ノーベル賞受賞者の論文ですらランクインしない「世界で最も引用された論文トップ100」


先行研究は、その研究成果がいかに重要なものかということだけではなく、他の論文にどれだけ多く引用されるものかという点も重要なポイントです。これは、引用論文の数の多さがノーベル賞の選考時に考慮されることからも伺うことができます。そんな数多くの研究者に引用された論文トップ100について、科学誌Natureがインフォグラフィックで紹介しています。

The top 100 papers
http://www.nature.com/news/the-top-100-papers-1.16224

「超伝導体の発見」「DNAの二重らせん構造の発見」「宇宙の加速的な膨張の発見」などの画期的な研究成果は、世界的に高い評価を得ていずれも研究者にノーベル賞が授与されています。しかし、Natureによると、これら3つの超有名な研究論文ですら、「世界で最も引用された研究論文トップ100」にはランクインしていないとのこと。

世界中の学術論文をアーカイブするトムソン・ロイターの協力を得て、Natureが世界中から引用されまくった研究論文を調査しトップ100についてインフォグラフィックでまとめるとこうなります。

◆第1位:(PDFファイル)Protein measurement with the folin phenol reagent.(Lowry, O. H., Rosebrough, N. J., Farr, A. L. & Randall, R. J.)
史上最も引用された論文は、ローリー法として知られるタンパク質の質量分析法を発表した1951年のオリバー・ローリーらの論文(ローリー論文)で、引用された回数は30万5148回と驚異的な数値。年度別の引用数を示したこのグラフから、この論文が1980年代をピークに多数の論文に引用され、近年再び引用される回数が増えていることが分かります。


トップ100の論文を引用回数順に並べ分野別に色分けしたグラフ。biology lab technique(生物学の実験手法)の分野が上位を占めている事がよく分かります。そして、第1位のローリー論文の引用回数が断トツであることがよく分かります。


なお、ソースページのインフォグラフィックの右上の「<」「>」アイコンをクリックすると第1位から第100位までのグラフを閲覧できるようになっています。


◆第2位:Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4.(Laemmli, U. K.)
第2位はT4ファージのタンパク質を電気泳動で分離して新種のタンパク質を発見したというウルリッヒ・レムリーの論文。研究の目的・成果そのものではなく研究の中で使われた「手法」が後々、多くの論文で引用されることになりました。


◆第3位:A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein-dye binding.(Bradford, M. M.)
第3位はタンパク質の濃度測定法である「ブラッドフォード法」を考案したマリオン・ブラッドフォードの1976年の論文。この論文も、近年、再び引用される回数が大きく増えるなど「復活」している様子がグラフから読み取れます。


以上のトップ3の論文が引用回数10万回オーバーと他の論文を圧倒的に引き離すほど引用されまくっている「三強」であることがグラフから分かります。

◆第13位:(PDFファイル)A short history of SHELX.(Sheldrick, G. M.)
古い論文が引用累計総数で有利であり上位には1980年以前の論文がひしめき合う中で、2008年発表という直近の論文であるにもかかわらず、第13位にランクインするという爆発的な引用のされ方なのが、コンピュータプログラム「SHELX」のこれまでの歴史について述べたジョージ・シェルドリックの論文。現在、結晶構造解析に関する論文で引用されまくっている論文です。


なお、今回のランキングを作る元データとなったロイターのリスト(エクセルファイル)はここからダウンロード可能。ちなみに、相対性理論で知られるアインシュタインやノーベル賞を2度受賞したキュリー夫人の名前をこのリストの中に見つけることはできませんでした。

「世界で最も引用された研究論文トップ100」は、世界中の論文をピラミッドに例えると頂上中の頂上と言うべき極めて希有な論文ばかりで、高さ5895メートルのキリマンジャロに例えた場合、「頂上のわずか1センチ部分に相当する」とのことで、ある意味、ノーベル賞以上にレアな存在であるようです。

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