森をとてつもないスピードで成長させるオープンソースプロジェクト「Afforestt」

By Schub@

熱帯雨林の伐採や砂漠化の進行は地球規模で考えなければならない大きな問題です。緑あふれる地球を維持していくために、通常の10倍のスピードで森林を成長させられる「潜在自然植生」理論を学んだインド人男性が、インターネット上で知識を共有することで、世界的な森林の共有に挑戦しています。

How to Grow a Forest Really, Really Fast — TED Fellows — Medium
https://medium.com/ted-fellows/how-to-grow-a-forest-really-really-fast-d27df202ba09

インド人のシュベンデゥ・シャルマさんは、2008年にトヨタのインド工場の組み立てラインで働いているときに、日本人の著名な生態学者の宮脇明さんと出会いました。宮脇さんはトヨタのインド工場の敷地内に木を植え森を作る方法を指導するため工場を訪れたとのこと。宮脇さんは、その土地に根付く植物を使って森を作る「潜在自然植生」理論を披露したところ、シャルマさんは感銘を受けて弟子入りを志願し、彼の方法論を学ぶことになりました。

宮脇さんに師事したシャルマさんは、自宅にある広さ93平方メートルの裏庭に42種類・300本の木を植え、3年後には大地を森に変化させることに成功。この「裏庭の森」を作ったシャルマさんは、トヨタを辞めて、市民や企業、政府などあらゆるクライアントに植林方法をアドバイスする非営利組織「Afforestt」を設立しました。


一般的に、人の手が入らない「自然」の状態では、森を構成する植物は繁栄と淘汰を繰り返し、約600年から1000年という時間をかけてその土地固有の種として定着するようになります。その一方で、通常の方法で人間が人工的に植林すると、約100年で自己再生するエコシステムを備えた森を作り出すことができるとのこと。しかし、宮脇さんの潜在自然植生法では、一般的な人工植林の10倍という圧倒的スピードでエコシステムを構築することができるそうです。

宮脇さんからシャルマさんが学んだ潜在自然植生法をベースに、Afforesttでは以下の6つの原則を打ち出しました。

◆1:土づくり


土壌を調べて不足している栄養素が何かを見極めることが最初のステップ。

◆2:環境調査


土質や気候を調査することで、どんな植物なら成長できそうかを識別することが重要。なお、在来種のデータにしたがって選んだ植物も、うまく健康的に成長するのか見定めてから、最終的な選定を行うとのこと。

◆3:肥料の選定


肥よくな土づくりには肥料も大切です。Afforesttでは肥料として使えるものに、その土地から50キロメートル以内の地域から調達可能なこと、という制約を設けているとのこと。なお、鳥の糞、泥、砂糖作りの副産物などどんなものでも肥料になり得るとシャルマさんは考えています。

◆4:植樹


1メートルの深さまで土壌を改良したら、いよいよ植樹。植樹には80センチの苗木を使い、1平方メートルにつき3本から5本の苗木を植えるとのことで、かなり密集させるのがポイント。なお、成長せずに枯れた木も抜くことはなく、それが自然の世界だとして放置するそうです。

◆5:最低植林面積


一つの森作りに必要な最低面積は100平方メートルです。これは、ある程度の面積がないと森の中に光が入り込みすぎて、落葉が腐敗しないことが理由。腐敗した落ち葉が肥料となって豊かな土壌ができ、その後の森の成長の土台になります。また、過密とも言えるほどうっそうと生い茂る木々は、光を求めて競うように伸び、爆発的な成長を実現します。

◆6:自立


森が自己再生できるサイクルに入るまで約2、3年の間は、水をやったり間引きしたりと人間が手を貸す必要があります。しかし、その後は可能な限り、生態系に手を加えないのが大切。

これら6つの大原則以外にも、「果実を植えること」や「50から100種類の多様な植物を植えること」などの細かなルールもあるそうです。

Afforesttはこれまでにクライアントとともに4万3000本の木を植えてきており、その植樹の方法を公開してきました。今後、さらに爆速で森が広がる植樹法を世界中の地域で利用してもらえるように、技術や知識を誰もが投稿でき、誰もが閲覧できるようにクラウドソース(オープンソース)化する予定とのこと。数年以内に各地域の在来植物や生息する野生動物、土壌環境や気候などのデータを集積させるデータベースを構築させたいと、シャルマさんは考えています。

シャルマさんがTEDでプレゼンテーションした様子は、以下のムービーで確認できます。

Shubhendu Sharma: How to grow a tiny forest anywhere - YouTube

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