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ゴッホの絵をコンピュータに描かせるとどうなるか?


人工知能の進化はめざましく、周囲の交通状況を判断して自動で運転する自動運転カーや、人間と区別がつかないほど正確な解答を出すスパコンなどが登場しており、「このままではロボットが人間の仕事を奪い尽くすのではないか?」と心配する声が上がるほどです。知的な行動の中でも「芸術」分野についてはコンピュータは人間の足下にも及ばない、と考えられてきましたが、進化を続けるコンピュータアルゴリズムはゴッホやピカソなどの芸術性を理解しつつあるようです。

Extending Van Gogh’s Starry Night with Inpainting—Wolfram Blog
http://blog.wolfram.com/2014/12/01/extending-van-goghs-starry-night-with-inpainting/

モナ・リザひまわりなどの名画は人類の共有財産とでもいうべき芸術作品で、時間の経過に伴う劣化を修復する専属のスペシャリストがいるほどです。実際の絵画を修復するには高い技術を持つ匠の技が必要ですが、デジタル化された名画であれば、Photoshopなどのソフトウェアを使って比較的簡単にレタッチすることが可能です。

さらにアルゴリズムの改良により、ほぼ自動でデジタル絵画を修復することも可能になっています。上の写真(左)にはリンカーン大統領をかすめるように傷がついています。この傷をコンピュータが認識しているのが上の写真(右)。そして、認識した傷を写真からきれいさっぱり取り払ったのが下の写真というわけで、この修復はすでにWolframInpaintのオプションコードで実現可能です。


同じくInpaintのオプションコードでは、画像の中の人物を消し去ることもできます。上の写真(左)の2人の貴婦人をコンピュータが認識して、消去したのが下の写真(右)です。


このような「修正」と呼べる範囲を超えて、コンピュータが「創作」と言えるレベルに達したのが、以下の「Extrapolated Art」と呼ばれる技術。この技術を使えば、絵を同じテイストで「拡張」することができます。例えば、ゴッホの「星月夜」は……


こんな感じで拡張解釈可能。中央にあるオリジナル星月夜の外側に、ゴッホのテイストで拡張した世界が広がっています。


Extrapolated Artは、機械学習を研究するヤリン・ギャル氏が生み出した、絵をコンピュータに拡張させるアルゴリズムで、ケンブリッジ大学工学部による毎年恒例のコンテスト「The art of engineering: images from the frontiers of technology」で銀賞を受賞しています。

ギャル氏のホームページでは、色々な有名作品を「コンピュータに拡張させる試み」が公開されており、コンピュータの進化を確認できます。

extrapolated art - Cambridge Machine Learning Group | Yarin Gal
http://extrapolated-art.com/


モネの「Water Lilies」は……


こんな感じで拡張解釈可能。


ピカソの「ダニエル=ヘンリー・カーンワイラーの肖像」は……


こうなります。


さらに宮崎駿の「ハウルの動く城」だと……


こんな感じで自然な仕上がり。


しかし、北斎の「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」は……


ちょっとおかしなことになっています。


コンピュータによる芸術は、「コピー(複製)」から「モノマネ(独自のアレンジ)」のレベルに到達しました。コンピュータアートがモノマネの域を超えて「創造」の領域に達する日もそう遠くはなさそうです。

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