Googleの人工知能開発をリードするDeepMindの天才デミス・ハサビス氏とはどんな人物なのか?


Googleに買収されたスタートアップ「DeepMind」は、人工知能(AI)の開発を行う創業からわずか3年のイギリス企業ですが、FacebookとGoogleがしのぎを削って争った末に500億円以上という巨額で買収されたことで話題になりました。そのDeepMindの創業者にしてGoogleの人工知能部門をリードし人工知能研究の最先端を走るデミス・ハサビス氏をMIT Technology Reviewが取材しています。

Demis Hassabis, Founder of DeepMind Technologies and Artificial-Intelligence Wunderkind at Google, Wants Machines to Think Like Us | MIT Technology Review
http://www.technologyreview.com/news/532876/googles-intelligence-designer/

ハサビス氏は4歳でチェスをはじめるとすぐに神童と呼ばれ「史上最も優秀なチェスプレイヤー」と評されるほどチェスプレイヤーとして頭角を現しました。しかし、ハサビス氏は「脳はどのようにして複雑なタスクを学習するのだろう?」「コンピューターは脳と同じことをできるだろうか?」という疑問を抱き、チェスの道からコンピュータ学習・人工知能研究への道に転向しました。

1994年に、17歳のハサビス氏は「Theme Park」というシミュレーションゲームを開発して、2年飛び級でケンブリッジ大学を卒業。コンピュータサイエンスの学位を取得すると、1998年にはゲーム会社を設立して一定の成功を収めました。

コンピュータゲームクリエイターとして成功したハサビス氏でしたが、かねてからの関心事である人工知能研究への取り組みを開始。2005年にはケンブリッジ大学の博士課程へ進学して脳神経科学の研究をスタート。「人工知能を研究するためには、まず人間の脳を研究するべき」と考えたハサビス氏は脳の機能を実現するアルゴリズムについて研究していたとのこと。なお、ケンブリッジ大学博士課程では、「生物学すら勉強したことがないゲームクリエイター」というハサビス氏の経歴は特異なものだったそうで、「当時の私が脳について知っていたのは頭蓋骨の中にあることくらいです」とハサビス氏は笑い飛ばしています。

By J E Theriot

生物学のバックグラウンドをもたないハサビス氏でしたが、脳神経学の分野でもすぐに頭角を現し、2007年には「海馬の損傷による記憶喪失の症状に苦しむ患者は将来の出来事をイメージするのにも苦労する」ということを明らかにした論文を発表。この論文は科学誌ScienceのBreakthrough of the Yearにも選ばれ、ハサビス氏は脳神経科学の分野でも高い評価を受けています。

そして2011年に、ついに人工知能を研究・開発するべくベンチャー企業DeepMind Technologiesを創設。DeepMindにはSkype・Kazaaの開発者であるジャン・タリン氏、人工知能研究の専門家シェーン・レッグ氏らが参加しています。創業間もないDeepMindでしたが、SpaceXやテスラモーターズを創業したイーロン・マスク氏や、マスク氏とともにPayPalを創ったピーター・ティール氏らの目にとまり、資金提供を受けることに成功しています。

一部のエンジェル投資家には注目されていたDeepMindでしたが、人工知能の基礎研究に専念していたこともあり人工知能研究業界では有名な知る人ぞ知る企業にとどまっていました。しかし、2013年12月にアメリカで開催されたDeep Learning Workshop NIPS 2013で、DeepMindはスペースインベーダーなどの古典ゲームをプレイしながら学習することでゲームスキルがぐんぐん向上していく機械学習技術を披露して世間をあっと驚かせます。カリフォルニア大学バークレー校で人工知能を研究するスチュアート・ラッセル教授によると「DeepMindの技術は当時、私たちが考えていた技術的レベルをはるかに上回る予想外のもので、大きなショックを受けました。私を含めて多くの人が思考停止に陥ったと思います」とそのときの様子を振り返っています。


DeepMindが示した高度な学習システムは何十年にも渡って研究されてきた人工知能技術の中でも画期的なものでしたが、この技術が可能になったのは「『脳』を研究していたから」だとハサビス氏は語っています。ゲームをプレイしながら学習するコンピュータは、何をするべきかという適切な解答を導き出すために過去の経験を再生して振り返って最適解を見つけ出すというプロセスを経ており、これは人間の脳の持つメカニズムに他ならないとのこと。

写真左がハサビス氏。

By PhOtOnQuAnTiQuE

2014年1月にGoogleに500億円超という巨額で買収されたDeepMindは、買収された後も引き続きイギリス・ロンドンに拠点を構えており、当時75人いた研究員に即座に50人ほどの人材を追加しています。現在は、研究者全体の75%を基礎研究に配置し、残りの25%がGoogleのサービスにDeepMindの人工知能技術を落としこむ作業に取り組んでいるとのこと。ハサビス氏は「DeepMindの人工知能技術は、YouTubeのリコメンド機能、Android端末のボイスサーチ機能などに活用できます」と語っており、今後数年のうちにGoogleの多様なサービスに組み込まれていく予定とのことです。

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