus-a320/

今回の事故を起こしてしまったA320型機について、ワシントン・ポストがムービーにまとめています。

エアバスA320型機は、近~中距離の運行に用いられることが多い小型機。機内の中央に1本だけ通路を持つ「ナローボディ」と呼ばれる機体で、定員は150名程度となっています。


A320の安全性能はいったい、どのレベルに達しているのでしょうか。専門家によると、その安全性は……


「非常に高い」とのこと。A320はエンジンや翼の操縦系統にコンピューターを組み込んだ「ハイテク旅客機」の元祖であり、他の航空機と同様にさまざまな安全機構が何重にも張り巡らされています。


A320型機は1988年に初の商用飛行を行ってデビュー。それ以来、2015年までに6000機以上のA320が生産されてきました。


ヨーロッパ系航空機メーカーのエアバスですが、ボーイング社のお膝元であるアメリカでも多く用いられており、古くからの航空会社であるデルタ航空やユナイテッド航空などのレガシーキャリア、そして近年の台頭が著しいジェットブルーやヴァージンアメリカなどのLCC系航空会社でもA320型機が採用されています。


そしてもちろん日本でもピーチアビエーションやバニラ・エア、スターフライヤー、そしてANAなどの各社で使われています。


そんなA320型機で、死者が1名以上発生した重大事故が発生した件数は、過去の8000万回以上のフライトで10回(約0.000013%)というもの。この回数を多いととるか、少ないととるかは見方によって変わってくるものといえます。


なお、同種の機体であるボーイング社製のB737シリーズの場合は、1億7500万フライトに対して73回(約0.000042%)となっており、数値的にはA320のほうが安全と言わざるを得ない状況。


今回のジャーマンウィングスの事故を含めると11回になるA320型機の重大事故ですが、そのほぼ全ての原因は操作ミスなどのヒューマンエラーに起因するものだとのこと。


今回の事故と、2014年12月に発生したエア・アジアの同型機による墜落事故は現在調査中とのことですが、果たして機材トラブルによるものなのか、ヒューマンエラーによるものなのかは、今後明らかにされることになりそうです。


死亡事故には至らなかったA320型機にまつわる重大インシデントとしては、2005年にアメリカ・ジェットブルーの292便が起こした緊急着陸事故がよく知られています。離陸後、前輪が90度横を向いたまま固定されてしまったために正常な着陸ができなくなり、前輪ホイールを滑走路にこすりつけて火花を散らしながら着陸する様子はテレビでも中継されて注目を集めました。事故後の調査では前輪のステアリング機構の組み付けに問題があったとのことで、エアバスでは対策を施したパーツへの交換を行いました。


また、「ハドソン川の奇跡」とも呼ばれるUSエアウェイズ1549便不時着水事故も、A320型機の重大インシデントの1つです。この事故は離陸直後に発生したものなのですが、2つあるエンジンにほぼ同時に鳥が衝突したことで推力を喪失。機長の判断で、空港からほど近いニューヨーク・ハドソン川に不時着したというものでした。操縦していた元空軍パイロットのチェズレイ・サレンバーガー機長は、冷静な判断で多くの人命を救ったと高い評価を受けていました。


今回のジャーマンウィングスの事故では、乗員6名と乗客144名の合計150名全員が死亡したことが確認されています。ルフトハンザドイツ航空のHeike Birnbach副社長は「ルフトハンザにとって、最も悲劇的な時期です。我々の歴史の中で、暗黒の日となりました」と会見でコメント。事故現場からはフライトの詳細を記録したブラックボックスが回収されていることが以下のムービーで報じられており、今後は詳細な原因究明が行われることになっています。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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