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AmazonやiBooks Storeで印刷本&電子書籍を自費出版してみたレポート


大手ゲームメーカーのエレクトロニック・アーツで働くボブ・ニストロム氏は、ゲームプログラミング言語に関するブログを運営しています。読者も増えてきたことから、過去のブログ記事をまとめて書籍化して、自費出版でKindleストアやiBook Storeで販売したところ黒字化に成功。そんな自費出版の書籍が公開されるまでの経緯や、公開後の売上データなどのレポートが公開されています。

How My Book Launch Went – journal.stuffwithstuff.com
http://journal.stuffwithstuff.com/2014/11/20/how-my-book-launch-went/

◆電子書籍の自費出版における自らの役割
電子書籍を自分1人で出版するためには、原稿の執筆だけではなく、「編集」「デザイナー」「校正」「マーケティング担当」の全ての役割をこなす必要があります。最後の「マーケティング担当」に関して資料を読みあさったところ、多くの人々が「メールアドレスを集めるとお金になる」と説いていたため、ボブさんは無料で簡単にメールマガジンを配信できるMailChimpを利用したとのこと。宛先は本当に返事をもらいたいと思える親しい間柄の人やブログの購読者に限り、電子書籍の簡単な告知・ウェブサイト・登録フォームを記載して配信。ボブさんは完璧な本を完成させる時間を考慮して、メールマガジンによる告知を電子書籍執筆のかなり初期段階で行ったとのこと。その結果、8000人もの人がメールマガジンに登録を行いました。

◆表紙ページのデザイン
ボブさんの電子書籍は、これまでのブログ記事を1章ごとに区分けして電子書籍に編集するというもの。これまでのコンテンツが書籍として製品化されるため、書籍・ブログ双方の価値を高めるためにウェブサイトをイチから作り直したとのこと。これまでのコンテンツは「ウェブ版」としてブログ上で閲覧できるリンクを残し、新たにAmazonやKindleなどへのリンクを「印刷版」「電子書籍版」「PDF版」などに分けてウェブサイト上で表示しました。


また、カメラとマクロレンズを使って製作中だった印刷版の表紙などを撮影して、ウェブサイトのトップページをデザインしています。その後トップページのテキスト整備などにかなり時間をかけたそうですが、ウェブサイトの一面は読者にとって第一印象を与える場所であるため、時間をかけるだけの価値があるとのことです。


完成したトップページは以下のような感じに仕上がっています。

Game Programming Patterns
http://gameprogrammingpatterns.com/


◆ブログポストの書籍化
ボブさんはこれまでに書いたブログ記事を物理的な原稿に書き換える作業を行いましたが、原稿はとても長くなってしまったため、「編集がいれば……」と感じたそうです。読者にとって有益な情報にするため、これまでの記事を読み直したり、書き方に手を加えたりする作業は1週間を要したとのこと。

◆ウェブへのアップロード
原稿が完成したら、書籍として公開するために「印刷版用PDFファイル(表紙含む)」「EPUBファイル」「MOBIファイル」など、アップロードするウェブサイトに適したファイルの準備が必要です。CreateSpaceKindle ダイレクト・パブリッシングSmashwordsで最後の「OK」を押す時は緊張が頂点に達して神経がすり減る作業とのこと。

その後もいくつかの誤植や、ウェブサイトごとに要求されるサイズを調整したカバーページなどを送信する作業に追われますが、全ての作業が完了。Amazonで自分の本が表示されたことを確認してすぐに、ボブさんは新しいウェブサイトの公開・新しいブログ投稿・Eメール・メーリングリスト・SNSによって書籍の販売開始を告知しました。


この瞬間は特にストレスを強く感じており、タブ表示した書籍の各販売ページやブログを巡回しながら更新を連打してしまったとのこと。公開から数分しか経っていませんでしたが、一冊の本も売れなかった小説家の話が頭をよぎったころに、Smashwordsから2冊の書籍が販売されたことが通知されました。続いてボブさんの書籍に関するツイートなども飛び交い始めて、実際に「作家」になったという実感が得られたということです。

翌日、クリスマスの子どものような気持ちで目覚めたというボブさんが全てのウェブサイトのダッシュボードを確認したところ、一晩で本の出版にかかったコストを回収できる数量の書籍が売り上げられていたことがわかりました。出版にあたって「ISBN番号の取得」「いくつかのフォント」「書籍の印刷代」「営業許可」に経費がかかっていますが、黒字化に成功しているとのこと。

どれくらい印刷本が売り上げられたのかというと、Kindleストアでは「Game Programming」部門でベストセラー1位、2位を獲得。


さらに「Computer Programming」部門でもベストセラー1位に輝きました。


「Computers & Technology」部門ではMinecraftの書籍を抑えて7位を獲得しています。


◆各ウェブサイトの販売実績グラフ
今回の体験談では詳細な売上額や経費については触れられないのですが、Kindleでは初日だけで125冊を売り上げています。


Smashwordsでは初日に電子書籍版を27冊販売済み。


Kindleの印刷本の売上げグラフはこんな感じ。


合計すると、印刷本が796冊、Kindle電子書籍版が274冊、Smashwords電子書籍版が70冊、iBookストア電子書籍版が7冊となっており、印刷本・電子書籍の総合計は2週間で1147冊を記録していることから、圧倒的に紙媒体の方が優勢のようです。ネットサービスの発展につれて、書籍の出版が身近になってきていることがよくわかるレポートになっており、「本を書いてみたい……」と考えている人にとって、ボブさんの例はとても参考になるはずです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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