最高のゼロカロリー炭酸飲料を求めて科学者が開発競争中、どのようなものができるのか?

By Vox Efx

コカ・コーラ ゼロペプシNEX ZEROのように、各飲料メーカーはゼロカロリーのダイエット炭酸飲料をこぞって販売しています。これらは砂糖を使用しないことでカロリーを減らし、代わりに甘味料を使って甘さを再現しているわけですが、甘味料を使うことで出てくる「独特の香りや後味」を自然でおいしいものに仕上げるために、日夜努力を続ける科学者たちが存在します。

Coke, Pepsi Seek Diet Soda’s Perfect Sweetener - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-03-19/coke-pepsi-seek-diet-soda-s-perfect-sweetener


デンマークのコペンハーゲンにある研究所では、スイスのバイオテクノロジー企業「Evolva Holding」の食品科学者たちが、世界一ポピュラーな飲み物のひとつである「コーラ」を改良すべく日々研究を積み重ねています。なぜコペンハーゲンなのかというと、1990年にビールの大量生産には必要不可欠な「純粋な酵母菌を分離させる方法」がコペンハーゲンにあるカールスバーグの醸造所で発見されたため。それ以来、コペンハーゲンは「発酵」に関するイノベーションの中心地となっているのですが、現在では酵母菌を使ってビールを生み出すだけではなく、「完璧な炭酸飲料」を作り出すためにも「発酵」の技術が使用されているのです。

デンマークのコペンハーゲンの研究所からコカ・コーラ、ペプシなどの飲料メーカーに至るまで、多くが血眼になって探し求める「完璧な炭酸飲料」とは、コーラと同じくらいにおいしく、自然な甘さで、それでいてゼロカロリーというダイエット炭酸飲料のことです。

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コーラが誕生してから一世紀以上が経過していますが、この黒色の炭酸飲料は今や世界中で最も人気のある飲み物にまで成長しました。世界的にみれば、コーラは炭酸飲料全体の半分以上の売り上げを占めています。清涼飲料業界は年間1870億ドル(約23兆円)を稼ぎ出していますが、アメリカや日本などの先進国ではあまりに高すぎるカロリーを含む飲み物は望まれていません。

肥満と健康に対する意識からか、アメリカではここ9年間で炭酸飲料の消費量が落ち続けています。コカ・コーラ製のカロリーゼロ飲料であるDiet Cokeは、アメリカでその売上高を年間7%も落としており、これはアメリカのコーラ市場全体の売上高減少率と比較しても2倍高い数値になります。

以下のグラフはEuromonitor Internationalの調査データを基に作成した、アメリカでのコーラ市場の売上高の増減率を示したもの。2005年以降は売上高は減少し続けており、2014年には前年度比で4%の約27億ドル(約3300億円)も下落しています。


こういった現状から、アメリカの3大炭酸飲料メーカーであるコカ・コーラ、PepsiCo、Dr Pepper Snapple Groupの3社は、こぞってエナジードリンクや牛乳などの炭酸飲料以外の新たな飲料分野に手を出し始めており、同時にコーラビジネスを守るべく積極的に最先端の科学技術による研究開発にも取り組んでいます。「もしもあなたが完璧な甘味料を作り出せば、それは莫大な利益を生み出すでしょう」と語るのは、Euromonitor Internationalの研究員であるハワード・テルフォード氏。

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古典的なアメリカのコーラの成分はその90%が炭酸水で、次に多い成分がカロリーを多く含む砂糖もしくはブドウ糖果糖液糖です。これは、12オンス(約350ml)で140カロリー以上を含むことになるので、オレオのクッキー以上に高カロリーになります。しかし、甘味料を変更すれば「口当たり」や「のどごし」などが大きく変化してしまうので、炭酸飲料メーカーは慎重に成分の変更に取り組む必要があります。

最近の研究では、パラグアイのグアラニー族の間で好まれていた「ステビア」という植物から採れる甘味料が注目されており、これはアメリカ食品薬品局(FDA)にも承認されています。Future Market Insightsによる調査では、2014年の甘味料市場でステビアが全体の11.4%を占めるにまで至ったことが明かされています。

コカ・コーラ製の飲料では少なくとも20種類でステビアが使用されており、2015年に発売されたコカ・コーラ ライフにも使用されています。他にも、アメリカ限定で販売されているPepsi Trueにもステビアが使われており、健康志向のドリンクではステビアが注目されていることがよく分かります。

ステビアの微粒子はほんのり苦い後味を持っているのですが、コカ・コーラとペプシはそれぞれのコーラに砂糖とステビアの両方を混ぜて使用することで、通常のコーラの3分の1程度のカロリーに抑えながら、ノーマルコーラのようにおいしい飲み口に仕上げているそうです。

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ステビアの微粒子は葉からその体積の1%未満しか抽出できず、これを多く使用するには膨大な量を栽培する必要があり、そのためには広大な土地が必要となるのでコストがかさむことは避けられません。そこで、コペンハーゲンの研究所で働く食品科学者たちはステビアの遺伝子から最も味の強い微粒子を生成する研究を進めています。

その方法とは、ステビアの微粒子をパン酵母と結合し、発酵を促すためにグルコース

グルコースを加えるというもの。このプロセスによりステビア微粒子の正確なコピーが生成できるそうで、Evolva HoldingのCEOであるニール・ゴールドス氏は「これはビールやパンと同じくらい自然なものです」と自慢気に語っています。

理論上、微粒子は酵母タンク内で無限に増え続けます。Evolva Holdingの目標は、酵母によりお値打ち価格のステビア微粒子を作り出せることを証明することで、既に農業ビジネスの大手であるCargillと提携し、コカ・コーラの甘味料サプライヤーとして長期契約を結んでいます。


なお、他にもオランダのバイオテクノロジー企業であるDSMが発酵を用いた甘味料の生成に取り組んでおり、コカ・コーラはChromocellというバイオテクノロジー企業にもつばをつけているそうです。これらの企業の目標は砂糖のような味わいを保ちつつ、砂糖を90%以上削減することだそうで、Chromocellでは既に砂糖とステビアを混ぜ合わせることで、味を変えずに砂糖の量を33%減らすことに成功しています。また、PepsiCoのパートナー企業であるSenomyxでも、Chromocellと同じように砂糖とステビアを混合することで、味を損なわずに砂糖の使用量を減らす取り組みが進められているそうです。

Chromocellのクリスティアン・コフリCEOは、ステビアの今後の課題として砂糖との価格競争を挙げており、「消費者は『より少ないカロリーで同じ味のものが飲みたいけど、これ以上は払わないよ』と言ってくるんです」と述べ、安くステビアを生成することの重要性を説いています。

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in サイエンス,  , Posted by logu_ii