未就学教育での「算数」で明るい未来が開かれるという考え

By Northern Ireland Executive

小学校前の未就学教育の大切さが見直されていますが、その中でどのような教育を行うべきかというのは議論があり、決定的な答えは見つかっていません。しかし、小学校から大学へとつながっていく「教育街道」をスムーズに進んでいくためには「未就学児で行う『算数』が大切なのではないか?」という研究が進められています。

Why Math Might Be The Secret To School Success : NPR Ed : NPR
http://www.npr.org/blogs/ed/2014/12/09/367814446/why-math-might-be-the-secret-to-school-success

アメリカでは初等教育の重要性が認知されており、2013年から30の州でプレスクール(日本の保育園・幼稚園)の教育施策が大幅に拡大しました。さらに、2014年12月に初等教育に関する会議がホワイトハウスで開催され、初等教育に関する予算の増額が話し合われるなど、初等教育への投資がその後の高等教育での成果につながっているという考え方が一般的になってきています。

しかし、未就学児への教育が重要であることへの意見の一致があるものの、「どのような教育を行うべきか?」という点については、そもそも「どのような能力を発達させる手助けをするべきか?」という「ゴール(目的)」の考え方自体にさまざまな見解があるため、画一的な答えは見つかっていません。

By Jug Jones

そんな中、ニューヨーク市は2500万ドル(約30億円)という巨額の予算を未就学児への教育扶助にあてる計画で、重要な教育分野として「算数(算術)」を指定すると予想されています。これは、未就学児への算数教育がその後のスクールライフに与える影響力が大きいことを示す研究成果が上げられているからです。

2011年にカリフォルニア大学のグレッグ・ダッカン教授は「初等教育における算数の知識がその後の教育課程での成功度に最も影響を与えるものの一つである」という研究成果を発表しました。この研究によると、「IQ」や「親の収入」などの要素以上に「幼稚園で算数の知識を学んだこと」の方が、その後の高等教育での数学や国語の得点を高める傾向があると判明。さらに、未就学児で算数の教育を学んだ生徒の方が義務教育を終えた後の高校・大学・大学院などの高等教育への進学率が高いことも明らかになっています。

「算数教育」というと難しい内容をイメージしがちですが、未就学児への教育では、「1、2、3、4……」と大きな声で数を数えたり、ジャンプしながら数を数えたりという「数遊び」でOK。数字の意味が分からないままに「お遊び」として数を唱えたり、かけっこでターンするときに数を数えたり、「(ゲームの得点で)どちらが大きい数?」などの質問に答えたりするうちに徐々に「数」の概念を理解し始め、円や正方形の形を身近にある物を使って学んでいくうちに最終的には図形など幾何学的な知識も身につけられるようになるとのこと。

By Barnaby Wasson

早い時期から「算数」の素養を磨くことで将来の学習到達度を高める手法は、比較的に教育費をかけることなく実践できることから、従来の「教育へ投資(高い学費の支払い)→高い学習能力→高収入ゲット」という「貧困な人は貧困なまま」という図式の悪循環を打ち破り得るパワーを持っていると考えられるため、貧困撲滅のための活動をする団体からも注目を集めています。

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