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乗り物

上下だけでなく横方向の移動が可能になるエレベーター「MULTI」が2016年に登場予定


ビルやマンションで使われているエレベーターといえば上下の階を移動するための乗り物というのが誰も疑うことのない「常識」となっていますが、2016年ごろからはそんな常識の認識を変える必要が出てくるのかもしれません。ドイツのメーカーで、ヨーロッパでのエレベーターのシェアでトップを誇るティッセンクルップ社(ThyssenKrupp AG)が開発を計画している新型エレベーター「MULTI」は、従来の上下方向に加えて同フロア内で横方向へ移動をも可能にするというエレベーターの常識を覆すものになりそうです。

Press release - Press releases - ThyssenKrupp AG
http://www.thyssenkrupp.com/en/presse/art_detail.html&eid=TKBase_1417074157421_1378444349

ティッセンクルップ社が開発を計画している「MULTI」は、その動力源として電磁石によるリニアモーターを使うことになっています。その動作イメージは以下のYouTubeムービーで確認することができます。

MULTI – the world’s first rope-free elevator system - YouTube


エレベーターの歴史は古く、その先祖は紀元前には存在していたと言われています。近代的なエレベーターが実用化されたのは1854年のこと。のこぎり歯のような落下防止装置を備えたエレベーターが発明され、普及が始まりました。


それから160年がたった現在でも、「人が乗るケージ(かご)をロープなどでつり上げる」という基本的な仕組みは何も変わっていません。


2003年には、ティッセンクルップが1本の昇降路で2台のケージが独立して動く「TWIN」というシステムを開発。これにより輸送効率は30%上がりましたが、これも従来の仕組みを改善したものと言えます。


そんなエレベーターに革命を起こすとして開発されているのが、「MULTI」です。MULTIは上下だけでなく、横方向の移動をも可能にする画期的な仕組みを備えます。


その動力として用いられるのが電磁力を使ったリニアモーター。従来は上に引っ張りあげるしかなかった仕組みから解放され、自由な動きが可能になります。


従来のように、昇降路を貫通する鉄製の丈夫なワイヤーを必要としないため、MULTIはその名前どおりに複数(マルチ)のケージを1本の昇降路内に配置することが可能。さらに、横方向の通路によりフロア上のあらゆる場所に移動することができ、利用者の利便性もはるかに向上することになりそう。また、2本の昇降路を連結することで、従来では成し得なかった「ループ状に走行するエレベーター」が可能になるというさまざまなメリットを内包するのがMULTIの特徴と言えそうです。


システムがコンパクトになるMULTIを導入すると、ビルのフロアに占めるエレベーターの床面積が減少するのもメリットの一つ。従来のエレベーターだと約40%とも言われる専有面積を25%にまで削減することが可能となり、よりフロアを効率的に利用できるようになるとしています。

現時点で実用化の目安は明らかにされてはいませんが、ティッセンクルップでは2016年にドイツ国内に実験棟を建設して開発を開始する予定だとのことです。

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by logx_tm