Google・シュミット会長による働き方とマネジメントを示すスライドが公開中


今やインターネットの巨人にまで上り詰めたGoogleのビジネスについて、その成功の立役者であるエリック・シュミット会長が執筆した書籍「How Google Works―私たちの働き方とマネジメント」が販売されています。この本に関してはシュミット会長と、ラリー・ペイジCEOのアドバイザーを務めるジョナサン・ローゼンバーグ氏によるインタビューがすでに公開されていますが、さらにその内容を詳細に示した約50枚のスライド画像がネット上で公開されています。

How Google Works
http://www.slideshare.net/ericschmidt76/how-google-works-final-1

ジョナサン・ローゼンバーグ氏とエリック・シュミット氏は、Googleに加わった時点で自分たちはビジネスを成功させる方法を理解していると考えていました。


しかし、すぐにそれが全くの間違いであることに気がつきました。


そして、インターネットの時代において企業を成功へと導くビジネスのルールを見つけなければならない、と気がついたのです。


それを知るために、まずはシュミット氏がよく行う質問「What's defferent now? (今では何が違うのか?)」と問いかけてみることから始めてみることにしました。


「今では何が違うのか?」


以前とは変わってしまったこととは?「もはや真実ではない」と人々が考えていることとは?なぜ全てのものがスピードを上げていると感じるのか?


その答えは、以下のようなものです。


テクノロジーはビジネスのあり方を変えています。世界の情報とメディアはオンラインになり、モバイル端末のおかげで誰とでも、いつでも、どこでもつながることができます。そして、クラウドコンピューティングによって全ての人のポケットの中にスーパーコンピューターが入っているのと同じ状況が生まれました。


その結果、これまで存在していた事業参入の障壁は姿を消してしまい、既存の業者によるビジネスは力を失って変化による混乱に耐えられなくなってきました。


この変化は以前とは比較にならないスピードで起こっており、さらに時間を追うごとにそのペースが上がっています。それはまるで、半導体の性能は18か月ごとに倍々ゲームで増えて行くという「ムーアの法則」が手を付けられなくなってしまったようなもの。


そして、市場のパワーバランスは企業から消費者へとシフトし、求められるレベルもかつてないほど高くなっています。中途半端な商品でごまかすような手法は通用せず、たとえ優れたマーケティングが行われても消費者によるレビュー評価が低ければモノは売れません。今日では、優れた商品だけが勝ち残るのです。


同時に、企業そのものの内部でもパワーシフトが起こっており、個人や小さなチームが大きなインパクトを与えることがあります。新しいアイデアを生みだし、実験し、失敗、再挑戦のサイクルを経て、グローバルな市場で成功する商品を開発することが可能になりました。


全てのなかで、最も大きなインパクトを与えられる人は「スマートクリエイティブ」と呼ばれます。


彼らはテクノロジーの知識ビジネス能力、そして創造力を組み合わせることができ、最新のツールと自由な環境を与えてやると驚くべき製品を驚くべきスピードで生みだすことができる人たちです。


問題なのは、現在の企業の多くはリスクを回避することに力を注ぎ、自由さとスピードをあげることに目を向けていないこと。情報はシェアされずに隠され、デザインは無難で、考えに考えを重ねることが美徳とされた時代の遺産を引きずったものになり、決定力を持つ人間もごく限られた一部の人にのみ限定されています。


言い換えれば、ほとんどの企業は「故意にスピードを遅くしている」と言うことができるのです。


しかしこの手法は「インターネット時代」には通用しないもの。


では、どうすればよいのでしょうか?


今日においてビジネスを継続的に成長させる唯一の方法は、スマートクリエイティブの人材を惹きつけること、そして彼らが大きく成長できる環境を作ることだといえます。


では、実際にはどのようにすればよいのでしょうか?


