「お金があっても幸せになれていない人は、お金の使い方が間違っている」という考え方

By thethreesisters

「お金が全てじゃない」という考え方は大切なものですが、一方で「お金は大事」という認識を持って上手に使うことも決して忘れるべきではない考え方といえます。お金を手に入れて裕福な生活をしたからといって必ずしも「幸せを感じる」とはいえない現実がありますが、なぜそのようなことが引き起こされるのか、ハーバード大学などの共同研究チームが過去の文献などを詳細に調査し、幸福感を得るためにはどのようにお金を使うべきなのかを導き出しています。

DUNN GILBERT & WILSON (2011).pdf
(PDFファイル)http://www.wjh.harvard.edu/~dtg/DUNN%20GILBERT%20&%20WILSON%20(2011).pdf

◆1：お金は「モノ」ではなく「体験・経験」のために使う　
お金は「旅行」や「コンサート」「スポーツイベント」など自分の体験となるものに対して使い、「モノ」に使いすぎないこと。ある調査では、参加者のうち57％の人がお金を出して何かを体験した時に幸せを感じ、34％の人がモノを買うことで幸せを感じているという結果が出ています。

By simplifies

◆2：自分のためだけではなく、他者のためにお金を使う
自分のためだけではなく、チャリティーや個人的つながり、あるいは政治献金などの形で他者に与えることも、よいお金の使い方といえます。そうすることで、自らの意識で幸福感を感じると同時に、社会的なものに向けられる出費からは、神経学の分野でも心理学的な快感を感じる報酬の効果が得られることがわかっています。

By Cory Doctorow

◆3：大きな喜びを限られた数だけ得るのではなく、小さな喜びを何回も得る
お金を使う場合には、大きく出費して大きな満足を数回だけ得るのではなく、小さく出費することで小さな満足をより多く得ることが効果的。研究チームは「日々の生活で幸福感を得る際に重要なのは小さな喜びを得ることであると同時に、心理学でいうところの至高体験への指向が強くなりすぎることは逆効果である」と指摘しています。

By terren in Virginia

◆4：保険にお金をかけ過ぎない
保険に対するお金の使い方については「保障の延長や高額の保険料にはお金をかけるべきではない」とのこと。考え方の分かれるところではありますが、ある調査結果では「不測の事態に備えるためにより多い補償を求めることは幸福の実現には必ずしも重要とはいえず、実際の保険の補償条件の実態からすれば、かえって幸せを損なうものである」として、将来に後悔するかもしれないことや失望することに対して備えすぎることは、そのことにより他とのつながりに影響を及ぼすことがあることを指摘しています。

By Tony Hammond

◆5：「今払って、後で使う」ことを心がける
クレジット払いに代表されるような「いま消費して、支払いはあとで」という考え方を捨てることが大切です。「将来の出来事について考えることは、過去の同じ出来事について考えることよりも強い感情を引き起こす」という調査結果もあるように、買うという行動が後に与える影響を想像することは大きな効果があります。

By David Baron

◆6：自分が「何を考えていないのか」について考える
何かを購入する前には、そうすることで生まれる因果関係、特に悪影響について注意深く考えることが重要です。人は自分の考えたいようにしか考えない傾向があるので、自分の思いもよらない見方から物事を判断することも重要と言えます。

By Karola Riegler

◆7：「比較ショッピング」に気づく
たとえば2つの店舗で同じ商品が売られていて、一方の価格が安い・お得だからという理由でモノを買ってしまう習慣を断ち切ること。比較ショッピング(comparison shopping)を続けていると「お買い得」がモノを買う基準になり、それが幸福をもたらすかどうかという観点で考えることをやめるようになってしまいます。

By Patrick Hoesly

◆8：自分の考えではなく、他者の考えに従う
「口コミサイト」のような他者の評価を判断基準に取り入れることも有用です。これはインターネット時代よりも以前から語られていたことでもあり、17世紀の文学者、フランソワ・ド・ラ・ロシュフコーは「何か一つのものにすっかり心を奪われてしまう前に、それを所有している人たちがどれだけ幸福を得ているのかを調べなさい」という言葉を残しています。

By Teague Labs