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自閉症の謎に迫るさまざまな研究で膨らむ解明への期待

By hepingting

社会性や他者とのコミュニケーションに障害が発する精神障害の一種の自閉症は、その多くが謎に包まれていて、発症原因や具体的なメカニズムは明らかになっていません。しかしながら、自閉症に関する多くの研究が現在進行形で行われており、徐々にではありますが解明に向けて前進しています。

The idiosyncratic brain: distortion of spontaneous connectivity patterns in autism spectrum disorder : Nature Neuroscience : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.3919.html

人間の脳にある各領域は強弱があるものの、それぞれが接続されている状態にあります。イスラエルにあるワイツマン科学研究所は脳の領域同士の接続状態を検査する研究を実施。同研究所が発見したのは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の成人脳に、健常者と比較して「機能的な接続が増加した領域」と「機能的な接続が減少した領域」の両方が存在するということです。

By Allan Ajifo

以前までの研究では「ASDの成人脳は機能的な接続が増加する」と「機能的な接続が減少している」という2つの結果が報告されており、矛盾が生じていましたが、ワイツマン科学研究所により「接続が増加する領域」と「減少する領域」という両方の存在が認められたというわけです。

また、研究では自閉症スペクトラム障害の成人脳が、健常者とは違い特異な接続パターンを持っていることも判明しています。ただし、今回の研究は成人を対象に行われたため、自閉症の脳の「接続が増加する領域」と「減少する領域」が幼少期からどのように発展したかは、記事執筆現在で明らかになっていません。

2011年にはマサチューセッツ工科大学の研究者が、脳のシナプスに関わる遺伝子を変異させることで人為的に自閉症のネズミを作り出すことに成功。その後は自閉症のネズミを使用した研究が各機関で行われ、2015年1月には自閉症のネズミに触れあいやスキンシップで分泌される愛情ホルモン「オキシトシン」を与えると、自閉症のネズミの社会的行動が改善されたという研究結果が報告されました。

By Mycroyance

さらに、イェール大学の研究では8歳から16歳の自閉症患者にオキシトシンを与えたところ、脳の中でも社会性をつかさどる領域が反応し、顔の表情で感情を読み取る能力が向上するなど、社会的行動に一定の進歩が見られたという結果が報告されています。

アメリカ国立衛生研究所の研究では幼少時代に自閉症を患っていた患者が年を重ねて成長するに連れて、その症状が緩和していき最終的に完治する可能性があるという話もあり、多くの研究により徐々にではありますが、自閉症の解明は進められています。

By Camp ASCCA

また、今回の発見に加えてGoogleが自閉症支援団体と提携して巨大なデータベースを構築し、自閉症スペクトラムの患者とその家族1万人のゲノム解析を行うプロジェクトを進めていたり、自閉症に関係する遺伝子の突然変異を発見できる新型コンピューター解析を使った計算モデルが作られたりするなど、自閉症の解明に向けては医学とは違う分野からの研究も進められており、謎に包まれている自閉症のさらなる解明が期待されます。

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in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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