取材

アニメでよく見る「(ニトロプラス)」とは一体何なのか?


2014年10月11・12日に徳島をアニメ一色にするイベント「マチ★アソビ vol.13」が開催され、ゲームやアニメの制作に取り組む企業「ニトロプラス」が「ニトロプラス 15周年記念トークイベント」を行いました。

ニトロプラス 15周年記念トークイベント~アニメでよく見る(ニトロプラス)って何?~
http://www.machiasobi.com/events/nitroplus.html

司会はニトロプラス キラルのイベントプロデューサー・でしゅんさんで、出演者はニトロプラス代表取締役・でじたろうさんとプロデューサーのニトロくんです。


トークのテーマは「アニメでよく見る(ニトロプラス)って何?」というもの。


例えば、「劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」の公式サイトにあるスタッフ・キャストページには脚本を務めた虚淵玄さんの名前の後ろに「(ニトロプラス)」と書かれています。今回のトークイベントでは、なぜ(ニトロプラス)とつけているのか、その理由を明かしてくれるというわけ。


トークはニトロプラスの過去作品を振り返りながら進みました。まずは2000年2月25日に発売されたニトロプラス第1作目の作品「「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」。」


でじたろうさんによると、ニトロプラスはアニメを作っているのではなくアダルトゲーム(エロゲー)を制作している会社。もともとアニメ・ゲーム好きが高じて制作に取り組んだものの、制作資金や作る場所に限りがあり、そんなときに興味を持ったのがエロゲーだったとのこと。そして初めて作ったのが虚淵さんの処女作「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」で、2万本目標だったのが、実際に受注が来たのは2000本。しかしながら、2ちゃんねるで話題になったことをきっかけに追加受注が増えて2万本の販売目標を達成できました。


Phantomの制作時は、ゲーム脚本を初めて書く虚淵さんに「美少女モノを作ってほしい」と頼んだところ、清純なラブストーリーものの企画があがってきたのだが、でじたろうさんとしては「こういうのじゃない」となったそうです。その後、でじたろうさんと虚淵さんの2人でロイヤルホストに行き、話し合いの末作られたのがPhantomでした。

次は「斬魔大聖デモンベイン」


斬魔大聖デモンベインの発売当時、まだニトロプラスに入社していなかったニトロくんは、デモンベインをプレイして完成度のあまりの高さにびっくりしたそうです。でじたろうさんからは背景画について、通常の美少女ゲームであれば50枚程度が相場のところを1000枚も制作したことなどもあり、開発費が膨らんで、最終的には1億円オーバーしたという裏話が明かされました。


また、発売前にKADOKAWAに対してコンシューマゲーム・ノベル化の交渉を行い、KADOKAWAの役員を目の前にエロゲーのプレゼンをしたことが明かされました。

次は2003年12月26日に発売された沙耶の唄


「沙耶の唄」は理由は不明ですが、海外での人気が高いそうです。「沙耶の唄」を映画化しようとしてアメコミ版が作られましたが、いまだにハリウッドからは声がかかっていません。しかしながら「近い将来、実写は無理でも何らかの形で映像化される作品として期待している」とでじたろうさんは語ります。

こちらは2008年9月26日に発売された「スマガ」。「すーぱーそに子」のキャラクターデザインを担当している津路参汰さんと、シナリオライター・下倉バイオさんコンビの第1作。ちょうどこの作品の発売時期にでしゅんさんがニトロプラスに入社しました。


第1作目のPhantomと比べるとスマガはかなりポップな絵柄。しかし、翌年に発売した「装甲悪鬼村正」は再びポップからかけ離れたものに。初回限定版を桐箱入りにするなど気合を入れて作ったにも関わらず、発表直後は受注が伸びなかった村正ですが、体験版を配布するとグッと伸びたそうです。


2013年に6月28日に発売された「君と彼女と彼女の恋。」


パッケージの見た目とは裏腹にユーザーをどん底に突き落とす作品が「君と彼女と彼女の恋。」、通称「ととの」です。この作品については、でじたろうさんもニトロくんも「ユーザーにトラウマを残す作品」だと語りました。

「ととの」がどれぐらいユーザーに衝撃を与えたのかはAmazon.co.jpのカスタマーレビューの内容に反映されています。

Amazon.co.jp: 君と彼女と彼女の恋。初回限定版【Amazon.co.jpオリジナルポストカード付き】の 名無しさんのレビュー

よくゲームのヒロインで攻略した人以外はED後どうなってしまうのだろうか
そんなことを時々想像してしまうものです
結ばれはしなかったが他の男キャラとは付き合って欲しくないと思うのが
大変身勝手ながらも自分たちの思いなのですがそんな一種の呪いに対する仕返しなのですかね・・・
現実のようにセーブもロードも無いやり直しの利かない選択を迫られたとき自分は選びそれに対して責任を負うことが出来るだろうか。
そんないつか出くわすであろうことを体験させられましたね。
自分は彼女を選びましたが再インストールをして別の結末を見てみようというな気にはなれませんでした・・・