まずは、彼らに魅力を感じさせること。これはそう簡単なことではありません。


これには「文化」が必要です。スマートクリエイティブたちは働く環境を大事にします。


なので、まずは企業の文化を早急にプランニングすること。グループとして、働き方について、そして意思決定の手法について重要と思うことを考え、文字に残します。


そして、そのスローガンにのっとって行動するだけ。


ベストな方法は、チームを小さくすること、常に人が集まっている状態を作ること、そしてセレンディピティなつながりを広げることです。


また、大きなインパクトを与える人たちの周辺で会社を組織すること。


そして次に来るのが「戦略」。多くのベンチャー企業は事業計画を立てて会社をスタートさせています。しかし、変化のスピードが急激な現代において、昔ながらのMBAスタイルのビジネスはいくつかの理由で間違いなく失敗に終わることになります。


スマートクリエイティブたちはこれに気付いており、堅苦しい事業計画が彼らの自由を奪うことを嫌います。


ローゼンバーグ氏がGoogleに加入した当時に関わった仕事の一つは、そのような事業計画を持っていました。GoogleのCEO、ラリー・ペイジ氏はその計画を「バカげたもの」と語っていました。


そのため、ベンチャー企業を立ち上げる際には「事業計画」ではなく、「戦略的土台」に重きを置くことが重要。一度計画を立てたとしても、計画は変わって行くものです。計画は流動的なものですが、土台は安定したものです。


優れた土台には3つの柱が存在します。それは「ユニークな技術的直感から生まれた優れた製品」「売上ではなく成長に特化すること」「競合相手を知り、その後を追わないこと」の3つです。


それでは、そんなスマートクリエイティブたちを迎え入れることにしましょう。ここで大事なのは「人材選び」です。


人材が大事なのは誰でも知っていることですが、実際のプロセスは人任せにしてしまうことが多いもの。そうではなく、どんな企業であろうとも、人材選びに時間をかけることが重要です。


プロセスを経て、スマートクリエイティブのチームが組織されました。次には、彼らに成長できる環境を与えることが重要です。


これは「意思決定」のアプローチから全てが始まります。正しい意思決定がチームの成功を導き、誤った決定はチームの意気込みを失わせてしまうことになるのです。


先進的な考え方を持つ企業では、全員の「コンセンサス」に基づいた運営をアピールポイントにすることがありますが、本当の「コンセンサス」が何を意味しているのか正しく理解されていないこともあります。


正しいコンセンサスとは、100%の合意を得ることではなく、全ての人が必要なことを耳にして、ベストな答えについて十分な議論を尽くした状態のことです。


「コミュニケーション」は「意思決定」と同じぐらい重要なことであり、多くのリーダーは自分はそのどちらについても得意であると考えているもの。しかし、多くの場合は全くの見当違いといえます。


コミュニケーションの基本は「オープンである」こと。情報フローのスピードと量を最大限にすることが重要です。


これらを正しく行うことで、ビジネス上の悟りのレベル「イノベーション」に到達することができるのです。


ここで重要なのは、CEOはCIO(Chief Innovation Officer:最高イノベーション責任者)でもある必要があるということ。イノベーションは所有されたり任命されるものではなく「認められる」ものです。イノベーティブな人材は誰かに「お前、イノベーティブになれ」と指示することで生まれるものではなく、彼ら自身がイノベーティブに成長することでその域に達するものです。


実現困難な目標を与え、その失敗から別の成果を得るのです。


オフィス組ではなく、開発チームに耳を傾けること。そして彼らに試作品を作らせることが重要です。


アイデアはどこから生まれるかわからないもの。


このステップは起業家やハイテク企業に限ったものではありません。機会はどこにでも転がっており、スマートクリエイティブたちもいろんな場所に存在しています。チームを作って先行者に追いつこうとする野望を抱いた人もあちこちで見つけることができます。


まず大事なのは「ビッグアイデア」を持つこと。


そして「5年間でどんなことが実現されるか」を考えること。


その時は、想像もつかないことを想像すること。なぜなら、想像もつかないことが現実になったことも多くあるものだからです。


そして未来を信じること。途方もないアイデアのほうが、現実味のある小さなアイデアよりも簡単に実現してしまうこともあります。


なぜなら、大きなアイデアほど多くの人を惹きつけるから。


「さぁ、準備はいいですか?」というフレーズでスライドは終了。Googleならではのマネジメント観を垣間見るような内容となっていました。


シュミット会長の著書「How Google Works―私たちの働き方とマネジメント」は、税込1944円で販売中となっています。

Amazon.co.jp: How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント: エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル, ラリー・ペイジ, 土方 奈美: 本


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