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世界最古のスパム広告とは?

By Stefano Brivio

スパム」とは、受け取る人の意向を一切無視して無差別かつ大量に送信するメッセージで、主にメールでの広告に利用されている「迷惑メール」がその代表格です。不特定多数の人に対する一方的な宣伝活動をスパムと定義するならば、スパムの歴史は古く、その起源は中世ヨーロッパにまでさかのぼるようです。

Medieval Spam: The Oldest Advertisements for Books | medievalbooks
http://medievalbooks.nl/2014/12/05/medieval-spam-the-oldest-advertisements-for-books/

13世紀から15世紀にかけて、ヨーロッパでは識字率が上がり読書をする人が急増しました。読書人口の急増とともに書物に対する需要が増え、聖書を複製するキリスト教の修道士から書物を作成する仕事を引き継ぐ「物書き」が現れ始めました。15世紀にグーテンベルクが活版印刷技術を発明するまで書物はすべて手書きで、聖書などの書物を増版するには一文字一文字、誤字・脱字をすることなく正確に書き写す必要があり、書物を複製する職人にはきれいに文字を書けるだけでなく高い知識が要求され、非常に高い報酬が約束されていたとのこと。


旺盛な需要に応えるように本や聖書を書き写す職人が増加すると、職人間の競争も次第に激しくなり始めます。13世紀初頭から近所のライバル職人以上に優れていることを示して競争に勝とうという意識が芽生えてきました。10種類の異なるスクリプト(筆記体)をエレガントに使いこなすことで、他の職人よりも優れていることをアピールするなど、ライバルを出し抜く努力が積み重ねられていたそうです。


しかし、本自体の出来で自らの能力の高さを示して顧客にアピールする職人たちの中には、ストレートに「宣伝文句」を書き記す職人が現れてきます。本の末尾ページに「もしこの美しく書かれた本を気に入ってくれたり気に入りそうな人を知っていたりするなら、ぜひパリの○○通りにいる私を訪ねてください」というような文句で潜在的な顧客にアピールする文言を付け加えるという様に、「広告」が挿入されたというわけです。これが中世のヨーロッパに生まれた、世界初のスパム広告であるとのこと。


こうして中世のヨーロッパにも登場した、手当たり次第の見込み客に広告文句を届けるスパム広告は、ターゲットとなる顧客をあらかじめ絞ったものや、「もしもこの旧約聖書が気に入ったなら、私はあなたのために新訳聖書をお作りすることもできます」というようにコレクション欲をそそるものまでいろいろなパターンが現れました。「Complete my album(アルバムコレクションを完成させよう)」と謳うiTunesのやり口の原型はこの時点ですでに登場していたというわけです。

その後もクレジットカード大のフライヤーやチラシなどにスパム広告は発展していき、ついにインターネット全盛の現代では大量・無差別メールという形に姿を変えています。もっとも、一文字一文字手書きで書かれた中世ヨーロッパのスパム広告は手間暇をかけた「腕」を競い合うある種の「作品」と呼べるものであることに比較すれば、ほとんど労力もかけずに「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」方式で乱造される現代のスパム広告は、趣もない浅薄なものであり、それゆえに邪魔でやっかいな存在と感じても仕方ないのかも知れません。

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