最近は可愛いキャラに凝ったエロを混ぜた明るいタッチの作品やNTR、妊娠物などの作品が主流で食傷気味でしたが
それらに捕らわれないこの意欲作は良い刺激になりました
なんて恐ろしいプログラムを組んだのかと怨みつつニトロプラスの次回作に今から期待しております


Amazon.co.jp: 君と彼女と彼女の恋。初回限定版の しまじろうさんのレビュー

「選択肢だからセーブして、間違えたらロード」「一人攻略したから次のキャラのルート」
ギャルゲをプレイする方にとっては当たり前の行動ですよね。このゲームを始めた時も、しばらくは
選択肢のたびにセーブとロードを繰り返しました。

でも、このゲームは「現実」と同じで、やり直しがきかなくなっていきます。
賛否両論でるかもしれませんが、こういうシステムにしてくれて良かったと私は思います。
そうだからこそ、心にズシンとくるものがあるしきちんと製作者の想いが伝わってきました。


Amazon.co.jp: 君と彼女と彼女の恋。初回限定版の ライラさんのレビュー

ノベルゲとして評価するならシナリオは☆4。

とても読みやすいテキストです。
ですが歴代ノベルゲで感動した作品ほどのクオリティはありません。
それでもラストの瞬間にはしっかり感情移入出来、グッとくるものはありました。

この作品のスゴイところは【システム】。

当たり前のようにハマっていた型、食傷気味になっていた作業。
それらを打破してくれました。
「しなければいけない」作業感から解放され、「純粋にゲームを楽しむ」ことが出来ました。

システムとして評価するなら☆5。

音楽や声、演出等々、総合的に点数付けるなら☆4.5ぐらいかと思います。

本当にネタバレ無しでやって欲しいので多くを語れず残念ですが
ノベルゲを多くプレイされてる方にこそ、手にとって欲しい作品です。


「すーぱーそに子 SUPER SONICO 」


すーぱーそに子に関しては、ニトロプラスっぽくなく、ストーリー重視というよりキャラクター重視の作品。ただし、チャレンジするという面ではニトロプラスの特徴が色濃く出ていて、チャレンジの結果として音楽CDやフィギュアなど多方面へのメディア展開を可能にしたとのことです。

と、ここまでは「ニトロプラス」の説明。ここから「(ニトロプラス)」の話へ。

ニトロプラスが製作・ストーリー原案・脚本に参加した「PSYCHO-PASS」は第1期の評判がよく、2014年10月からは第2期の放送が開始され、2015年1月には劇場版の公開が予定されている作品。でじたろうさんによると、アニメ制作では脚本が初稿から何度も修正されて最終稿に至りますが、「魔法少女まどか☆マギカ」や「PSYCHO-PASS」は虚淵さんの初稿にほとんど修正が加えられておらず、好きなようにやらせてもらった作品とのこと。


また、「PSYCHO-PASS」はグロ表現が多いものの、フジテレビは表現の自由に非常に寛容で、そういったことも「自由にやらせてもらえた」と感じる要因の1つだったそうです。

ニトロプラスが原作参加したアニメーション映画「楽園追放 -Expelled from Paradise-


楽園追放の話をニトロプラスがもらったのは、まどか☆マギカ放送開始の約5年前だそうなので、2006年前後。当時、東映アニメーションでは40年くらいオリジナルアニメを作っていないという状況で、「ぜひ、虚淵さん原作のものを」ということで話が進みました。でじたろうさんが「ここまで虚淵玄の色が表現されているアニメはなかなかないのでないか」という作品で、ニトロっぽさがよく出ているものの、いわゆる「売れる作品」ではないようで、「楽園追放が売れたら本望です」とでじたろうさんは話していました。

そしてイベント終盤で、とうとう「(ニトロプラス)」と名前の後につけている理由がでじたろうさんの口から明かされました。その理由とは、エロゲー市場が年々先細ってきていていつまで持つかわからないので、アニメを見ている人にニトロプラスという名前を覚えてもらってゲームを購入して欲しいから、というもので、でじたろうさんは「アニメユーザーにも美少女ゲームの面白さを知ってもらって、盛り上げてほしい」と語りました。

最後はでじたろうさんから以下のメッセージがあり、トークショーは終了しました。

でじたろう:
これからも美少女ゲームを作り続けていきたいです。作りたいモノを作って何とかなる時代はもうすぐ終わってしまうという実感があります。例えば業績のいいDMMさんと一緒にやることも会社を存続させるために必要なこと。そうやって稼いだ資金で、みなさんの心が震えるような美少女ゲームを作っていきたいです。本日は本当にありがとうございました。

※一部、聞き間違いなどを修正しています。

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in 取材,   アニメ,   ゲーム, Posted by darkhorse_log